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怪獣記

しつこくてごめんなさい。これまた高野秀行著です。
前のポストで間違えました。
宮田珠己氏が解説を書いているのはこの本です。

苦渋に満ちたウモッカ騒動の1年後。
高野さんはトルコ東部のワン湖へ向かう。ターゲットは怪獣「ジャナワール」である。

この旅は普段の高野さん的な旅とはちょっと違う。
なにしろトルコ語が堪能かつ有能な助手が同行するのである。
そのおかげもあって出発前の段取りはとてもスムーズ。
なのにしかし、高野さん本人がいまひとつ乗ってない。
乗ってなくても、探索の姿勢は相変わらず真摯そのものなのだが。

トルコに着き、「ジャナワールを探しに来た」と言うたびに大笑いされ、これはフェイクかも、と思いつつも、真面目に探索を続けていくと・・・
なんと、結果が出てしまう。
湖面に浮かぶ謎の生物らしきもの。その写真もしっかりある。

目撃したらどういうことになるか。
「やった~!!」じゃないのです。
これが非常に興味深い。

そして最後が「不惑の怪獣探検」
大真面目なのに笑えます。
高野さん、予算が足りなかったというのは嘘じゃないよね。ネタだったら怒るよ!

でも一番興味深いのは怪獣よりも人間。
ジャナワール目撃者たちとのインタビューを通して人の世の複雑さが透けて見えてくる。

この本と「ウモッカ」をかわりばんこに読み返したのですが、写真のポジとネガみたいな2冊です。どうせ読むなら両方読みましょう。

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by foggykaoru | 2012-09-26 19:52 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

怪魚ウモッカ格闘記

副題は「インドへの道」
著者は高野秀行。

「ウモッカ」とは、インドの漁村で目撃された謎の魚である。
目撃者は「モッカ」というハンドルネームの日本人。「魚+モッカ」=「ウモッカ」となる。
ネット上で話題沸騰していたのを知った高野さんが、自ら探しに行く。

とは言っても、いきなり行くわけではない。まずは準備である。
目撃者や生物の専門家に話を聞き、言語を学び、相棒を探し、ビザをとり・・・

私が唸ったのは、「もしもウモッカが実在するなら、なぜ今まで知られずにいたのか」というくだりである。言語に強い高野さんでなければ気付かない。そして非常に説得力がある。もしかしたら、インド沿岸にはまだまだ未知の魚がいるのではないかと思わせる。

そして出発。
しかし、ここで思いがけない災難が降りかかる。

この本は集英社文庫とあって、昔からの高野さんのファンを自認する人が解説を書いているのだが、今回は「ときどき意味もなくずんずん歩く」の宮田珠己荻原浩という人。このあとがきが熱くて、実にうまい。私の感想文なんかより、本屋に行って解説を読んで!と言いたいのだが、それでは身も蓋もないので引用しておこう。
高野秀行はやってくれました。
やってくれたのはインドのほうかもしれないけど。
結果を求めてはいけません。


これだけは私から言えます。

逆境に立ち向かう高野さんの姿が感動(の笑い)を呼ぶ。
必死に考え出した打開策の多くは「をいをい!」だけれど、そこまで考えるのがすごい。
そして自己を客観視するための「大人」な方策。
ついには、ショッカー、あるいは天馬博士になる。(←年代限定ネタ。)

高野さんがウモッカを知った謎の巨大生物UMAというサイトは、現在更新が止まっていますが健在です。この本の結末には触れていないから見ても大丈夫。


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by foggykaoru | 2012-09-25 08:38 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ミャンマーの柳生一族

