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夜は短し歩けよ乙女

京都ファンタジーの旗手・森見登美彦の小説。

黒髪の乙女に恋した「先輩」が、京都中、彼女を追いかけ続ける話。
「すとーかー」と呼ばれかねない行為ですな。
でも、追いかけること自体は犯罪ではない。
追いかけられている人が追いかけられている事実に気づいていてこそ、犯罪になる。
「先輩」にとって幸いなことに、黒髪の乙女は追いかけられていることを全く自覚していないのでありまする。

本のタイトルが第一章のタイトルと同じなので、一瞬、短編集かなと思ってしまうけれど、四つの章から成る、長編小説です。
一つの章が一つのエピソード。
つまり、夜追っかける話は第一章のみ。

例によって、摩訶不思議な物語が繰り広げられ、楽しく読めます。
でも、男性目線なお話なので、「先輩」に感情移入することは、ワタクシには全く不可能なのでありました。
たぶん、男子、特に若い男子のほうが、キュンとくるのではないでしょうか。

アニメ化されたんですってね。もうすぐ公開ですって。
「先輩」の声を、今や大人気の星野源が担当したんだとか。
彼はめちゃくちゃ演技がうまい。心情に合わせてがらりと顔が変わるのに驚嘆してますが、声優としてはどんなもんなんだろう? (もちろん台詞回しもとてもうまいです。でも、表情が伴ってこそだからなあ)
ちょっと興味はあるけれど、私はあんまりアニメに興味が無いので、たぶん見ることはないでしょう。
ただ、この作品を映像化するなら、アニメは最適な媒体だろうと思います。





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by foggykaoru | 2017-03-13 21:19 | 普通の小説 | Trackback(1) | Comments(2)

ヨッパ谷への降下

筒井康隆の「自選ファンタジー傑作集」なんだそうです。

読んだのが1か月以上前なので、ほとんど覚えていないのですが・・・
彼の大人向けのファンタジーは、大人イコール成人向けでして、かなりエロチック。
この本の中にも「エロチック街道」なんていうのがあるんですが、そっち系は私にはちっとも面白くないのです。男性はドキドキして面白いんでしょうか。きっとそうなんですね。

面白いのは子供が主人公のもの。
「北極王」。実に良いです。なんなんでしょうこのしみじみ感。
そして「家」。とても良いです。ゲドとか出てきそうです。
この二編は、普通に(って何が普通なんだかわかりませんが)ファンタジーが好きな人なら気に入るはず。





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by foggykaoru | 2017-02-25 20:47 | その他のジャンルの本 | Trackback | Comments(0)

バルタザールの遍歴

第三回日本ファンタジーノベル大賞受賞作なのだそうだ。
作者は佐藤亜紀という人。

舞台は20世紀初頭のウィーン。
貴族の若者、それも相当の放蕩息子が主人公なのだが、その主人公が・・・ なにしろファンタジーなのです。
いったいどういうこっちゃ? まさかそういうこと? と思いながら読んでいって、へー やっぱりそういうこと?

退廃的な、落日のウィーンの雰囲気を見事に描きだしている。
そういうムードは私の得意とするところではない(なにしろ「ど健全」な英国児童文学を読んで育ったものですから)のだけれど、西洋史は好きなので、かなりツボでした。
なのだけれど、この作品の「しかけ」を十分に味わうことができるほどの知識は持ち合わせていない。とても残念。

解説は作者の恩師である、池内紀。
この作品のすごさが本当にわかるのは、このレベルの人なのでしょう。
彼をして「なんで佐藤さんはそんなことまで知っているのか!?」と驚愕させている、と言えば、どれほど西洋史マニアをうならせる作品なのかがおわかりいただけでしょうか。

どろどろ おねおねしたムードのファンタジーが好きな人、西洋史、特にオーストリアの没落の歴史に興味がある人に特にお薦めです。









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by foggykaoru | 2017-01-07 22:02 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

太陽の塔

最近ちょっと注目の森見登美彦の出世作。

ファンタジーノベル大賞受賞作だというので、どんなファンタジーかと思ったら、いつまでたってもファンタジーにならない。
その代わりに、恋人にふられた大学生の悶々が延々と。
男子のこういう述懐は、女子の私にはあんまりピンとこないのよね。

結果的にファンタジーなんだろうけど、じゃなくて、確かにファンタジーなんだけど、その要素は10パーセントぐらい。
それでもファンタジーノベル大賞に値するのだというのが、わたし的には発見でした。

「宵山万華鏡」のほうがずっと好きです。

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by foggykaoru | 2016-12-21 22:27 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

宵山万華鏡

最近注目している森見登美彦の作品。
各章は独立した作品としても読めるけれど、密接に関連していて、最後まで読むと一つのまとまりとなっています。

ファンタジーの色合いが素敵です。私の好みです。
宵山というイベントは京都ではよっぽど特別なものなのでしょうかね。
行ってみたくなってしまいます。
でもきっと、行ったら、蒸し暑いだろうし、人ごみに辟易するのがオチだろう・・・




ところで、最近、あることに気づいたんです。
小説というのは、どうやら自分よりも年上の人が書いたもののほうが楽しめるらしい、ということ。

年を取るというのは、身体があちこち具合が悪くなったり、物忘れが激しくなったりするだけでも、なかなかに憂鬱なものなのですが、もう一つ、本好きにとって問題が生じてくる。
自分が年を取るにつれて、巷で目にする本の著者の「年下率」が増していくのです。
だから好きな作家を見つけるのが、だんだん難しくなってくる。。。

