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わたしを離さないで

カズオ・イシグロ著。
映画作品として先に知っていた。観たわけじゃなくて。
予告編を視て、「あーー、そういう映画か。観たくないな」と思ってそれっきり。

亡父の蔵書だったのです。
少しでも本を減らしたい母が「邪魔だから何か持っていってよ」と懇願するので、しょうがないなあとこれを選んだという(苦笑)

持ってきてからも読まずに数か月。
中年以降、すっかりノンフィクション体質になっているので、フィクションに取り掛かるのにきっかけが必要なんです。
今回は「図書室の魔法」がきっかけ。
まだこっちのほうが読みやすそうだと思った(自爆)

実際、とても読みやすかった。
ほっとした。(なにしろ苦手なSFがらみの物語の後だから)
これも一種の異世界ファンタジーなのだけれど、SFではない。

深い悲しみが底流にある。
私の脳内では淡いピンクがわずかに混じった薄紫の世界。
カタルシスがあるわけでない。
正直、全然好きな話ではない。
でも読み終わって何かが残る。
カズオ・イシグロの力量を感じた。

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by foggykaoru | 2014-10-23 21:23 | 普通の小説 | Trackback | Comments(4)

図書室の魔法

ジョー・ウォルトン作。

本好きの少女の読書生活の描写が延々続くのだが、実はファンタジー、という不思議な作品。
ランサムの言及がほんのちょっとある、ということで、友人たちの間で話題になっていたのだが、ようやく読むことができた。

とにかくいろいろな本(SFとファンタジーが中心)が登場する。
それらを知っていれば知っているほど楽しめる。
私はSFは疎いので、知っていたのはごく一部だけ。ランサム以外は「ナルニア」と「闇の戦い」シリーズ。そして「ゲド」。

そして「指輪物語」。
これは別格の扱いで、最大の敬意が払われていて、しかも物語の進展にも深く関わるので、未読だったら話にならないと思う。

訳語に関して2つ不満がある。
まず、oakを「オーク」と訳すのはなんとかならないのだろうか。
普通の小説ならともかく、指輪物語が関わる話に「オーク」という言葉が出てくると、余計な気をまわしてしまう。Wikiによるとoakは「ナラとブナの総称」なのだそうで、だから、「ナラ」とも「ブナ」とも訳せないと考えたのだろう。でもここはえいやっとどちらかにしてしまい、訳注を付けてほしかった。
それとは逆に、fairyは「フェアリー」なのである。「妖精」という立派な日本語があるのに。「エルフ」と混同される恐れがあると考えたのだろうか?と気をまわしたら、エルフはエルフで後半にちゃんと登場した。

などという文句はさておき、
SFとファンタジーのファンには超お勧め。
ランサムファンは、、、読んでみてもいいでしょうという程度。

ただ、SF&ファンタジーファンであっても、自分が好きな作品が褒められているとは限らないので、そこんとこだけは覚悟してお読みください。



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by foggykaoru | 2014-10-21 21:04 | 指輪物語関連 | Trackback | Comments(6)

獣の奏者Ⅰ~Ⅳ

国際アンデルセン賞を受賞した上橋菜穂子さんの作品。
上橋さんは子供時代の愛読書を問われると、必ずランサムを挙げてくれる良い人です(^^;

読み始めてすぐ、ル=グインの「西のはての年代記」を思い出した。

ⅠとⅡを一気に読み、おおさすが!と感動し、ここで一応終わるからやめようかなと一瞬思ったけれど、思い切ってⅢとⅣまで読んだ。
Ⅱまでのほうが広がりがある。のびやかな感じ。
Ⅲから後は集約していく感じ。
Ⅳは「完結編」。ほんとに完結してしまう。

ああ・・・ ああ・・・

面白かったけれど、読み返す気分にはならない。

Ⅴは外伝。読もうかな、どうしようかな。

上橋さんは子供の本を書いているつもりはないそうなので、カテゴリーは「児童書関連」ではなく、「普通の小説」にしておきます。「普通」なのかな。まあいいや。

「Ⅰ 闘蛇編」に関する情報はこちら
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by foggykaoru | 2014-08-27 22:06 | 普通の小説 | Trackback | Comments(11)

思い出のマーニー

ちょっと暇なので映画でも見ようか、と思っても、今の時期はお子様向けの映画がメイン。何か良いのはないかといくつかレビューを読んだら、この作品、わりと年配らしき、特にジブリのファンというわけでもない人たちの間でけっこう好評なようだったので、観てきました。