高野秀行著。
今回は早稲田の探検部の先輩である作家・船戸与一の付き人(?)として、ミャンマーを旅する。というわけで、高野さんとしては前代未聞の大名旅行である。

ミャンマー出入国は何回もしているが、ほとんどが非合法だという高野さんである。ビザが下りて一番驚いたのはご本人。軍事政権、意外と甘いじゃん。

だったら私も今まで封印していたミャンマー旅行記、ネットに上げちゃおうかなあ・・・

私は初めてミャンマーに行ったとき、現地の人と知り合い、そのお宅に泊めてもらった。行きずりの人についていったのである。「君子危うきに近寄らず」をモットーにしている私にとって、ありえない暴挙だった。でも、「この人は大丈夫」と思った。「この人が悪い人だったら、私の目は節穴だ。何十年も生きてきて、そこまで人を見る目がなかったら、それは私のほうが悪いのだ」と思い、彼女の誘いを受けたのだ。

だが、外国人を自宅に泊めるのは法律違反。泊まった外国人はおとがめなしだが。
ということを知ったのは、2回目にミャンマーに行くために、ミャンマー大使館にビザを取りに行ったときだった。ビザを待っているとき、たまたま居合わせたミャンマー人にその話をしたら、彼は声をひそめてこう言った。
「泊めたことがわかったら、その人は刑務所送りになるんですよ」
驚いた。
あの優しい人たちに、そんな危ない橋を渡らせていたなんて。

ミャンマーの人々の間にどっぷり浸かったあの数日間は、30年に渡る私の海外旅行歴において(英国湖水地方への初めての旅は別格として)最高の思い出である。ねえねえ私の話聞いてよ! 素晴らしい体験だったのよ!! と、できるだけ多くの人に知らせたい。でもそうすると、親切にしてくれた人たちに迷惑をかけてしまうかもしれない。

だからネット上では封印した。

でも、ミャンマーに非合法に滞在したことが明かされている著書があり、しかも英訳すらされている高野さんが大丈夫なのだ。
だったら私が何を書こうが大丈夫じゃん。

でもやっぱり。
私が世話になった人たちは、ミャンマー政府が統治しているエリアで、まっとうな市民として暮らしているのだ。反政府ゲリラなら、もともと目をつけられているのだから、高野さんを入国させようが何をしようが、立場は変わらない。でも、「普通の国民」という位置づけの人たちは、失うものがある。少しでも彼らの平穏を乱す可能性があるのだったら、書くべきではない。


で、高野さんのこの本である。
怖さと奇妙なユルさが同居するミャンマー軍事政権のことがよくわかる。たとえミャンマーに興味がなくても楽しめると思う。とにかく変だから。騙されたと思って読んでみて。

私を泊めてくれた人は、当時、日本留学中の学生だった。ちょうど里帰りしていたのだ。
当然、日本語はペラペラ。
彼女のおかげで謎に包まれたミャンマーという国の姿を垣間見ることができた。
「軍事政権の人たちはろくに学校さえ行っていない。馬鹿ばっかりです」
近所の顔なじみが一堂に会した食事会に出たら、若い軍人がいた。さすが権力者。羽ぶりがよく、美人の妻を連れてきていた。
「あの人、今でこそあんなだけど、就職できなくて困って、しょうがなくて軍人になったんですよ」

よくもまあ、私をあの席に連れていってくれたものだと今も思う。
ものを言ったのは私の「顔」である。
ミャンマー人と日本人は顔立ちがとても似ている。
「この顔ならバレない」と思ったからこそ泊めてくれたし、軍人同席の食事会にも連れていってくれたのだ。

似ているのは顔だけではない。心も似ている。
もっと正確に言うと、「似ていた」
もっと正確に言うと、「似ていたのではないかという気がする」

初めてタイに行ったとき、「日本人は戦前はこんな感じだったのではないか」と思った。
そして、ミャンマーでは「もっと昔、明治以前の日本人はこんな感じだったのではないか」と。
穏やかで実直、働き者の日本人は、宣教師を感動させた。
幕末にやってきたシュリーマンをも。

この本の中で高野さんが「ミャンマーは江戸時代だ」と書いているのを読んで、とても嬉しくなってしまった私である。

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by foggykaoru | 2012-09-21 00:29 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(10)

