タグ:日本の小説・文学 ( 146 ) タグの人気記事

目まいのする散歩

武田泰淳のエッセイ。
この人については「ひかりごけ」という小説を書いたということと、奥さんが武田百合子という人だということだけ知っていた。
古本屋で見つけて、裏表紙に野間文学賞受賞作と書いてあったから、ためしに読んでみた。

彼のかなり晩年のエッセイ。
なにしろ、すぐ目まいがするような体調なのです。

古き日本を訪ねるような感じ。
そんなにせっせと続きを読みたいという気分にはならなくて、読み始めてから終わるまでに1か月ぐらいかかった。
しかも、その途中ではさんだのが、白洲正子のエッセイだったりしたものだから、「ひとり昭和初期モード」に入ってしまったような。

いちばん最後に収録されているのが、ソ連旅行記。
これはこれで、最近読んだ椎名誠のシベリア旅行記とかぶるし。

で、一番興味を惹かれたのは奥さんである。
かなりぶっとんだ人だったようで。(そうい意味で白洲正子とかぶる)
彼女の本を読んでみたくなった。

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by foggykaoru | 2017-10-29 16:01 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

時をかける少女

「何を今さら」と言われそうな、筒井康隆のジュブナイル。

前に書いたかもしれないけれど、私がこの作品を知ったのは、NHKの少年ドラマ「タイムトラベラー」を通じてです。
前に書いたかもしれないけれど、主人公の芳山信子役を演じていた島田淳子と、小学校の(クラスは違うけど)同学年で(あー年がバレる)、ある日(たぶん初回か2回目くらい)たまたまドラマを観たら、「うっそー! 淳子ちゃんだ」とびっくりして、そのまま最終回まで見続けたということで。

で、原作を読んだことがあるのかどうか、わからないので、今回読んでみたわけです。

記憶に残っているドラマどおりの印象で、新たな発見は特にありませんでした。

この作品、書かれたのは1960年代なんですね。ドラマ化は70年代だけど。
古き良き時代の匂いがしました。
昭和。

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by foggykaoru | 2017-10-23 21:36 | 児童書関連 | Trackback | Comments(0)

薬石としての本たち

著者は南木佳士。
ずっと勤務医と作家の二足の草鞋を履き続けてきた南木さんだが、この本は定年退職後に書かれたもの。
作家一本になって、雰囲気が少し変わった。
元気になった感じ。余裕が出たのだろう。

この本は小説ではなく、エッセイだが、各エピソードごとに南木さんの愛読書が紹介されている。本の紹介がメインではないけれど。
全体的にかなり難しげな本ばかりで(哲学書とか)、気軽に手を伸ばせないのが残念。

一つだけ、これなら読んでみようかなと思ったのが、佐久総合病院のもと院長・若月俊一の「村で病気とたたかう」
でも、全部読むかはわからない。

なんせ、酒の席で若月院長にからんだ南木さんが
「あの本で面白いのは最初の2ぺージだけだ」
とほざいたら、
「真面目に書いたのはあそこだけだから」
と返されたんだそうだ。

図書館にあったら、とりあえず2ぺージだけは読んでみよう。






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by foggykaoru | 2017-10-14 06:41 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

その手をにぎりたい

柚木麻子の小説。

時代はバブル期。
主人公の女性は銀座の超一流の寿司屋に通い詰めながら、仕事にまい進する。
そしてバブルは終焉する。

ちょっとほろ苦いところが、今まで読んだ柚木さんの小説とは違う。
で、ちょっとほろ苦いせいか、これは文庫化されていないみたい。(たぶんね。確認したわけじゃない)
で、ちょっとほろ苦いところが、わりと気に入ったのでした。

でも、柚木さんの小説はもういいかな
とも思いました。




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by foggykaoru | 2017-10-04 23:02 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

眉山

眉山とは徳島にある山だそうです。
徳島生まれの女性が主人公で、彼女の目を通して、その母親の死に様、そして生き様を描いています。

この母親がなんとも魅力的。女傑。

死をテーマにしたさだまさしの小説としては「アントキノイノチ」というのがある。
そしてこの作品。

人の死に関わる、大きな出来事が、さださんの周囲にあったのだろうと思ってしまった。

死を扱っているけれど、重くはありません。
さらさら読めます。
興味があったら、気軽に読んでみてください。

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by foggykaoru | 2017-09-25 20:32 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

あまからカルテット

柚木麻子の軽~い小説。
女子校時代の仲良しグループが、大人になっても助け合って幸せをつかむ・・・的なお話。
暇つぶしによさそうだと思って読んだのだけれど、いくら暇つぶしでも、ここまで軽くなくてよかった。
同じ作者の「ランチのアッコちゃん」、あれのほうがずっと面白い。

でも、女子校育ちの人なら、きっと私よりもずっと楽しめるはず。

正直、この本に出てくる女友達の世界は、共学育ちの私にとっては異世界だったのでした。



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by foggykaoru | 2017-09-21 20:21 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

高台にある家

著者は水村節子。
自らの生い立ち、ひいては自らの母親の数奇な運命をたどるという、自伝的小説。
著者唯一の小説なのだそうだが、きちんと小説作法の先生について(しかも、最高の批評家を得て)書かれたため、十分に読むに堪える作品になっている。それどころか面白い。