原作は友人の勧めで読んだことあり。
英国児童ファンタジー文学の一つの典型だなと思い、かなり好印象でした。
でも大して覚えていない。
ということは、「原作と違う!」と腹を立てる危険性がない(苦笑)ので安心。

ですが、、、
原作の舞台がノーフォークなのに、北海道に変えられてしまっているのが残念。

というランサマイト的な不平はさておいて。

私はジブリ作品をそれほど観ているわけじゃないのですが、ジブリの原作ものは改変が激しいと聞いています。「魔女宅」は後半のふくらませ方が原作と違う。「ハウル」なんて後半から結末まで全然違う。「風立ちぬ」も。あれって堀辰夫原作なんですよね?(観てないけど)
でもこの映画はかなり原作に近い。たぶん。(なにしろ原作をよく覚えているわけじゃないので)

監督が宮崎駿でないせいなのでしょう。
彼は本を1度読んだきりで、その後は思いつきというか、インスピレーションにしたがってアニメ作品にしてしまうのだとか。
(だから、もしも宮崎駿がランサムの作品を映画化したら、きっとお父さんがらみで海軍が出てくるだろう、しかもなぜか飛行機も出てきて、戦争が起こるだろう・・・というネタが一部ランサマイトの間で出たこともある)

今度の監督はちゃんと原作の内容を把握した上で作りましたね。

というわけで、
好印象だった原作の雰囲気をしっかり伝えているし、主人公の気持ちがよく伝わってくるので、わたし的には満足でした。
でも改変されているから、原作ファンが満足するかどうかはわかりません。
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by foggykaoru | 2014-08-18 20:47 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

有明をわたる翼[2013/12/22追記]

ものすごーく久しぶりの演劇鑑賞。
しかも生物系の学会が後援しているという、実に珍しい演劇です。

諫早湾の干拓事業が自然に及ぼす悪影響を憂いた研究者が、自らプロデュースしたもの・・・というと、教訓臭くて説教調なのではないかと、腰が引ける人もいることでしょう。かく言う私も、友人がスタッフに加わっているから観に行ったので、正直「どんなもんなんだろう」と思ってました。

が、

面白かった。
音楽の生演奏がついて、ちょっぴりミュージカルテイストのエンターテインメント。
問題点をわかりやすく提起しつつ、最後まで飽きさせない舞台でした。

脚本は3人で書いたのだとか。
まず訴訟に関わった弁護士が書いた原案に、生物学者が専門的な裏付けを加え、演出家がさらにアイディアを出したのだとか。
ほんとにその3人だけ? 
だとしたら、その中に相当な本読みがいるに違いない。

公演は明日まで。場所は東京の阿佐ヶ谷です。
興味のある方は「有明をわたる翼」で検索してみてください。


[2013/12/22]
諫早湾を「殺した」堤防ですが、「2013年12月20日までに水門を開放するべし」という判決が出ました。
でも最終期限を過ぎた現時点でも閉鎖されたままだそうです。
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by foggykaoru | 2013-12-21 23:10 | 観もの・聞きもの | Trackback | Comments(9)

『十二国記』読み始めました

ありえない暑さですね。もはや熱いと言いたい。
今日(あっ、もう昨日になっていた!)、新宿のデパートにいる間にゲリラ豪雨が降りました。
私が出るころには止んでいたのですが、雨上がりの新宿通りの熱気はさめることがなく、まるで大浴場のような温度と湿度でした。
ベトナムやミャンマーだったらスコールの後は気持ち良く散歩できるのに。
ほんとうに今年の日本はどうかしている。


ということはさておき

旅行前に『十二国記』シリーズ、読み始めてました。友人たちのブームに遅れること5年? もっと?
このシリーズには興味はあったのですが、どういう順番で読んだらいいのかわからず、手をつけかねてそのままになっていたのです。
このほど新潮文庫が帯に番号を振って大大的に売り始めてくれたので、ようやく読めることになったわけ。

で、このシリーズには大きな問題点がある。
それは「題名」。
どの話がどの題名なのか、さっぱり覚えられない。
だから友人たちに読む順番を尋ねても、明快な答えが返ってこなかったんだなと納得しました。

文庫の帯に1がついてる『月の影 影の海』上下巻。女子高生・陽子がいきなり苦労するお話。
2がついている『風の海 迷宮の岸』。小学生男子・高里がいきなり飛んで、自分の役割におたおたする話。
3がついてるのが『東の海神 西の滄海』。延の国作りのお話。
4は『風の万里 黎明の空』上下巻。陽子プラス2人の女子が苦労するお話。
(ふう・・・。題名書いてもやっぱり覚えられない)