西南シルクロードは密林に消える

高野秀行著。

シルクロードというのは中央アジアの乾燥した道でしょ!と思い込んでいたら、それ以外にもあった・・・らしい。あくまでも、「らしい」つきのあやふやな話をきっかけに、高野さんは中国からミャンマーを経由しインドに抜けるという、とても蒸し暑そうな道をたどる旅にでかける。
陸路では入れないミャンマーなのだから、当然、密入国である。その手引きを頼む相手は国境付近の少数民族ゲリラ。

こんな旅、高野さん以外にはできないよ! っていうか、他の人はやらないって。(彼自身、そういう旅をするのをライフワークにしているわけで、良い「企画」が浮かばないときの苦悩は深いようで。自分で選んだ道とは言え、大変そうだ)

まだ感想文を書いてない高野さんの著作は現時点であと2冊ある。それらも含めた中で、この本が最高に面白い。
「ありえないでしょ!」という事態のてんこ盛りなのだけれど、事実が面白ければ面白い本になる、というものではないと思う。高野さんの本の面白さは、確かな文章力に負っている。特にそのたくまざるユーモア。私は好きです。

襲いくるヒルをむしりとりながら密林を歩く。車に乗ることもあるけれど、メインは歩き。たまに船。そして象。象に乗るのはとても疲れるんですって。歩くほうがマシなんですって。ハンニバルはアルプス(だったよね?)を越えるとき、象に乗っていたのかな。それともその隣を歩いていたのかな。

ゲリラというのは軍人なので、上官からの命令には忠実に従う。だから、直接的には何の義理もない高野さんの酔狂な企てに、真面目につきあってくれる。ご苦労さん。ほんとにご苦労さん。
もちろんまず高野さんにご苦労さんなんだけど。

この本はすでに読み返しているのだけれど、しみじみ感じるのは、「旅は出会い」であるということ。こんな非凡な企てに対して、あまりにもありきたりな感想でなんだか申し訳ないけれど、やっぱりこの世は人の世。特にミャンマーだし。
というのは、高野さんはアフリカ、特にコンゴリピーターでもあるから、コンゴ人も大好きなようだが、読んでいてミャンマーの人々のほうがしっくりと、心が通じるような気がしてしまうのだ。
個人的体験からミャンマーに肩入れする癖のある私の偏見だろうか。


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by foggykaoru | 2012-09-15 23:35 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

極楽タイ暮らし

いかにもワニ文庫という感じのタイトルだが、まっとうなタイ文化論。著者は高野秀行氏。

西洋一辺倒だった私がアジアに目を向け始めたのは、1989年、短期留学先のフランスで知り合ったタイ人たちのおかげである。それまで「外国人イコール欧米人」だと思っていた私にとって、彼らとの出会いは衝撃的だった。

欧米の言語を学んでいき中級以上に進むと「自分の意見を言う」ことを要求される。これは普通のニッポン人にはなかなかしんどいことである。

そもそも、自分の意見がなかったりする。

欧米では自分の意見が無い人間は馬鹿にされる。
だから無理やり意見を作りだすのだが、これははっきり言ってストレスである。
タイ人グループのユルい雰囲気の中に身を置いてみて初めて、今まで自分がいかに無理をしていたのかがわかった。
ああ、なんて楽なんだろう。
私はこっち側の人間だったんだな。

数か月後、私は初めてアジアを旅した。行き先はもちろんタイ。
旅とは言っても、フランスで知り合った友人宅をハシゴして、あちこち案内してもらっただけなのだが。

町の食堂(レストランにあらず)に入ると、必ずと言っていいほど王様の写真が飾ってあった。
王様を敬愛する、礼儀正しい人々。
天皇と違い、タイの王様は過去の暗い思い出とは結びついていない。それどころか、王様のおかげでタイは植民地化を免れ、平和を保てたのだ。なんと羨ましいことか。
手放しで皇室を敬うことができなくなってしまった、戦後の日本人。
もしかしたら、戦前の日本人ってこんな感じだったんじゃないかな。

