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シベリア追跡

椎名誠の旅もの。
彼の旅は多くの場合、テレビ等の企画がらみだが、これもそのひとつ。
江戸時代にアラスカに漂着し、ユーラシア大陸に戻ってからロシアを横断し、エカテリーナ女帝に謁見したあげく、やっとの思いで帰国を果たした大黒屋光太夫の足跡をたどる。

椎名誠の本はお気楽路線であるが、この本はちょっと真面目。
なにしろ旅がつらい。
凄まじい風の吹きすさぶアラスカの離島。
そして、今のロシアじゃなくて、ソ連。
ゴルバチョフ時代なのだから、それ以前よりはマシなのだろうけれど、今のシベリアと比べると、非常に敷居の高いソ連。
そこに、極寒の時期に滞在する。
なにしろ光太夫の体験にならわなければならないのだから。

シベリア鉄道の北に、第二シベリア鉄道と呼ばれる鉄道が走っていることは知っていた。(シベリア旅行のとき、そちらに行く列車を見た)
その沿線は永久凍土地帯なのだけれど、、、
いやーーーー  
人間が住むところじゃないよ。

行っちゃったはいいものの、飛行機が飛ばなくていつ戻れるかわからない、それもサービス不在のソ連で。
という苦労をしたあとで訪れるイルクーツクが、ほんっとに鄙にもまれないいところだということがよくわかる。

椎名さんたちテレビクルーは、そののち、夏にもソ連を訪れるけれど、なんと冬のほうがいいんですと。氷に閉ざされて美しいから。


なにしろ古い話だから、どなたにもお薦め、とは言わない。
私には非常に面白かった。シベリア鉄道の旅をして、そこそこ土地柄を知っていることが大きい。
というわけで、あの旅に誘ってくれた友人には、自信を持って強くお薦めしたい。




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by foggykaoru | 2017-09-20 07:07 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

東南アジア 全鉄道制覇の旅

副題は「タイ・ミャンマー迷走編」
著者はバックパッカーの大御所・下川裕治氏。

バックパッカーに超超超お薦めです。
別に「テツ」でなくても大丈夫。(現に私はそうじゃない。)

東南アジアの鉄道なら8割がた乗っている、という自負のある下川氏。
じゃあ、もうちょっとで制覇できるぞ、と思ってやり始めたら・・・

もうたいへん。

後悔の連続。

まず、タイ。
今のバンコクから想像しちゃいけない。
バンコクはタイの中でも例外なのです。
タイ全土に漂うのは、あいかわらず、ゆるーーーーーい 田舎の雰囲気。
で、時刻表はぜんぜんあてにならない。
時間があてにならない、というレベルではないのである。
(もちろん、時間はあてにならないのだ)
田舎には時刻表には載っていない列車がざらにある。
下川氏の考えでは「タイ人は、面倒くさいと省略するから」

!!!!!

で、おつぎがミャンマー。
この国の鉄道が相当ヒドイというのは、下川氏の他の本でも読んだけど、、、

ほんとにヒドイ。

整備されていないし、地元の人でさえ、どこをどう走っているのか、よくわからなかったりする。
聞いても、人によって答えが違ったり。

どちらの国も、移動手段として、バスのほうがメインになってしまって、鉄道はまあ「どーでもいー」存在に成り果てているということなんだけど。

それにしても
下川さん、ほんとうにお身体大切に。

そして、私たち読者のために「トホホ」な旅を続けてください。









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by foggykaoru | 2017-09-09 14:03 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旅をする木

これも旅の前に読んだんでした。

星野道夫著。
本屋に行くと、しょっちゅう目につき、ずっと前から気になっていた本です。

でも、アラスカの話でしょ。
私は自然ばかりのところは得意じゃない。
興味があるのは、人間の暮らし。営み。
しかも、しみじみしていて、じっくり味わう本でしょ。
そういうのも、実はあんまり得意じゃないのよ。

と思って、ずーっとスルーしていたのですが、今回、ブック○フで108円だったので、ちょっと勇気を奮って読んでみたのです。

1999年第1刷。2016年第33刷。
すごいロングセラー。いつも本屋にあるわけだ。

読んでみて

確かにしみじみ。
じっくり味わうタイプの本。
でも、思いのほか楽しめた。
星野さんの文章力に負うところが大きいと思う。
厳しい大自然に囲まれてみたいという気になる。

