バウルの歌を探しに

著者の川内有緒という人。
彼女が書いた本としては、「パリでメシを食う」というのがあり、非常にそそられたけれど、未読。
そしてこの本もまた、かなり前からタイトルだけは知っていた。
でも、ずっと「パウル」と読み間違えていて、ヨーロッパ関係の話かと思いこんでいた。
ほんとうは「ハ」の上に点々。「バウル」。
ヨーロッパどころか、なんとバングラデシュの話だったのでした。

今回、古本屋で見つけて購入した決め手は、解説が高野秀行氏だったこと。
「新田次郎文学賞受賞」というのにも惹かれた。
なんだかんだ言って、賞をとった作品はそれだけのことはある、と常々思っています。

「バウル」とは、バングラデシュ(正確にはインドの一部も含む、ベンガル地方一帯)にいる、吟遊詩人のような人々のことをさす。
彼らの歌が、ユネスコの無形文化遺産になっているんだそうだ。

川内さんはパリでの国連関連の仕事に見切りをつけ、帰国し、バウルの歌を聴きに行こうと思い立つ。
でも、彼らがどこにいるかはわからない。
バングラデシュ人に聞いても、何がなんだかわからない。
雲をつかむような話なのだけれど、頼りになる相棒を見つけ、有能な現地ガイドとともに、バングラデシュをめぐる。

そして、ちゃんと見つけ出すのである。

よくよく人の縁に恵まれているというか。
あるいは、幸運を引き寄せる賢さを備えているというか。

きっとその両方なのだろう。

バウルについて、ヨーロッパでいうジプシー(今や「ロマ」と呼ぶのが正しいそうだ)のような存在なんじゃないかと想像したけれど、全然違いました。
修行をする人々なんだそうだ。
そして、その修行の奥義がスゴイ。すべての宗教を超越している。
古くからの存在だというけれど、一周廻って今や時代の最先端になっているんではないかと思わせる。

ユネスコの遺産になることによって、注目され、保護されるかというと、世の中そんなに単純ではない。
ある意味、保護されるのだけれど、変質する恐れもある。
保護されなくても変質する可能性はあるけど。

とにかく、とてもとても不思議な存在なのです。

ほんとにいったいどんな歌なんだろう?


バングラデシュの人々はとても親切なんだそうだ。
「インドなんかよりもよっぽどバックパッカー向き」だと、川内さんは言う。

ふーん。

でも、観光名所なんてないし、行って何する?


バウルを探すんだ!(爆)




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# by foggykaoru | 2017-03-08 20:36 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

母の遺産

水村美苗作。副題は「新聞小説」
この人の小説は長い。これも文庫上下巻。

どっぷりハマりました。
何回も読み直しました。

とても強烈なキャラの母親を抱えたアラフィフ女性が主人公。
上巻は母親の介護と看取りの悪戦苦闘。日本の医療に対する批判もたっぷり。
下巻はその後。主人公は自らの行き方を模索していく。

登場人物がわざとらしいとか、あり得ないとか、批判もあろうかと思いますが、私は心から楽しみました。まるで映画を観ているみたい。

老母のキャラ形成の裏側とともに、副題の意味もが明らかになります。
ほおおおっ!
なるほどねえ。
小説というのは人々にそういう影響も及ぼすのですねえ。

また、兄弟が多いと、同じ両親から生まれた子供でも、長じてからの人生に大きな差が出る。
そこに(兄弟自身だけでなく、その子供にまで)妬み・羨みなど、フクザツな感情が渦巻き、それがドラマの母胎ともなる。

ちなみに主人公は1970~80年ごろにパリに留学したという設定になっていて、当時の留学生の生態、「ブルシエ」と呼ばれるフランス政府奨学生と彼らのその後の人生が、私には実に興味深く、また、非常に説得力があるなあと感心したところでありまして。

でも、ブルシエなんて聞いたこともないという人でも大丈夫。
とにかく女性、特にアラフィフ以降の女性には超お薦めです。心に響くところがたくさんあるはず。

私はこの本、ブック○フで見つけたんですが、1冊108円でした。
まともな古本屋だったらそんな値段付けませんよ。作家が可哀想です。
興味を惹かれたあなたは、できたら正価で買ってあげてください。
(108円で買ったくせに何を偉そうに<私)