タイ人の暮らしは興味深かった。
まず、主婦が料理をしない。
友人たちは断言した。
「タイ料理はとても手がこんでいて、素人には作れない。だから買って済ませる」と。

そしてタイの屋台文化を目の当たりにした。
これだけ食べ物があふれていれば、のんきにもなるはずだ。

そして親子関係。
親がほんとうに優しい。親に限らない。大人が子どもに優しい。一度、友人の甥という人が遊びに来たことがあるが、友人(つまり伯母)の甘あまな態度に仰天した。大学生である甥も「ごろにゃん」と言いかねないほど甘えている。
ここまで優しくされると、優しい大人に育つのかな。

友人の弟という人にも会った。「デザイナーなのよ」と言われていたのだが、会ってみてこれまた仰天。フリフリのフリルがついたブラウスを着ていて、妙になよなよしている。オカマなんじゃないか。

高野さんのこの本は、そんな思い出を新たにさせてくれた。
さらに「私はこっち側」と思わせてくれたタイ人の、日本人とは全く異なる側面も教えてくれる。文化というのは興味深く、不思議なものだ。

2000年刊とあって、現在のタイとはいろいろ状況が違っているところもあるようだが、それによってこの本の価値が下がることはないと思う。


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by foggykaoru | 2012-09-11 23:09 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(6)

怪しいシンドバッド

高野秀行著。
1997年に出された単行本の文庫版。文庫になってから四刷を数えている。なかなか売れてるようです。
さまざまな旅の中から拾ったエピソード集なので、読み応えという意味では「ムベンベ」「アヘン王国」「アマゾン」には及ばないが、面白い。

インドで無一文になった話とか。
そういう話は他でも聞くが、無一文になってからどうやってサバイバルしたかが克明にわかる話はあまり聞かない。

コロンビアの幻覚剤とか、もう、彼の得意ネタですね。良い子はやっちゃいけません。

面白かったのは中国の話。
野人探しはもちろん得意ネタ。
もう1つの「客家を訪ねる旅」なんていうのは、下手をすると「フツ―の旅」かと思われがちだけど、彼の旅はそうではない。深い。ここまで入り込めるのは語学力のおかげ。

それにしても中国という国は変な存在です。
最近、すました顔をして先進国の仲間入りしようとしているようだけれど、「先進国」というカテゴリーには絶対におさまらない。
この本を読んでますますそう思いました。
中国は「中国」というカテゴリーに入れるしかない。

解説は大槻ケンヂ。
今まで読んだ高野さんの本はすべて集英社文庫なのだが、どれも解説が楽しい。熱い。高野さんの作品に対する愛があふれている。
「皆さんはたぶんご存知ないでしょうけれど、これが実はいいんですよ!」というノリで。
なんとなく、ランサム愛を語るランサマイトに通じるものを感じてしまうのは、私の勝手なのでほっておいてください(自爆)



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by foggykaoru | 2012-09-06 21:23 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

アヘン王国潜入記

高野秀行が1995年に敢行したミャンマー(ビルマ)潜入ルポ。

私は1996年にミャンマーに行った。

私のようなごく普通の旅人は空路でヤンゴンに入り、ミャンマー軍事政権が掌握している地域だけを見て廻ることになる。それは世界地図で「ミャンマー」として示されている部分のせいぜい半分程度の面積である。
そこには軍事政権が作り上げたまやかしの平和があり、そして軍事政権を忌み嫌うあまりにも優しい人々との出会いがあった。
私は彼らの幸せを願いつつ、軍事政権に金を落としながら旅している自らを思い、屈折した気持ちの中でこの国に魅せられていった。
魂を揺さぶられる思いだった。
前半生はフランスに捧げた私(←おおげさだ)だけれど、後半生はミャンマーに捧げようかとさえ思った。それほど素晴らしい経験をした。
そして1999年に再訪した。お世話になった人々にお礼を言うために。
でもそれっきり。

