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父への恋文

副題は「新田次郎の娘に生まれて」
著者の藤原咲子は満州から命からがら逃げ延びてきた新田家の末娘。

栄養失調で育たないのではないかと危ぶまれていた娘のことを、父・新田次郎は慈しんで育てた。しかも自らの手で文章指導をして「お父さんがどうやって小説を書いていたのか、お前が書くのだよ」と語ったという。
気象庁勤務と作家稼業だけでも十分に忙しいのに。
愛情深いお父さんになる条件の一つは「身体が丈夫なこと」なんじゃないか
なあんて思ってしまいました。

しかも丈夫な人は長患いをしないで、バタンと死ねるわけで。羨ましい。
(新田次郎はまだまだ仕事をしたかったんだろうけど)

これを読んだあと、「小説に書けなかった自伝」を読んで、「もう新田家の話はいいかな」と思った次第。

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by foggykaoru | 2015-04-21 20:54 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(0)

小説に書けなかった自伝

新田次郎の自伝。
彼の子供たちの本を立て続けに読み、この本まで読んでしまった今、もう新田家の話はいいかなという気分(苦笑)

巻末の年譜を見ると、気象庁職員と兼業しながら、よくもまあこんなにたくさん書いたものだと驚嘆する。
ほんとうに勤勉で、かつ、身体が丈夫な人だったんだなと。(その体質を受けついだお蔭で、幼い子供たちも満州からの帰還を果たしたわけだ。)

この作品は60代に書かれたもの。
そのわりに書きぶりが「青い」。それは「若さ」やバイタリティーに通じる。
「老成」という言葉とは真逆。そこが彼の個性であり、魅力なのだろう。
そして、それは彼の妻にも共通しているような。

自伝それ自体よりも、年譜の後に収録された、藤原ていによる「我が夫」、藤原正彦による「我が父」が興味深かった。


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・・・今、ブログを見直したら、この本の前に読んだ本のことを書いてなかったことに気づきました。その本のことは後日。
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by foggykaoru | 2015-04-15 19:54 | 伝記・評伝 | Trackback | Comments(2)

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

サイバラこと西原理恵子の元・夫、鴨ちゃんこと鴨志田穣(ゆたか)の私小説。
自らのアル中の記録である。

依存症というのはほんとうにどうしようもないんだなということがよくわかる。
最終的には鴨ちゃんがアル中を克服し、サイバラのもとに戻り、末期がんで間もなく亡くなったということを知ったうえで読んだのだけれど、十分面白い。

お薦めです。
でも汚いのに耐えられない人はダメかも。

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by foggykaoru | 2015-03-27 19:17 | 普通の小説 | Trackback | Comments(0)

父への恋文

著者は藤原咲子。
新田次郎と藤原ていの娘。藤原正彦の妹。
副題は「新田次郎の娘に生まれて」

「藤原ていの娘に生まれて」ではないのです。

引き揚げ時には乳のみ子だった著者は、兄たちとは違い壮絶な体験をはっきり記憶しているわけではない。でも潜在意識にはしっかり残っていたようだ。言葉が遅かったのは(栄養不足で成長が阻害されたということもあろうが)、精神的な傷によるところが大きかったらしい。
そんな娘に対して、深い愛情を注いだ父。
気象庁職員と作家という、二足の草鞋をはいて、普通の人の二倍忙しかったのに。たいしたもんだ。

で、「お父さんが死んだら、お父さんがどうやって小説を書いたのか、書くんだよ」と言われて育ったのだそうだ。すごい宿題出されちゃったのね。

「流れる星は生きている」の書きぶりから想像できるけれど、藤原ていという人はなかなかすごい人だったようで。子供三人を連れ帰ったというバイタリティーもすごいけど、それ以前に「もって生まれたキャラ」が強い。「たまたま」作家になったのだけれど、作家になるべくしてなった人なんだろうなと思う。
そんな人が母親だと子供はけっこうきつい。
そのうえ、自分が生きているのはその母親のおかげ。
一生涯頭が上がらない。感謝してるんだけど、きつい。

野次馬な私にとっては、なかなか興味深い一家です。

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by foggykaoru | 2015-03-07 21:14 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

風に舞いあがるビニールシート

森絵都の短編小説集。
直木賞受賞作だそうで、なるほど、けっこう面白い。
もちろん好きな作品とそれほどでもない作品があるわけで。
私が気に入った作品は「鐘の音」と「ジェネレーションX」
好き好きは人それぞれなので、興味があったらどうぞ。
そして気に入った作品をお知らせください。なあんてね。

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森絵都の本はまだ4冊目。
今のところのいちばんのお気に入りは「カラフル」
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by foggykaoru | 2015-02-21 19:29 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

ヒコベエ

「国家の品格」ですっかり有名になった藤原正彦の自伝的小説。

数学者でありながら文才もあるなんてすごいと思っていたけれど、エッセイは上手でも小説書くのは得意じゃないのだということがよくわかりました。
正直、作品自体は大したことないと思います。
もしも彼が無名人だったら、自費出版して身内に配って、「あら、けっこう面白いわね」と親戚の間で評判をとったことでしょう。そんなレベル。
彼が新田次郎と藤原ていの息子である著名な数学者だからこそ、興味をもって読めるし、楽しめる。ものすごく楽しめる。

藤原ていの「流れる星は生きている」とその後日談「旅路」とかぶっているのがつまらないと思う人もいるかもしれない。私は楽しめました。


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by foggykaoru | 2015-02-11 20:53 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

久しぶりの村上春樹

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読みました。

私は、往年の大ベストセラー「ノルウェイの森」が、どこがいいのかさっぱりわからなかったので、それ以後、村上春樹の作品には全く手を出さなくなったのです。Wikiで調べたら、「ノルウェイ~」は1987年刊行。ほとんど30年ぶり。