さらに、とても意外だったことがひとつ。

星野さんがアラスカに惹かれたきっかけは、北のさいはての集落の写真。
厳しい大自然の中で暮らす人々が、彼の興味の対象だったのだ。

そこにぐっときました。
星野さんを身近に感じました。



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by foggykaoru | 2017-08-25 22:07 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

探検家、40歳の事情

ご無沙汰いたしました。旅に出て、帰ってきました。
感想文がたまっております。
まずは旅行前に読んだこの本。

角幡唯介著。

この人と高野秀行の本は新刊で買うことにしています。
多大な経費をかけて、しかも体を張って、絶対に私が行けない(行かない)ところに行ってくれてるんだもん。印税をあげなくちゃね。

著者の日常や、過去の思い出を綴ったエッセイ集。
あとがきでご本人がおっしゃっているとおり、とても軽い。
「ネタ話」的な色合いが濃いものも散見。

で、いちばん記憶が残っているのは最初の話。
角幡氏は結局、どこに家を買ったのかしら?

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by foggykaoru | 2017-08-21 07:06 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

ニッポン見便録

著者はシェルパ斉藤こと、斉藤政喜。

この人の名著(!)としては「東方見便録」というのがある。
世界のトイレを見て回った記録である。
このディープな旅に同行し、イラストを担当したのは内澤旬子。
非常に興味深い本だったけれど、あまりにもディープで、「うっ」と胸に迫ることが多く、一日に一件のトイレしか読めなかったことを覚えている。

今回のこの本は、世界に冠たるニッポンのトイレ。
具体的には高速のSAのトイレ。
私は車を運転しないので未知の世界、という点は、前著「東方見便録」と同じ。
でも方向性は真逆。
とってもきれいでハイテクなトイレがメインなので、とても快適・快調に読めた。1日で読破。イラストや写真が多いし。

感銘を受けるような本ではないけれど、楽しかったですよ。

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by foggykaoru | 2017-07-27 04:59 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ベンチ

超多忙ゆえ、長らくご無沙汰しました。
少しは本も読んでたんですが、とりあえず軽く写真を1枚。

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モスクワで立ち寄った普通の公園にて。

1人がけのベンチって、珍しいなあと思って。


メインサイトにて、ちんたらアップしていた「誘われてロシアの縁(ふち)」、旅行記本編は完結しました。






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by foggykaoru | 2017-06-18 10:26 | メインサイトのボツ写真 | Trackback | Comments(0)

異邦人

アルベール・カミュじゃありません。
副題は「世界の辺境を旅する」
著者は上原善広という人。
「日本の路地を旅する」という本で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したそうで、この「路地」とは被差別部落を意味するそうで、上原氏は被差別部落出身なのだそうだ。

第一章はパレスチナのガザ地区の話、かと思いきや、
のっけから、著者の幼少時の思い出が語られる。重い思い出が。(ダジャレを言うつもりはなかった・・・)
紛争地域に乗り込んでいく、自分探し屋さん?という感じがなきにしもあらずなのだけれど、章を追うごとに読み応えが出てくる。
ちなみに、第二章から先は
バグダッドのロマの女性
スペインのカゴという被差別民
ネパールのマオイスト
イタリアとコルシカのマフィア
旧樺太の少数民族

どれも興味深いです。
特に最後の、旧樺太の話が、日本に関わりがあるだけに、胸に響きます。
日本にはいろんな少数民族がいたのです。アイヌだけじゃない。でもなんにも知らなかった。

この本はすぐに売っぱらったりしないで、しばらく手元に置いておくつもり。




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by foggykaoru | 2017-05-10 21:16 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ソフィアの白いばら

八百板洋子という人の、ブルガリア留学記。
古本屋で見つけて買ってしまったのは、ブルガリア旅行の思い出があるからこそ。

でも、私が行ったのは、ソ連邦崩壊後。

八百板さんが行ったのは冷戦まっただ中の1970年。全然時代が違う。

出会う留学生は共産圏出身者が中心。
学生たちはみな、自国のイデオロギーを背負って生きている。それが実に新鮮。
冷戦とは、そういうことだったんだな。

ベトナム戦争も終わっていない。
ベトナム人留学生たちにとってアメリカを支援する日本は敵。だからどうしても関係がぎくしゃくしがち。

数年前、2度にわたって無頓着にベトナム旅行に行ったけど、そういう歴史もあったんだなあ。(その後、もう1回行ったんだっけ)
ベトナム戦争のことは十分に念頭に合った。リアルタイムで知っていたし。でも、日本も関わっていたということについて、あまり意識していなかった。日本語を一生懸命勉強している女子大生のお宅で歓待されたりして、能天気に旅を楽しんだのだった。