ミャンマーごめん。

ミャンマーから足が遠ざかってしまった理由はいろいろある。
いわゆる先進国でない国に行くと、すっかり年老いた親が死ぬほど心配するということはある。
自分も年をとった。あの頃みたいな「えせ」でない本当のバックパッカーの旅をする元気がなくなってきた。
それに加えて、日本からの唯一の直行便だったANAの「関空~ヤンゴン便」が廃止されてしまった。
この路線、私が乗った2回とも、えらく空いていた。横になれて嬉しかったけれど、こんなんじゃ採算取れないだろうと思ったものだ。

なのにミャンマーには空路でしか行けないのだ。
インドシナ諸国を周遊する一環として陸路で入るということができないのである。合法的には。あの国は半鎖国状態だから。

で、この本。
非常に面白かった。
ミャンマーに興味が無い人には敷居が高いかもしれないけれど。

タイ・ラオス・ミャンマーの国境地帯は「ゴールデントライアングル」と呼ばれ、アヘン生産地域としてその名を知られてきたが、高野氏が非合法で潜入した1995年当時には、アヘン生産はミャンマーが中心になっていて、もはや「トライアングル」ではなかったのだそうな。
そしてその「ゴールデン『ランド』」を支配するのは、ミャンマー政府ではなく、ワ族という少数民族である。一般に「反政府ゲリラ」などと呼ばれる。(このあたりの事情は、現在はかなり変わっているようだが)

潜入のための準備がすごい。
タイのチェンマイで1年間、日本語教師として暮らしながら、手引きしてくれるワ族関係者を探し、チャンスをうかがう。

潜入後はアヘン作りをしている「ごく普通の村」で過ごし、アヘン栽培の手伝いをしたり、病気になったり、、、アヘン中毒にもなる!

この本は日本では大して話題にならなかったけれど、英訳され、海外ではかなり注目されたという。世界広しと言えども、ここまでやったライターは他にいないのである。そりゃそうでしょうよ。

解説は早稲田の探検部の先輩である船戸与一。
彼も言っているのだが、高野さんの大きな強みは語学力。
これほどの語学力のある探検家(と私は呼びたい)がこの日本に生まれたことは、1つの奇跡と呼ぶべきなのかも。

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by foggykaoru | 2012-09-03 19:54 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

インド怪人旅行

ゲッツ板谷という人が書いた旅本。
写真は鴨志田穣という人。読んでいるうちに、イラストレーターの西原理恵子のダンナだった人だということがわかった。「ダンナだった」と過去形なのは、故人だから。確かアルコール中毒にひどく苦しんだあげく、癌で亡くなった人だったっけ、、、と思ってwikiで確認したところ、あってました。
というわけで、イラストは西原さん担当。

「インドに行った人は大好きになるか大嫌いになるかのどちらかだ」と言われます。
旅する人は誰もが「自分はどちらのタイプなのだろう?」と興味を持つはず。
ゲッツ氏も同じで、さらに「ハマる人はどこにハマるのか?」というテーマを掲げて旅立つ。
あと2人誘って合計4人旅。
板谷氏と鴨志田氏自身、ひと癖もふた癖もある人間なのだけれど、残りの2人もいろいろと。
「そんな人誘うなんて。悪いこと言わない、やめときなよ」という感じなのです。

そしてゲッツ氏は「インドにハマる若者の多くがやってるにきまっているから」とドラッグに手を出す。(もちろん彼1人ではなくて、4人全員で)
売春窟にも行く。

相当すごいです。

善男善女が読む本じゃありません。
たぶん、多くの人が眉をひそめることでしょう。

でも私は評価します。
たとえ私がインドに行っても、絶対に経験しないこと、絶対に出会わない世界を教えてくれたという点で。
また、いろいろ道草食ってるけど、究極的にはまっとうな本です。
でも他人には薦めません。特に女性には。
読んで不快になっても当方は責任を持ちません。
読みたくなった人は自己責任で読んでください。