旅行前に読んだのはここまで。

1の前半の激烈さには圧倒されました。怖くて読めないわけじゃないけれど、後半になって正直ほっとした。
2は麒麟がかわいい。
いちばん気に入ったのは3。これはいい。後半、ある人物の変質のテンポがあまりに速くてついていけなかったところもあるけれど、全体的には唸りました。国家とか為政者のあるべき姿とか考えさせられるし。そして王と麒麟のコンビが魅力的。これに触発されてBL書いちゃう人、いっぱいいそうです。(このコンビに限らず、王と麒麟の関係は二次創作のネタとして使えそう)
4は若干安易な気がしました。面白かったけど。

面白かったけど
このシリーズは鼻から血を出すつらい治療の合間に読むのには向いてません。
思わず有川浩のラブコメに癒しを求めてしまったことを白状します(苦笑)


そして、旅行後、唯一題名を覚えることができる『魔性の子』を読みました。
これは帯に「ゼロ」が振られているので、後回ししてOKなんだなと理解して。
他を読んであったからストレスゼロでしたが、最初に読んだら、ちょっとストレスだったかも。でも、ものすごい不可思議感にとらわれて、もっと感動したかも?


異世界に行くファンタジーものは、今まで英国児童文学で親しんできたので、いきなり日本の子が飛ばされてしまうのにも全く違和感無かったのですが、飛ばされる先の世界をこんなふうに作り込んでいる作品は初めてです。現実世界とはシステムが根底から違うのです。
そして、そのシステムを、ある程度物語が進んだところで、説明役のキャラが登場して、折りに触れて(嫌にならない程度に)説明してくれる。とっても親切です。っていうか、これが普通の物語作法というもの。いきなり「ホビットについて」で始めちゃった某教授とは全然違う(苦笑)

優れたエンターテインメントです。
友人の間で話題になっただけのことはある。

そう言えば、フランス語にも翻訳されているんですよね。
漢字が使えない言語でこれを翻訳するのは大変だろうな。
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by foggykaoru | 2013-08-13 00:25 | 児童書関連 | Trackback | Comments(8)

ホビット

この映画の公式サイトはこちら

原作の『ホビット』は正直、苦手です。
2度読んだけど、何が面白いのかわからなかった。
だから今回の私にとってのいちばんのツボは、主人公ビルボがBBCのドラマ「Sherlock」のジョンで、シャーロックがこの作品最大のキャラ・スマウグ役だ、というところにあったのでした。をいをい。
それに監督がPJです。
あの難しい『指輪物語三部作』の映像化に(文句付ければきりがないけれど、一応)成功した彼が作ったんですから、無視するわけにはいきません。

それでもやっぱりホビットを自分1人で受け止める自信がなかったので、『旅の仲間』而してその正体は『指輪の幽鬼』と連れ立って観に行きました。
わざわざIMAXシアターのあるラゾーナ川崎まで。
苦手な3Dも、PJが頑張ったと聞けば、これまたしょーがない。
なんか保護者の気分です(苦笑)

観たあと仲間が口を揃えて言ったのは「懐かしい」
故郷に帰った気分でした(爆)

それにしても、あんな短い原作をよくも3つに分けたもんだ。しかも170分!! 長い!!!
前半が少しまったりしすぎ、という評のとおりでした。ちょっと寝ちゃったもん。
旅にでかけた後は、PJお得意の活劇です。さすがです。後半はあっと言う間。

長くなったのは、改変したせいではありません。
指輪物語3部作のあと、脚本担当者たちは、改めてトールキンの他の作品も勉強したのでしょう。そのあたりの説明がとてもきちんとしている(と思う)。幽鬼度の高い友人によると、原作シリーズファンのウケがいいそうで。
でも、長くなった最大の理由は、原作でおそらく2、3行で片づけてる場面---「彼らはこの道を大変な思いをして通り抜けました」みたいに---を20~30分かけて描いているせい。
しかもドキドキハラハラ度500パーセント増し(笑)
だから原作ファンでなくても、楽しめるんじゃないかと思います。(よくわからないけれど。)

そうそう、ジョン、、、じゃなくてビルボはよかったです。
原作の正しいビルボ。原作好きじゃないけど(くどい!)。好感が持てます。

以下はネタバレ・・・というほどでもない?
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by foggykaoru | 2012-12-24 23:35 | 指輪物語関連 | Trackback | Comments(6)