で、水村節子の娘である、作家・水村美苗が、あとがきに文章を寄せている。
彼女は母親と祖母から話を聞かされて育ち、「これは小説のネタだ」と思っていたら、、、
母親が先に書いちゃった。
しかも、さかんに「どう思う?」と原稿を渡され、やいのやいのと批評を迫られ、「なんで私がこんなことをしなくちゃならんのか」と地団太踏んだんだと。

そして、、
壮絶な介護の末、母を見送った水村美苗は、母の手になるこの小説があるにも関わらず、改めて「母の遺産」を書いちゃったのです。

というわけで、この小説は「母の遺産」とかぶっていることがたくさん。
こっちを読むと、「母の遺産」のどこがフィクションなのかがわかる。
なにも両方読むことはない、という考え方もあります。
ですが、ネタとして面白いという点は間違いないので、立て続けに読むのはどうかなとは思いますが、「母の遺産」を興味深く読んだ人にはお薦めできます。






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by foggykaoru | 2017-07-15 06:22 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

有頂天家族

森見登美彦の京都ファンタジー。
狸の家族の物語です。能天気です。阿呆です。

解説を書いているのは上田誠という人。
森見原作のアニメ「四畳半神話体系」の脚本を書いた人だそうで。
「物語の核を見極めて、それ以外のところをそぎ落していけばいいだろう」と思って脚本を書き始めたら、大変なことになったそうで。
なぜなら、そぎ落としてしまうと、物語のいちばんの魅力がなくなってしまった。。。。

なるほどね、と思いました。
この作品も、どーでもいー話で満ち満ちていて、それをそぎ落としたら、大したものは残らない。
なにしろ阿呆な狸たちの物語ですから。
阿呆なエピソードのひとつひとつを味わって楽しむ物語なのです。
読んでると極彩色の絵柄が脳内に描かれます。

それは悪くない。ぜんぜん悪くない。

でもしょせん狸。
ユーモラスだけど、ロマンチックじゃない。
そこんとこが私にはいまいち。いまに。いまさん。

今まで読んだ森見作品の中で、いちばんロマンチックなのは「宵山万華鏡」です。

以前からうすうす感じていたことが、はっきりしました。
私は、脳内映像がかっこよくないファンタジーには魅力を感じないのです。
だから「指輪物語」はOKだけど、「ホビット」がダメなんだ。



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by foggykaoru | 2017-04-27 20:35 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

母の遺産

水村美苗作。副題は「新聞小説」
この人の小説は長い。これも文庫上下巻。

どっぷりハマりました。
何回も読み直しました。

とても強烈なキャラの母親を抱えたアラフィフ女性が主人公。
上巻は母親の介護と看取りの悪戦苦闘。日本の医療に対する批判もたっぷり。
下巻はその後。主人公は自らの行き方を模索していく。

登場人物がわざとらしいとか、あり得ないとか、批判もあろうかと思いますが、私は心から楽しみました。まるで映画を観ているみたい。

老母のキャラ形成の裏側とともに、副題の意味もが明らかになります。
ほおおおっ!
なるほどねえ。
小説というのは人々にそういう影響も及ぼすのですねえ。

また、兄弟が多いと、同じ両親から生まれた子供でも、長じてからの人生に大きな差が出る。
そこに(兄弟自身だけでなく、その子供にまで)妬み・羨みなど、フクザツな感情が渦巻き、それがドラマの母胎ともなる。

ちなみに主人公は1970~80年ごろにパリに留学したという設定になっていて、当時の留学生の生態、「ブルシエ」と呼ばれるフランス政府奨学生と彼らのその後の人生が、私には実に興味深く、また、非常に説得力があるなあと感心したところでありまして。

でも、ブルシエなんて聞いたこともないという人でも大丈夫。
とにかく女性、特にアラフィフ以降の女性には超お薦めです。心に響くところがたくさんあるはず。

私はこの本、ブック○フで見つけたんですが、1冊108円でした。
まともな古本屋だったらそんな値段付けませんよ。作家が可哀想です。
興味を惹かれたあなたは、できたら正価で買ってあげてください。
(108円で買ったくせに何を偉そうに<私)



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by foggykaoru | 2017-03-06 21:15 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

ヨッパ谷への降下

筒井康隆の「自選ファンタジー傑作集」なんだそうです。

読んだのが1か月以上前なので、ほとんど覚えていないのですが・・・
彼の大人向けのファンタジーは、大人イコール成人向けでして、かなりエロチック。
この本の中にも「エロチック街道」なんていうのがあるんですが、そっち系は私にはちっとも面白くないのです。男性はドキドキして面白いんでしょうか。きっとそうなんですね。

面白いのは子供が主人公のもの。
「北極王」。実に良いです。なんなんでしょうこのしみじみ感。
そして「家」。とても良いです。ゲドとか出てきそうです。
この二編は、普通に(って何が普通なんだかわかりませんが)ファンタジーが好きな人なら気に入るはず。





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by foggykaoru | 2017-02-25 20:47 | その他のジャンルの本 | Trackback | Comments(0)