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by foggykaoru | 2012-05-16 20:45 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(8)

世界屠畜紀行

内澤旬子著。
この人の名前は「東方見便録」で覚えた。
なんてスゴイ人なんだろう!!と感嘆して。

で、これは内澤さんが単独で世界各国の屠畜事情(彼女は「屠殺」という言葉を使わない)をルポしてまわってまとめた本。もともとは『部落解放』という雑誌の連載記事だった。
実際に見てまわった国の数は少ないけれど、中身はとても濃い。

もともと彼女は動物をつぶす場面を見ても怖いとか気持ち悪いとか感じたことがないそうで(やっぱりスゴイ人だ)、なぜ日本では差別と結びつくのだろう? 他の国はどうなってるの?という、個人的な好奇心から入っていく。

屠畜を汚い作業とみなしたり、動物愛護を声高に叫ぶ社会よりも、「食べるため」として明るくやっている社会のほうがいいな、と単純に思った。
そして、どうやら、そういう社会のほうが「命をいただいている」という、自然界に対する謙遜な態度があるみたい。

さらに彼女はイスラム圏が大得意で、イスラムのおやじとからむのが楽しみなのだそうだ。
うーん、私にはできないことだ。とっても羨ましい。

というわけで、イスラム世界の「犠牲祭」も間近で観察している。この世界では屠畜は日常的な行為だし、差別されない。(ただし、インドにおけるイスラム教徒の事情は微妙に違うそうだ。)イスラムで蔑まれるのは人の心を迷わせるダンサーなのだそうだ。ベリーダンスが好きで習っている日本女性は少なくないし、日本人のプロダンサーだっていることを思うと、非常に複雑な気分になる。

この本はかなりの部分を日本に割いているけれど、これがけっこう面白い。
東京の芝浦屠場。機械化も進んでいるけれど、職人芸が生きている。感動的。日本も捨てたもんじゃないと思った。

(ところで、日本の場合、子どものときに愛読した本にならって、自分でウサギの皮をはいで料理したいと思っても、皮つきのウサギは入手できないのである。数年前、動物愛護団体が「そんな残酷なことをしてはいけない」と文句つけたから、市場には皮をはいだウサギ肉しか出回らなくなった。こんな事情を知っているのは、日本広しと言えども、アーサー・ランサム・クラブの会員ぐらいだろう。)


文庫本だとイラストとそこに書き込まれた説明が小さくて見づらいのが難点。
若い人には大丈夫だろうけど(自爆)

インドネシアと沖縄に行きたくなった。


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by foggykaoru | 2012-02-03 19:25 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(13)

東方見便録

「過去に読んだお薦め本」カテゴリーのポストは何年ぶりだろう?

年季の入ったバックパッカーである、シェルパ斎藤こと斎藤政喜(文章)と内澤旬子(イラスト)の共著。副題は『「もの出す人々」から見たアジア考現学』。
10年くらい前に旅好きの友人たちの間でちょっとした話題になった本。もはやユーズドでしか入手できません。

タイトルから想像されるとおり、アジア各国のトイレ事情である。
ただトイレを見てまわっただけではない。
ただ使ってみただけでもない。
(それだけだって、かなり勇気がいるが。)
たとえば、豚に人糞を食わせるタイプのトイレだったら、その豚をつぶして食べるところまでやってしまうのだ。

とても面白い。
この紹介文で興味を抱いた人には自信をもってお薦めする。
この紹介文でぞーっとした人には薦めない。

でも一気には読めない。少なくとも私は読めなかった。
1日に読めるトイレの数は1つか、せいぜい2つ。胸がいっぱいになっちゃうんですよ。。。
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by foggykaoru | 2012-02-01 21:13 | 過去に読んだお薦め本 | Trackback | Comments(6)