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ヴォイス

『西のはての年代記』の2作目。

若干SFの匂いがした前作とは違い、こちらは100パーセント、フォークロアっぽいファンタジーなので、ほっとしました。
そして、前作では抑圧のタネが父親で、「少年の苦しみと成長」がメインだったのに対し、こちらは侵略者からの抑圧に耐える民の話。このほうが気が楽でした。
どうやら、自分の内にある問題よりも、外的抑圧のほうが、まだ耐えられるようです。(こう感じるのは私だけなのでしょうか、それとも一般的にそうなのでしょうか?)

敵である侵略者も、主人公の側も、のっぺりと一面的でないところがいい。

そして、タイトルともなっている『ヴォイス』、つまり声。つまり語ること。
何かを語る声が、ここぞというときに、どれほど力を持つか。
難局においてリーダーに求められる資質のひとつなのでしょう。

注:このへん脱線です。作者がこの本にこめたことは多岐にわたっていうので、興味のある方はご自分で読んでみてください。
それにつけても我が国のリーダー、語れませんなあ(ため息)
今の日本に必要なのは、まともな語り部なのだと、実感しました。
(まともじゃない語り部は不要。それは単なる扇動者。)


まだ3作を読んでいないから、早すぎるかもしれませんが、あえて言ってしまいましょう。
このシリーズは、多感な10代にこそ読んでもらいたい。
普通にファンタジーだと思って楽しみながら読んでいるうちに、心の中に「知」の種が播かれることでしょう。それは教科書や授業では、おそらく教わることがない、深い「知」なのです。

でも、というより、だから、あまり私の好みではないのです。
人生後半にさしかかったオバサンには、そういうことすべてが透けて見えてしまう。それがうるさいのよ。身も蓋もなくてゴメンね。

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ここから後も脱線。
本とは直接関係ないのでご注意ください。

日本には、ビジョンを語り、将来へ導いてくれる人がいない。

昔から「日本は国民は優秀だけど、トップがダメ」という話はありましたが、福島原発問題を通じて、そのことが全世界に知れ渡ってしまったんじゃないかと。

今まで数十カ国を旅して、いちばん優しい人々に出会ったのはミャンマーでした。
「こんなに優しい人たちが、なぜ軍事政権にひどい目に遇わされなければならないのか?」という疑問を抱き、「もしかしたら、優しいからこそ、いいようにやられちゃうのではないか」と思いいたりました。
そして、その思いは自然に我が日本へ。
「日本の場合、国民が真面目でおとなしいから、リーダーが育たないんだろうな」と。
理屈っぽくて自己主張の強い国民を抱えた国(たとえばフランスね)のリーダーは、普段から自国民に鍛えられてるから、良きにつけ悪しきにつけ、リーダーらしさが身に備わっているのではないかと。サルコジは嫌いだけどさ。
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by foggykaoru | 2011-04-14 20:04 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

ギフト

「ゲド戦記」のル=グインによる異世界ファンタジー。
ゲドはあんまり得意じゃないのですが、挑戦してみました。

「西のはて」の世界の高地には、各部族ごとに固有のギフト(超能力)を持つ人々がいる。
ある部族の長の息子であるオレックは、そのギフトが強すぎ、自分でもコントロールできないため、父親によって封印されてしまう・・・。

最初から明るい話ではないのだが、封印されるあたりから、かなり苦しくなる。
自分がコントロールできない力って、原発みたいじゃん。
今、原発にうんざりして、癒しが欲しくてファンタジー読んでるのに。

正直、途中でやめようかと思ったぐらい。

でも、終盤になり、事態は急変します。
最後はカタルシスがあります。
途中が苦しかっただけに、ほっとしましたし、感心しました。
実に知的に作りこまれています。さすがです。

さすがなんですが、やっぱりあまり得意じゃない。
この作品は、『影との戦い』と同じく、「少年が大人になるときに避けて通れない精神的格闘」の色彩が強い。
ゲドには無くて、この作品にあるのは、「息子にとっての父親」というテーマ。
これは現代の日本にも十分通用する、というより、父と息子の間に存在する永遠の問題なので、そこがすごいと思う人もいるかもしれない。実際すごいんですが。
でも、私はそういうことをファンタジーには求めていない。
ファンタジーどころか、そもそも小説に求めていない。