ダイヤの館の冒険

「ミス・ビアンカ・シリーズ」の2巻目。
1巻で勘違いしたけれど、これこそが、その昔「ミス・ビアンカの冒険」という名前だった本。原題も「Miss Bianca」

というわけで、彼女の物語です。
もう1人(1匹)登場して、ここぞというときに活躍するけれど、八割がたはミス・ビアンカの単独行なので、ちょっとさびしいと言えば言える。でも十分面白かった。

イギリス臭さの根源である「身分の違い」に関して、今のイギリスの子どもはどう感じるのでしょうね。イギリス好きの日本人にはぐっとくるところなんだけれど。
もしかしたらこのシリーズ、イギリス本国では、もうあまり読まれていないのかも・・・なんて思ったり。

「ミス・ビアンカ・シリーズ」のうち、新刊で買えるのは1巻のみ。
2巻目以降はユーズドでしか入手できないのだけれど、巻によっては、けっこう驚きの高値です。
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by foggykaoru | 2012-11-21 19:45 | 児童書関連 | Trackback | Comments(0)

くらやみ城の冒険

マージェリー・シャープ作。
子どもの頃に親しんだ児童書の多くを読み直したけれど、まだこれが残っていた。

今や「ミス・ビアンカ」シリーズになっているけれど、私が初めて読んだときには、まだこの1作しか翻訳されていなくて、タイトルも「ミス・ビアンカの冒険」「小さい勇者の物語」だった。
その後、たぶん大学生ぐらいのときに再読したと思う。
というのは、「なんとイギリス臭い作品だったのか」と驚嘆した記憶があるから。

今回再読してみて、なるほどと思った。
そして、大学生のときよりもさらに「これがイギリスだ」と思い当たるポイントが増えていたので、自分の成長が嬉しかった(笑)
主人公はミス・ビアンカはネズミ。
でもただのネズミじゃない。貴婦人なのだ。
そんな彼女が、身分は低いけれど実直な男性(!)ネズミをしたがえて活躍する、その人間関係、じゃなくてネズミ関係がツボ。
ミス・ビアンカは貴婦人らしくすぐに気を失うのだが、育ちがいいお嬢様というのは怖いもの知らずなので、思わぬたくましさを備えていたりする。

訳者あとがきに「著者はジェーン・オースティンが児童書を書いたらこういう作品を書くだろうという線を狙った」とある。
これまたなるほどです。
ジェーン・ォースティンを読んでないときにはわからなかった。

これは名作です。続編読むかも。

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by foggykaoru | 2012-11-08 20:04 | 児童書関連 | Trackback | Comments(8)

テメレア戦記Ⅲ・Ⅳ

テメレア戦記Ⅰの感想文はこちら
テメレア戦記Ⅱの感想文はこちら

Ⅲの副題は『黒雲の彼方へ』。情報はこちら
Ⅳの副題は『象牙の帝国』。情報はこちら


気高き竜テメレアとその担い手ローレンスの異文化遭遇の旅は続く。
中央アジア、イスタンブール、東欧・・・


ようやく辿り着いた英国はピンチ!
そのためにさらなる旅を余儀なくされる。今度はアフリカだよん。
で、最後になってとんでもない成り行きに。

パラレル英国における軍記ものだと思っていたのが、どんどん違う方向に発展していく。
竜を擁する空軍というのは、一種アウトローの世界。
伝統的な「英国」の規範や常識から多少逸脱している上に、テメレアとともに「英国外の世界」に目を見開かれてしまったローレンスは、「ひたすら英国に忠誠を尽くす」ことが進むべき唯一の道であるとは、とうてい思えなくなっていく。

こんな話広げちゃってこの後ちゃんと続けられるのか?>著者
というのが正直な感想。
Wikiによると、すでに英語版は7巻まで刊行されているそうなので、ちゃんと続くらしい。。。

で、今頃になって気付いたのだが、どうもこのシリーズ、私には読みやすくないようだ。
というのは、2行ぐらいの説明で場面が変わってしまうので、斜め読みしていると、
えっ、いつ船に乗っちゃったの?!
みたいなことになり、あわてて数ページさかのぼって読み直さなくてはならないのだ。
1つ1つの場面の描写はとても濃密で面白いのだけれど。

こういう書き方の小説として思い出すのは映画「マスター&コマンダー」の原作。
あれもシリーズなのだが、1作だけ読んでギブアップした。
さすが、あの映画を観て英国海軍ものにハマったという作者だけのことはある(苦笑)
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by foggykaoru | 2012-07-27 21:59 | 児童書関連 | Trackback | Comments(0)