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# by foggykaoru | 2017-03-06 21:15 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

イギリス人はおかしい

副題は「日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔」
著者の高尾慶子という人は、紆余曲折の末、イギリス人、それも超有名な映画監督リドリー・スコット宅のハウスキーパーになる。
そのときの暮らし、そしてその後少しのお話。

1か月以上前に読んだので、ほとんど忘れてしまっているのだけれど、非常に面白く読んだことだけは覚えています。
タイトルから想像できるとおり、英国礼賛ではありませんが、そこがいいのです。英国マニアは必読。

話は古いんです。ハードカバーの初版は1998年。
「英国人は紳士だとか言うけれど、それはもはや幻想。サッチャー政治がすべてを悪く変えてしまった」と吠えていらっしゃいます。
「サッチャーが悪い」は初耳ではないんですけどね。
そのサッチャーも引退して幾年月。認知症になってしまったそうで。(遠い目)
サッチャー以前の、礼節に満ちた英国を味わってみたかったものです。



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# by foggykaoru | 2017-02-26 08:33 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

ヨッパ谷への降下

筒井康隆の「自選ファンタジー傑作集」なんだそうです。

読んだのが1か月以上前なので、ほとんど覚えていないのですが・・・
彼の大人向けのファンタジーは、大人イコール成人向けでして、かなりエロチック。
この本の中にも「エロチック街道」なんていうのがあるんですが、そっち系は私にはちっとも面白くないのです。男性はドキドキして面白いんでしょうか。きっとそうなんですね。

面白いのは子供が主人公のもの。
「北極王」。実に良いです。なんなんでしょうこのしみじみ感。
そして「家」。とても良いです。ゲドとか出てきそうです。
この二編は、普通に(って何が普通なんだかわかりませんが)ファンタジーが好きな人なら気に入るはず。





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# by foggykaoru | 2017-02-25 20:47 | その他のジャンルの本 | Trackback | Comments(0)

リトアニア

すっかりご無沙汰です。

今年の夏の旅行の概略が決まりました。
なんと2バージョン用意してあります。一人旅用と二人旅用。
一人旅だったら、現地バスツアーを活用する旅になる。だからツアーの拠点になるそこそこ大きい町に泊まる。部屋はもちろんシングル。
二人旅だったら、レンタカーで周遊する。だから、車でしか行けない田舎の一軒家のツインに泊まる。
部屋のキャンセル料が発生するのは出発数日前なので安心です。


さて、写真は昨年、リトアニアの「ど」のつく田舎で見つけたSUSHI屋です。

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で、なんと数日前、リトアニア人留学生と話をするという非常にレアな機会がありまして。
「リトアニア旅行をした。行ったのはヴィリニュス、カウナス、シャウレイ・・・」
ここまでは「なるほど」という顔でしたが、
「・・・クライペダとニダ」
には目を丸くしてました。
普通は行かないもんね~ ふゆき、ありがとう!

「ストティス(stotis)=駅」という単語は一生忘れない
なあんて話もして盛り上がりました。
詳細はヴィリニュスのぺージへどうぞ↓
http://tabitora.3.pro.tok2.com/tabinikki/bel_lit_kali_rousse/bel_lit_kal_rousse_day3c.htm






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# by foggykaoru | 2017-02-18 10:02 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(0)

ぐうたら旅日記

副題は「恐山・知床を行く」
著者はちょっと前に別の本を読んで、ちょっぴり注目した北大路公子。

これはいまいち。
いわゆる普通の旅行記とか、旅行情報を期待して読んだわけじゃないんだけど、もうちょっと何かあるんじゃないかと期待してました。
これは要するに、ネットで知り合った仲間との旅、つまり泊りがけのオフ会の話なんです。
著者のネット仲間には楽しいと思います。

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実は

今から夏の旅行の計画を立ててます。
ここんとこ、プライベートツアコン・ふゆきにおんぶにだっこの旅ばかりでしたが、今回は私がツアコン。
ネットで検索しても、ろくな情報が出てこない国です。
って言っても去年のベラルーシみたいな怪しいとこじゃないんです。けっこう知られてる国です。
日本人の場合、ツアーで行くのが主流のようで、日本語で検索しても、個人旅行者の生の情報はほとんど出てこない。