そう言えば、最近読んだ『卒業の夏』も(父子問題は無かったけど)「荒ぶる青春の雄叫び」という感じでした。だからあまりハマらず、淡々と読み終わってしまったのかも。

あと、この作品は十分にSFともなりうる。SFの匂いがする。(ル=グインはSFも書いているそうですね。)
私はSF、あんまり得意じゃないんです。

私が好きなファンタジー、それは「あらあら不思議。イギリスの古いお屋敷では、運がいいと何百年も前の子どもたちに出会えるんです」的なファンタジーのほうで。

さんざんいちゃもんをつけましたが、これでも続編を読む気はけっこうあるのです。
そのぐらい良い作品でした。

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夕方の余震は職場に地震予知警報が流れ、カウントダウンとともに揺れを待ちました。どんぴしゃりで揺れ始めたので、「おお!」と感動(?)しましたが、それにしてもいきなり揺れるのとどっちが精神的に楽なんだろうか?と疑問にも思いました。

つい2、3分前にも余震。

しかも震源地は原発のすぐそばときてる。暗澹。
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by foggykaoru | 2011-04-11 20:53 | 児童書関連 | Trackback | Comments(12)

グリーン・ノウの煙突

ルーシー.M.ボストン著。
「グリーン・ノウ」シリーズの第二弾。
数年前、最初の作品である「グリーン・ノウの子どもたち」を読んだのだが、なぜか続編をぜひ読もうという勢いはつかず、そのままになっていた。

今回この本を読んでみて唸った。
これぞ英国ファンタジー。
英国好きの人、ファンタジー好きの人、必読です。

イギリスの古い屋敷には、そこに暮らした何代もの人々の魂が今もひそんでいる。
こちらに見る目さえあれば見える。
聞く耳さえあれば聞こえる。
今回、主人公の少年の前に現れるのは18世紀末から19世紀初頭の人々。
映画「アメイジング・グレイス」と相当かぶっていたというのも、ハマった理由の1つかも。

何が現実で、何が幻か。はたまた、何が作り話で、何が実際に起きたことなのか。
すべてが混然一体となって、心地よいハーモニーを奏でている。
この作家、ただものでない。

著者のマナーハウスに、下宿人として暮らしたのが、かの林望氏。
そう言えば、子どもの頃からの「グリーン・ノウ」ファンで、このマナーハウスを訪問したという友人がいましたっけ。写真を見せてもらったときはピンとこなかったのですが、この本を読んで、がぜん行きたくなりました。


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今日、ようやく成分無調整牛乳を買うことができました。
明日から美味しいミルクティーが飲めるぞっ!

でも原発の状況はちっとも好転しませんね。
トップは責めを負ってもしかたがない、、、というより、負うべきだと思いますが、現場で作業をしている人々はその尻拭いをさせられているようなもの。しかも自分の命を危険にさらして。
「長期化する」という簡単な言葉の裏にある、あまりにも重い現実を思うと、言葉を失います。
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by foggykaoru | 2011-04-05 20:02 | 児童書関連 | Trackback | Comments(12)

豆つぶほどの小さないぬ

佐藤さとるのコロボックルシリーズ第二弾。

今回の主役は人間ではなく、コロボックルの少年少女たち。
彼らが「豆つぶほどの小さないぬ」を探しまわる。
それと同時にコロボックル新聞を始めたり。
そのあたり、「ごっこ感」が濃厚に漂っていて、ランサム・サガに非常に近い。特に「六人の探偵たち」のノリに。ただ、「六人~」は無実の罪を着せられるという、はなはだキツイ状況と裏合わせになっているけれど、こちらはそういったことは全くないので、お気楽ムード満点。
たぶん、子どものときに読んでいたら、「だれも知らない小さな国」よりも好きになっていたのではないかな。
でも、今の私には「だれも~」のほうがしっくりきた。

神宮輝夫氏のあとがきを読むと、なんだか微妙なことが書いてあり、コロボックルシリーズはこで打ち止めにしてもいいのかな・・・という気分になってしまうのだが、実際のところはどうなのだろう?