で、なぜこの期に及んでこの本を読んだか。
弟が入院中の母のリクエストにこたえて買って差し入れてやり、母が読み終わったので私にくれた、というわけ。

で、感想ですが

うーん。
最後まで苦労せずに読むことができました。
面白いかと訊かれると・・・
すごくつまらないわけではないんだけど。
他に読むものが無いなら、別に読んでもいいと思うよ、、、ぐらいな。

大昔読んだ村上春樹の作品の中で、一番面白かったのは「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」です。
母は読めなかったそうですが、ファンタジーを読んで育った人には読めるはず。
だからってもう一度読みたいというほどでもないけど。

他に「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」を読んだような気がします。
「羊をめぐる冒険」は確かに読みました。
遥か昔なので、よく覚えていないのですが、それまでの日本文学とは違うと感じたのは確かです。アメリカ文学っぽいような気がして、新しいタイプの作家が生まれたんだな、みたいなことを思ったものです。
でも、ジョン・アーヴィングの「熊を放つ」「ガープの世界」「ホテル・ニューハンプシャー」を読んで、「なあんだ、村上春樹はこの人のパクリじゃん」と思ったのでした。
(「熊を放つ」はわけがわからなかったけれど、「ガープ~」と「ホテル~」は強烈に面白かったです。長い小説を読みたくてたまらない人にはお薦めします)
ちなみに、「熊を放つ」は村上春樹翻訳。
プロの翻訳家でもないのに、あの長編を訳そうなんて、よっぽどアーヴィングのファンなんだろうし、翻訳作業を通じて作品の中にどっぷり浸りきってしまったのだろうから、影響を受けるのはしょうがないのかも、と思ったものでした。・・・妙に寛大だが偉そうだ>私(自爆)
「ノルウェイの森」は、もしかしたら、アーヴィングから脱皮した作品だったのかもしれない。(何も覚えていないのでよくわからない。きっと的外れです)
でもとにかく面白くなかったんで。

まあ、この本をきっかけに彼の他の本も読んでみるか、、、とはつゆほどにも思わなかったというのが、今日の結論です(苦笑)

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by foggykaoru | 2015-01-23 21:20 | 普通の小説 | Trackback | Comments(8)

またやぶけの夕焼け

高野秀行さんの本はほとんど読んだのだけれど、これはまだだった。
あえて読まなくてもいいかなと思っていたんだけど、一応読んでみようと。
八王子で遊びまわった子ども時代の思い出が、一応小説仕立てで描かれている。

ランサム的であるとは言える。

が、

うーむ・・・・
老人ホームめぐりの合間に読むにはふさわしくなかったということのかもしれないけれど・・・

高野さんの小説だったら、「アジア新聞屋台村」「ワセダ三畳青春記」をお薦めします。そっちのほうが10倍(100倍?)面白い。
子どもたちが遊びまわる話だったら、佐藤さとるの「わんぱく天国」をお薦めします。古いけれどいい本です。



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なんかやたらレビューは好評ですねえ。
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by foggykaoru | 2015-01-07 20:16 | 児童書関連 | Trackback | Comments(4)

アーモンド入りチョコレートのワルツ

明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

夕べ、NHKのBSで指輪三部作をやってまして。
「エントの行進」とか、必見シーンを見逃してしまったあげく、「Dea----th!」の前に寝ちゃったのですが、「ホビット」を観なくちゃいけないという気分だけは(ようやく)盛り上がりました。
私が観る前に公開終了しないでね。

====================

森絵都の手になるジュブナイル。
音楽がからむ3つ短編。
そのうち知ってるのは「子供の情景」だけ。しかもちゃんと知ってるのは「トロイメライ」だけ。
表題作はサティの曲なのだそうだ。サティは知ってるんだけどね。

どの作品も主人公は中学生。
微妙な年頃の微妙な心情を繊細なタッチで描いている。
悪くないんだけど、老人ホームめぐりの合間に読むにはちょっと合わなかったかも(苦笑)


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by foggykaoru | 2015-01-01 08:29 | 児童書関連 | Trackback | Comments(2)

THE S.O.U.P.

川端裕人作。「夏のロケット」で勢いづいてネットでユーズド購入。

サイバーテロの物語。
事件があって、その謎を解いていく、という筋書からすると、推理小説のカテゴリーに入れられないこともない。

2001年に刊行された当時は「近未来」だったはず。
文庫の解説に「今は古くなったことが少なくない」みたいなことが書かれているけれど、私にはどこが古いかわからないし、わからなくても全然大丈夫。というか、わからないほうが「こんなの古い!」とダメ出ししなくて済むから楽しめるかもしれない。

「夏のロケット」の爽やかさはない。
だって登場人物の多くがネットやPCに憑りつかれた人々。寝食を忘れてそのままじゃ死んじゃうよと言いたくなる人がたくさん。実際死んでるし。

でも、このブログを読んでくださっている方々に私が伝えたいのはそんなことじゃない。

主人公は「伝説のRPG」の開発者です。

で、それ自体はどうでもいい(苦笑)んだけど、
なんとそのRPGが

「指輪物語」と「ゲド戦記」を下敷きにしている
それどころか
その2作品に最大の敬意を払って作られている

ということ。

作者の川端さんは、ランサマイトじゃないけれど、ランサム・サガもちゃんと知っている人だけあって、子供時代に(ランサムよりもメジャーな)この2作品を愛読したのでしょう。

というわけで、この2作品のファンの方には嬉しい小説です。
そうでなくても楽しめます。

それにつけても「指輪」と「ゲド」は2大ファンタジーなんだなとしみじみ思う今日この頃。

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by foggykaoru | 2014-10-26 11:52 | 指輪物語関連 | Trackback | Comments(0)