当時、ブルガリアに留学する(できる)日本人というのは、特別な立場だった、、ということが、あとのほうになって明かされる。
八百板さんが抱えている病気のことも。
こういう構成はちょっと変わっているけれど、そういうことは、本当はできれば明かしたくなかったんだろう。

八百板さんは、後にブルガリア語翻訳者になったそうだけれど、なんとなく文章を書きなれていないような。独特の味わいがある、という言い方もできないことはないのだけれど。

福音館文庫なので、なんとなく青少年向き限定の本と思われてしまうかもしれません。
でも、大人が読んでも心が波立つ本でした。読んでよかったです。



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by foggykaoru | 2017-05-03 22:25 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(2)

週末ちょっとディープなタイ旅

下川裕治著。
「週末」シリーズの最新刊。
タイトルに「旅」とあるけれど、旅本だと思って読むとあてがはずれるだろう。
正確には「プミポン国王亡きあとのタイの現状」という感じ。

この本を読んで初めて知ったけれど、下川さんはタイ在住なんだそうです。
国王の死に際しての国民の反応等、定点観測してないとわからないことが書かれていて、非常に興味深い。

でももっともっと書けることがあるのに、抑えているのだろうと思う。
たとえば新しい国王はかなり問題がある人だということなど。
(新聞社勤務のダンナがバンコク支局勤務になったために、現地に数年住んだ友人から聞いた話なので、かなり信頼できる情報です)
下手なことを書いて、それがタイ当局に知られたら、きっとタイにいられなくなるだろうから。





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by foggykaoru | 2017-03-26 09:16 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

バウルの歌を探しに

著者の川内有緒という人。
彼女が書いた本としては、「パリでメシを食う」というのがあり、非常にそそられたけれど、未読。
そしてこの本もまた、かなり前からタイトルだけは知っていた。
でも、ずっと「パウル」と読み間違えていて、ヨーロッパ関係の話かと思いこんでいた。
ほんとうは「ハ」の上に点々。「バウル」。
ヨーロッパどころか、なんとバングラデシュの話だったのでした。

今回、古本屋で見つけて購入した決め手は、解説が高野秀行氏だったこと。
「新田次郎文学賞受賞」というのにも惹かれた。
なんだかんだ言って、賞をとった作品はそれだけのことはある、と常々思っています。

「バウル」とは、バングラデシュ(正確にはインドの一部も含む、ベンガル地方一帯)にいる、吟遊詩人のような人々のことをさす。
彼らの歌が、ユネスコの無形文化遺産になっているんだそうだ。

川内さんはパリでの国連関連の仕事に見切りをつけ、帰国し、バウルの歌を聴きに行こうと思い立つ。
でも、彼らがどこにいるかはわからない。
バングラデシュ人に聞いても、何がなんだかわからない。
雲をつかむような話なのだけれど、頼りになる相棒を見つけ、有能な現地ガイドとともに、バングラデシュをめぐる。

そして、ちゃんと見つけ出すのである。

よくよく人の縁に恵まれているというか。
あるいは、幸運を引き寄せる賢さを備えているというか。

きっとその両方なのだろう。

バウルについて、ヨーロッパでいうジプシー(今や「ロマ」と呼ぶのが正しいそうだ)のような存在なんじゃないかと想像したけれど、全然違いました。
修行をする人々なんだそうだ。
そして、その修行の奥義がスゴイ。すべての宗教を超越している。
古くからの存在だというけれど、一周廻って今や時代の最先端になっているんではないかと思わせる。

ユネスコの遺産になることによって、注目され、保護されるかというと、世の中そんなに単純ではない。
ある意味、保護されるのだけれど、変質する恐れもある。
保護されなくても変質する可能性はあるけど。

とにかく、とてもとても不思議な存在なのです。

ほんとにいったいどんな歌なんだろう?


バングラデシュの人々はとても親切なんだそうだ。
「インドなんかよりもよっぽどバックパッカー向き」だと、川内さんは言う。

ふーん。

でも、観光名所なんてないし、行って何する?


バウルを探すんだ!(爆)




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by foggykaoru | 2017-03-08 20:36 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)