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水道水に放射線物質が含まれているって・・・気分悪過ぎ。
1人でいると、つい考えてしまって、普段からあまり調子が良くない胃がさらに悪くなりそうです。
仕事があるおかげで気が紛れて、かなり救われています。
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by foggykaoru | 2011-03-24 19:55 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)

だれも知らない小さな国

これも地震前に読んだ。

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佐藤さとる作。
この本は昔読んだことがある。
誰かからのおさがりの本として、8歳年下の弟の本棚にあったのを、高校か大学のときに読んだのである。
「日本でもようやくファンタジー作品が書かれるようになったんだな」と感慨深かったことを覚えている。
今回再読してみて、やっぱり面白いと思った。

でもこの人の作品は決して子ども向けではない。
明らかに大人の物語。「子ども時代を大切にしている」大人の物語。
たまたま子どもにも十分楽しめる作品にしあがっているということなのだ。

「佐藤さとるファンタジー全集」が復刊されたらしく、近所の図書館にずらりと並んでいた。

せっかくなので、続編も読んでいきたい。

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今日から通常営業。
仕事で忙しかったので、気が紛れました。
帰りに牛乳を買いにスーパーに行ったら、売り切れでした。
私は毎朝生姜入りミルクティーを飲むのに(涙)

私の住んでいるところは計画停電の表に入っていません。
でも今日、突発的な大規模停電になるかもしれないというので、かなり緊張しました。
これ以上節電できないと思っていたのですが、トイレの便座のことを思い出し、プラグを抜きました。
このところ、ホットカーペットも完全にオフにしているのですが、今日は相当寒いので、ロングのダウンコートを着こみ、膝かけがわりに毛布を巻いています。
このダウンのおかげで、寒波のヨーロッパでも不安なく歩き回れたのですが、東京の冬には暖か過ぎて、ほとんど出番がないのです。思わぬところで役に立ちました。
そうそう、加湿器もオフにしているので、マスクをして、喉の乾燥を防いでいます。
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by foggykaoru | 2011-03-17 21:24 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)

アスランと魔法の島

私にとっては「朝びらき丸 東の海へ」なんですが。

英国児童文学マニアの仲間たちと一緒に観てきました。
どれほど改変されているかと覚悟して行ったら、まともだったので、あてが外れてしまいました(爆)

「ナルニア国ものがたり」の中で、3巻は単独の映画にするよりも、連ドラ向きの作品です。下手をすると、ものすごく散漫な映画になりかねないので、ちょっと心配していたのですが、なかなかうまくまとめてありました。確かにいろいろ改変はあります。また、ナルニア映画すべてに言えることなのですが、短い原作の中であっさり述べられていることが、ド迫力の映像になったりしています。でも、ツボははずしていません。原作既読者が安心して観られる仕上がりです。松浦美奈さんの字幕翻訳もまともです。なっちだったら「ドーントレッダー号」「ダッフルパッド」になっていたことでしょう。「ロード・オブ・ザ・リング」も松浦さんに担当してもらいたかった。。。

観てから、日頃参考にさせていただいている「Love cinemas 調布」「超映画批評」のレビューをじっくり読みました。原作既読者は興味深く読めるはず。「原作がそうなっているんですもん。しょうがないんですよ」と言いたくなること請け合い(笑)

今回が3D初体験でした。絵から水がこぼれてくるところはよかったけれど、メガネ2つかけるのは非常に鬱陶しかったです。あれだけのために追加料金を払うのは、もう勘弁してください。

以下はネタバレ&突っ込みです。
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by foggykaoru | 2011-03-09 21:57 | 児童書関連 | Trackback(5) | Comments(9)

異変の原因

おとといから当ブログのアクセスが異様に伸びています。
いったい何が原因かと、検索ワードを調べてみたら・・・
「松露とり」がトップ。
でも、実質的なトップは「スーザン」です。「ナルニア スーザン」と「ナルニア国物語 スーザン」を合わせると、当ブログの1日平均アクセス数をはるかに上回ります。
世の人々の心を揺さぶるのですね、あのスーザン。

せっかく飛んできてくださったのに、ナルニアブログじゃなくてごめんなさい。
せめてもの罪滅ぼしとして、ウィーンの書店で撮ったナルニア関連の写真のご紹介。

c0025724_10205156.jpg店員さんに気付かれないように、ノーフラッシュであわてて撮ったのでひどいピンボケで、これ以上大きくできません。


映画公開に合わせてこういう表紙の本が出ること自体は驚きではないのですが、本を開いてみてちょっとびっくり。

c0025724_10294872.jpg

本自体はちゃんとした翻訳本。なのにところどころに映画の写真のページがある。
日本だったら、映画関連の写真はあくまでも映画のムックでしか見られませんよね。

c0025724_10333219.jpgこちらは7巻ボックスセット。背表紙のデザインが工夫されていて、「NARNIA」と読めるようになっている。7巻で6文字だから最初のNで2巻分。


