バルタザールの遍歴

第三回日本ファンタジーノベル大賞受賞作なのだそうだ。
作者は佐藤亜紀という人。

舞台は20世紀初頭のウィーン。
貴族の若者、それも相当の放蕩息子が主人公なのだが、その主人公が・・・ なにしろファンタジーなのです。
いったいどういうこっちゃ? まさかそういうこと? と思いながら読んでいって、へー やっぱりそういうこと?

退廃的な、落日のウィーンの雰囲気を見事に描きだしている。
そういうムードは私の得意とするところではない(なにしろ「ど健全」な英国児童文学を読んで育ったものですから)のだけれど、西洋史は好きなので、かなりツボでした。
なのだけれど、この作品の「しかけ」を十分に味わうことができるほどの知識は持ち合わせていない。とても残念。

解説は作者の恩師である、池内紀。
この作品のすごさが本当にわかるのは、このレベルの人なのでしょう。
彼をして「なんで佐藤さんはそんなことまで知っているのか!?」と驚愕させている、と言えば、どれほど西洋史マニアをうならせる作品なのかがおわかりいただけでしょうか。

どろどろ おねおねしたムードのファンタジーが好きな人、西洋史、特にオーストリアの没落の歴史に興味がある人に特にお薦めです。









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# by foggykaoru | 2017-01-07 22:02 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

神様がくれた指

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

たまたまですが、年越しをはさんでタイトルに「神様」が入っている本が続きました。

今回のこの本は佐藤多佳子による小説。
今まで読んだ彼女の本は「一瞬の風になれ」と「しゃべれどもしゃべれども」。
どちらも一人称の作品だったので、これもそうかと思いこんでいたら、三人称だったので、あらあらちょっとびっくり。
しかも、メインの二人がちょいとやばい感じ。
にもかかわらず、作品全体に漂う雰囲気が爽やかなのが、佐藤さんならではなのだろう。

やばい感じではあるが、メインの二人は非常に魅力的です。
解説でも「こんな人物たちに惹かれてしまう自分が怖い」的なことが書かれていますが、読んだ人はみんなそう感じることでしょう。
特にそのうちの一人は「一瞬の風になれ」に登場する、天才的スプリンターを微妙に思い出させます。彼もとても魅力的だったなあ。

お薦めです。
佐藤さんの小説が好きな人には超お薦め。(もっとも、彼女のファンはとっくに読んでるはず)







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# by foggykaoru | 2017-01-04 21:05 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

神様

「センセイの鞄」でちょっと気になった川上弘美の短編集。
それぞれの話は関連しているような、ないような。

裏表紙に「不思議な<生き物>たちとのふれあいと別れ」とある。
<生き物>なんだかよくわからないけれど、現実には存在しない「変なもの」が出てくる。
そういう意味ではファンタジー?なのかな?
でも、私の感覚ではファンタジーというより、「文学的な試み」という感じ。

すごく好きなわけではないけれど、これはこれで興味深く読ませていただきました。





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# by foggykaoru | 2016-12-30 22:22 | 普通の小説 | Trackback(1) | Comments(0)

枕もとに靴

副題は「ああ無常の泥酔日記」
もともと超人気日記サイト(ブログが登場する以前)にあげられていた記事を精選(?)したエッセイ集。
著者は北大路公子という人。
北海道在住なので北大路、日ハムの「ハム」から公子なんだそうである。

これをきっかけにプロになったというだけあって、そんじょそこらの日記とはわけが違う。レベルが違う。

全般的にはタイトルどおり「泥酔ネタ」。
飲んで酔っ払った、という事実はあるんだろうけれど、今の言葉を使うなら、かなり「盛って」いる。正直、ちょっと引いてしまう。
でも、そういうネタばかりではない。
特筆すべきなのは文章力。
さらに、ときたま挟み込まれている純然たる創作ものがすごい。
中には宮沢賢治と見まごうような作品もある。

もとはと言えば、この人の旅エッセイを書店で見つけて、名前を覚えて、この本を古本屋で見つけて買った、、という経緯がある。
これなら、最初に見た旅エッセイを新刊で買ってもいいかなと思っているところ。普通の旅行記ではなくて、絶対に参考にならないだろうけれど。



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# by foggykaoru | 2016-12-29 11:23 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

東京の空の下オムレツのにおいは流れる

石井好子著。
「暮らしの手帖」連載時にリアルタイムに読んでいた「巴里の空の下・・・」とは違い、こちらは(たぶん)初読。

柳の下の2匹目のドジョウだし、と思って、あまり期待しないで読んだのだけれど、これはこれで面白かった。

食べ物を美味しそうに書いている点では文句なし。
文章に関しては、前作よりもむしろ練れている。
飲食物エッセイが好きな人にはお薦めです。






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# by foggykaoru | 2016-12-23 08:09 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

またやっちまった・・・

「クロワッサンとベレー帽ーーーふらんすモノ語り」という文庫本を読みました。
そしたら、、、

読んだことがあったのでした。こちらを改題したものだったのです。
最後まで全然気づきませんでした。とほほ。



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# by foggykaoru | 2016-12-21 22:38 | エッセイ | Trackback | Comments(2)

太陽の塔

最近ちょっと注目の森見登美彦の出世作。

ファンタジーノベル大賞受賞作だというので、どんなファンタジーかと思ったら、いつまでたってもファンタジーにならない。
その代わりに、恋人にふられた大学生の悶々が延々と。
男子のこういう述懐は、女子の私にはあんまりピンとこないのよね。

結果的にファンタジーなんだろうけど、じゃなくて、確かにファンタジーなんだけど、その要素は10パーセントぐらい。
それでもファンタジーノベル大賞に値するのだというのが、わたし的には発見でした。

「宵山万華鏡」のほうがずっと好きです。

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# by foggykaoru | 2016-12-21 22:27 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

マナーの正体

読売新聞の夕刊に連載されていたエッセイを収録。
十数人の著名人がかわるがわる書いています。
さだまさし、竹内久美子、逢坂剛、鎌田實、藤原正彦、荻原アンナとか、錚々たる面々が。

1篇が見開き2ぺージ。
新聞の連載記事ですから、しみじみ感動するとか、忘れがたい印象が残るというほどはないけれど、どれも一定のレベルには達している。想定内の面白さ。
特に半身浴のおともとして、かなりの日数、役立ってくれました。

そんな本ですが、実はわざわざユーズドで探してまでして購入したんです。
なぜなら友人が
「執筆陣の中に高野秀行もいる」
と教えてくれたから。

高野さん、出世しましたね~

そう言えば、週刊文春にも高野さんの連載記事があるんです。
すっごいですね~

なんかもう、なにも私がせっせと新刊を買ってあげなくても、ソマリランドでの取材費に困ることはないんじゃないか、、、なあんて思っちゃったりして。
序の口、、というのは言い過ぎかな、、、幕下ぐらいから贔屓にしていた力士が、ついに三役に昇進したときの相撲ファンの気持ちというのはこんな感じなのかしら。



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# by foggykaoru | 2016-12-14 20:10 | エッセイ | Trackback | Comments(0)