英語で検索すればいくらでもあるんだろうな・・・

「地球の歩き方」も大した情報を載せてない、というわけで、久しぶりにロンプラ解読の日々です。

もともと物価が高い上に、シーズンは劇混みになるらしいので、宿泊サイトをチェックして、よさげなところは即確保。
他にもよさげなところを見つけたら、そっちもためらわずに確保。
落ち着いてよく考えてから、どっちにするか決めて、不要なほうをキャンセル
というようなことを、暇さえあればやってます。

以上、読書のペースが落ちていることの言い訳でした(苦笑)



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# by foggykaoru | 2017-01-28 11:19 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

ミツコと七人の子供たち

著者はシュミット村木眞寿美という人。
「ミツコ」とはクーデンホーフ光子。
ハプスブルク家が君臨する落日のオーストリアの貴族に嫁いだ、あの人のことです。

なかなか興味深いです。
外交官クーデンホーフ伯爵の妻となった経緯、オーストリアに渡ってからの生活。
そして、早すぎる(そして謎の残る)夫の死。
さらに、この本の大きなポイントは、タイトルにあるとおり、「7人の子供たち」。
ハプスブルク家の時代が終わり、ナチス・ドイツが入ってくると、彼らの人生は大きく翻弄されます。
伯爵の子女がそんなことに・・・

「民族自決主義」を唱えたアメリカのウィルソン大統領が、ヨーロッパの実情を全然わかっていなかったということもよくわかります。
要するに、「この線からこっちがなに人、あっちがなに人」ということではなかったのに、線を引っ張ったから、それまではなかった諍いが生まれ、悲劇に至ることもあった、ということです。
旧ユーゴ解体のときもそういうことがあったと聞きます。宗教が異なる人々が平和に暮らしていた村だったのに、一方が一方を排斥する形になってしまった、というような。

ネタばれしたくないので詳しくは書きません。

光子という人は、その当時の日本女性の常として、「学」はなかった。
でも、決しておバカだったわけではなく、けっこう学習能力は高かったようです。
でも学習意欲は夫の死とともについえてしまう。
一方、彼女の子供たちは、インテリだった父親の血を引いているし、学問をする環境に恵まれていたから、深く思索する力もあった。
でも彼女には、そこまでの能力は無かった。
母子の関係はぎくしゃくせざるを得なかった。

というわけで、晩年はあまり幸せではなかった。

彼女の息子が「パン・ヨーロッパ」を提唱し、それがずっとあとになって欧州連合という実を結んだ、と言われますが、英国がEU離脱を決めた今、この本を読んで、愁いみたいなものを感じてしまいました。



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# by foggykaoru | 2017-01-20 20:16 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(0)

漂うままに島に着き

内澤旬子の本。
乳がんになり、身体の言いなりになり、気づいたら丈夫になり、東京にしがみついている必要はないじゃないか!と思いつき、小豆島に移住する、体験ルポ。

老後の生活をあれこれ考えはじめている私としては、興味津々でした。

小豆島というのは高松の目と鼻の先だったのですね。
そして、高松というのは、適度に大きくて楽しい町のようで。
高松にはネットで知り合った友達もいるし、悪くないかもね~

今住んでいるところを人に貸して田舎に移住したら、経済的には全然なんとかなるんですよね。

そして、いくら治療しても治らない上咽頭炎。
(治療は有効なんです。耳鼻科の先生の名誉のために言っておくけど)
たぶん都会に住んでいる限り、完治しないんじゃないかと思うのです。

しかし、内澤さんの場合、今までのキャリアがなんだかんだ言って、島の生活に非常に役立っています。
それは豚を育てて、つぶして食べたというキャリア。
だから狩猟の免許をとってイノシシとか、狩りして解体して食べてるんです。
家の周りの雑草を始末してくれるヤギを飼うことを、思いついてすぐにできたのは豚の飼育経験があったからこそ。
そして、そのヤギのおかげでどんどん人が話しかけてくれて、どんどん知り合いが増える。
犬の散歩で知り合いが増えるというのと同じです。

そーゆーキャリアが無い私はどうかなあ・・・

あと、虫のすごさにはちょっと引きます。

うーん、ほんとに老後どうしよう。
とりあえず、断捨離を続けよう。


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# by foggykaoru | 2017-01-12 19:08 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)