年末のパリ・ウィーンの旅の顛末は、メインサイトで連載中。
ナルニアのナの字も出てきません。
出てくるのは「の」の字だけですので、あしからず。
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by foggykaoru | 2011-02-27 10:47 | 児童書関連 | Trackback | Comments(8)

たのしい川べ

ケネス・グレアム著。
英国児童文学の名作として知られるこの作品ですが、読んだのははるか昔に1度きり、しかも英語で読んだ、というアブノーマルな出会いでした。
実際のところ、読みこなせたという自信もなく、改めて読んだら自分がどう思うのかが、ずっと気になっていたのです。
今回、きちんと(?)日本語で読んで、ようやくこの作品の感想というものを語れる状態になりました。


渋いじゃん。これを面白がれるのは、もしかしたら大人のほうかも。
子どもが夢中になるのは「プーさん」のほうでしょう。

なにしろ登場人物、もとい、登場動物がイギリス人そのもの。
人(?)づきあいが悪いけれど、実はとても良い人(?)で、いざというときに頼りになるアナグマ。
ヒキガエルは地方のジェントリーとか呼ばれるような家のボンボンですね。
川ネズミがむちゃくちゃいい奴で。気のつかいかたがすごい。こういう気の使い方をするのは大人です。で、大人が読むと、ほろっときてしまう。
もちろんモグラも可愛い。っていうか、冒頭のモグラの行動の唐突さにびっくりです。ま、そうしないと物語が始まらないし、そこがいいんだけど。

彼らの行動規範は英国紳士のそれです。
見栄っ張りのヒキガエルはどのようにならねばならないのか。

旅ネズミの話をきいて、正気を失い、どこかにでかけたくなる川ネズミ。
普通はそこで旅にでかけるんです。そして物語が始まる。冒険が始まる。
でも、この物語ではそうはならない。
何よりも大切なのは「かくあるべきもの」だから。

でも、なによりも感じ入ったのは、石井桃子さんの訳文。
私のいちばんのお気に入りの章である「あかつきのパン笛」から引用します。

大きな半円をえがいた白いあわ、きらきら光る、青い水のもりあがり---大きな堰が、岸から岸までよどみの水をせきとめて、しずかな水面にうずを巻かせ、あわをたて、そのおごさかな、こころよいとどろきで、ほかのいっさいの物音をかき消していました。流れの中ほどに、きらきら光る堰の両腕にいだかれて、水ぎわにヤナギや、ハンの木を繁らせた小島が1つありました。えんりょがちに、はずかしそうに、そのくせ、いかにも意味ありげに、ベールのかげに、なにか大きなひみつをかくしているようすをしています。

こんな日本語が書ける翻訳者は、今の日本にはもはやいないんじゃないでしょうか。
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by foggykaoru | 2011-02-16 20:27 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)

もうすぐ公開です

c0025724_1911765.jpgナルニア第3作。「朝びらき丸、東の海へ」、、、じゃなくて「アスランと魔法の島」でしたっけね。

アスランはともかく、魔法の島かよ・・・という突っ込みはさておき、パリで見かけたこの広告。
この画像を見ただけでも、相当改変されているであろうことは容易に想像できます。
だって白い魔女ですよ、この女性。

というわけで、この映画は1人では観に行かないつもりです。
みんなで観て、みんなでネタにするのを楽しみにしています(爆)

と、ここまで書いて、そろそろ試写を観た人のレビューがあるかなと思って見に行ったら・・・けっこう高評価!
ここです。
ネタバレしなくない人は、とりあえず得点だけチェックすることもできます。

まともに期待していいのかな?
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by foggykaoru | 2011-02-15 20:00 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(4)

地底旅行

子どもの頃、抄訳で読んだジュール・ヴェルヌの作品。
今までに「十五少年漂流記(二年間の休暇)」「八十日間世界一周」を読みなおしてみて、「子どもの頃はこんなご都合主義な話にわくわくしたのか!」と少なからず呆れたのだけれど、それらに比べたら、これは面白かった。ロマンを感じた。

ご都合主義は同じなんだけれど。
最大のご都合主義は、地底の湖上(海上?)に、帆走するのにちょうどいい風が吹いていることだ。

いちばん面白いのは、火山にたどりつくまでの苦しい道のりなのかも。

当時のアイスランドはデンマーク領だったのね。
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by foggykaoru | 2011-01-27 21:37 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)