そんな中で出会ったのが森見登美彦。
この人の作品は食い足りなくありません。(少なくとも今のところは。)
いやー ほっとした。よかったよかった。








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by foggykaoru | 2016-12-01 21:01 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

新版 走れメロス

「聖なる怠け者の冒険」で興味を惹かれた森見登美彦の短編集。
タイトルで想像できるとおり、古典的な小説のパロディーです。

こういうのはもとネタを知っているほうが面白いもので。
だから、原作を読んだことのある、「山月記」と「走れメロス」は面白かったです。
「山月記」のほうは、ある意味、常識的。
「走れメロス」のほうがぶっとんでいます。
「藪の中」「桜の森の満開の下」「百物語」は読んだことがないのでちょっと・・・

でもそれなりに楽しめました。
「聖なる・・・」の作者ですから、基本、かなりくだらない。

京都の学生のおバカ具合がなかなかです。

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by foggykaoru | 2016-10-26 20:07 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

聖なる怠け者の冒険

「京都ぎらい」でちょっと京都モードになっていたところに、「京都本大賞受賞」という言葉が飛び込んできて、ついつい買ってしまった。

森見登美彦という作家は知らなかったのだけれど、ファンタジーノベル大賞を受賞しているそうだから、この小説もファンタジーなのかな? と思いつつ。
確かにファンタジーでした。ジブリのアニメか何かを見ている気分。

なんともはや、とことんくだらない話です。
どの登場人物にも、感情移入なんかできない。
でも、ついつい読んでしまいました。
(「ついつい」が多いなあ)
そして、もう1度最初からじっくり読み直しました。
ということは、かなり気に入ったらしい(苦笑)

素晴らしき週末、しかも土曜日1日の冒険です。
たった1日のことを1冊かけて書いているということ自体が、わりと好みなんですよね。
なにしろあの長~いランサム読んで育ったもんで。

この作家、もうちょっと読んでみようかな。
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by foggykaoru | 2016-10-20 19:57 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

王への手紙

「CREA2月号」の「大人になっても読みたい少年少女文学100のリスト」で知った。
オランダで最もよく読まれている児童文学なのだそうだ。

思いがけず隣国の王への手紙を託された少年の「行きて帰りし物語」。

非常にテンポが速いです。
岩波少年文庫で上下巻に分かれているというのは、長いと言うべきなのかもしれないけれど、長さを感じさせません。
次から次へと降りかかる試練。それをどんどん乗り越える主人公。
飽きさせずに読ませるけれど、個人的にはちょいと物足りませんでした。
深みが無いというか。

でも、そこが万人受けする要因の一つでもあるのでしょう。。。

作者トンケ・ドラフトは学校の先生だったそうで。
目の前にいる生徒を楽しませようとして書いた物語として、大成功していると思います。


翻訳に関して。
「そなたは」という台詞の中に「~というタイプ」という言葉遣いが混在しているのは絶対におかしい。
あと、「ブラウン修道院」も「茶色の僧院」のほうがよかったのでは?
他の地名が「青い川」とか「みどりの森」「白い丘」なんだから。

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by foggykaoru | 2016-02-09 21:43 | 児童書関連 | Trackback | Comments(7)

旅のラゴス

筒井康隆のファンタジー。一般的にはSFファンタジーと呼ばれているらしいけれど、SFが苦手な私が読める、普通のファンタジーです。ただし、お子様向きではない。

すらすら読めて、真ん中へんから先が読めたような気がしたけれど、予想とは違う展開になってよかった。なかなかのエンターテインメントです。

なぜ「ラゴスの旅」でなくて、「旅のラゴス」なのだろう?

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ところで、筒井康隆は数々の文学賞を受賞している。
以前読んだ「わたしのグランパ」が読売文学賞の授賞作品だと知り、なるほどと思った。
他の受賞作品も読んでみようかな。
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by foggykaoru | 2015-06-14 10:24 | その他のジャンルの本 | Trackback | Comments(0)

わたしを離さないで

カズオ・イシグロ著。
映画作品として先に知っていた。観たわけじゃなくて。
予告編を視て、「あーー、そういう映画か。観たくないな」と思ってそれっきり。

亡父の蔵書だったのです。
少しでも本を減らしたい母が「邪魔だから何か持っていってよ」と懇願するので、しょうがないなあとこれを選んだという(苦笑)

持ってきてからも読まずに数か月。
中年以降、すっかりノンフィクション体質になっているので、フィクションに取り掛かるのにきっかけが必要なんです。
今回は「図書室の魔法」がきっかけ。
まだこっちのほうが読みやすそうだと思った(自爆)

実際、とても読みやすかった。
ほっとした。(なにしろ苦手なSFがらみの物語の後だから)
これも一種の異世界ファンタジーなのだけれど、SFではない。

深い悲しみが底流にある。
私の脳内では淡いピンクがわずかに混じった薄紫の世界。
カタルシスがあるわけでない。
正直、全然好きな話ではない。
でも読み終わって何かが残る。
カズオ・イシグロの力量を感じた。

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by foggykaoru | 2014-10-23 21:23 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)