人気ブログランキング |

無人島に生きる十六人

著者は須川邦彦という人。
彼が商船学校時代に恩師の中川倉吉という人から聞いた話を本にまとめて、昭和23年に刊行。
平成15年、新潮社が文庫化した。

明治31年(1898年)暮れ、スクーナー・龍睡丸は漁業調査のために出航する。
ところが太平洋上で座礁してしまう。
命からがら無人島にたどり着いた船長中川氏と乗組員、総勢16名のサバイバルの記録である。

ジュール・ヴェルヌの「十五少年漂流記」を読んでるような気持ちになる。
けれど、あれは作り話。面白くしようと努力して書いた話。
こっちは本当の話。
でも面白さという点では遜色無い。

中川氏という、しっかりした指導者の存在が大きかったのだろうけれど、規律正しい16人の暮らしぶりに感心する。
もっとも、規律正しいのは最初からで、なにしろ中川氏の方針で全員禁酒なのです。スゴイ。
だから全員無事に生還できたのでしょうね。

# by foggykaoru | 2019-03-29 22:09 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

東大助手物語

著者の中島義道氏については、ずーっと昔「ウィーン愛憎」を読んで知った。
ウィーンでの壮絶な体験記で、飽きずに一気読み。
でも、ほんとうにウィーンというのは住むとそんなに恐ろしいところなのか、もしかしたらご本人の性格も関係しているんじゃないの?などと失礼なことも思ったりした。

その後、彼の本は書店や図書館で手にとってみて、ちらりと中を読んだりしたことがあるけれど、ちゃんとは読んだことはない。
いろんなこと(日本はうるさい、とか)を激烈に批判する人だな、という印象は「ウィーン愛憎」以来変わらない。

今回のこの本。
学者の世界というのは、けっこう大変だということはもれ聞いている。
研究が大変、ということではなく、人間関係、特に上司にあたる教授との関係が。
で、中島氏。「ハズレ」を引いちゃった。
今でいうところの、パワハラの記録です。
壮絶。
中島氏の書くものはどれも壮絶というか、激しいけれど、それにしても壮絶。

それだけだと、やっぱり「ご本人の性格もあるし」みたいな感想がメインになってしまうところだけれど、ギリギリそうはならない。
ご本人が自分の家庭環境、成育歴を客観的に描いているから。それができる人の言葉には真実があると思う。

解説の人選がいい。
「京都ぎらい」の井上章一氏なのである。
京都の真ん中出身の教授に嵯峨出身を馬鹿にされて「なんでそこまで言われなければならないのか」とむかついた経験の持ち主だから。
解説にそのことが書かれているわけではありませんけどね。







# by foggykaoru | 2019-03-26 23:52 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

ロワールの贈り物

著者は清宮伸子。
副題は「ルリュールとの出逢い」

2000年刊。
ルリュールとは「世界に一冊しかない本」をつくりあげるワザ。
この単語が日本で多少なりとも知られるようになったのは、たぶんこの本がきっかけなんじゃないかな。

お気に入りの本を専門家に装幀してもらうなんて、私には関係無い世界。
普通の本はぶっちゃけ「読めればいい」んだし、一生涯大切にとっておきたいなんて本はめったにない。
唯一、ちょっと特別な存在なのはランサム全集。
でもあれもあの岩波の装幀がいい。
みんなと同じだからこそ、語り合えるわけだし。

けれど、著者にとってルリュールとの出逢いがいかに衝撃的であったかということ、そしてその出逢いによって人生が大きく変わったということは、とてもよくわかった。
そういう出逢いがある人もいるんだなあ。
ちょっと羨ましい。







# by foggykaoru | 2019-03-21 22:04 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

テンプル騎士団

フランス史関係の小説で知られる佐藤賢一の、真面目な歴史本。
とは言っても新書なので、コンパクトだし、読みやすい。
なのに読了するのにえらく時間がかかりました。

というのは、テンプル騎士団の楽しくない結末がわかっているから、読んでて楽しくないのです。

十字軍のために作られた騎士団が、十字軍がなくなっても存続する。
しかも国家の枠を超えた強大な力を得る。
その力は周囲にとって便利で頼りになる。
頼りにしていたくせに、そのうちに邪魔になる。
なにしろ国家の枠を超えているから国王に服従しない。
嫌な奴らだ。
財産も持ってるし。
これはぶっつぶして没収しちまえ・・・

こういう歴史って大なり小なりいろんなところにありそう。

新鮮だったのは以下の3点。
・テンプル騎士団の息の根をとめたフィリップ4世(美顔王)は実はあんまりお利巧ではなかった
・テンプル騎士団の幹部たちはあることないことで責め立てられ、罪を認め、それで騎士団がぶっつぶされたのだけれど、実は命取りになったのは認めたからではない。認めた後で「あれは無理矢理言わされたのだ」と言を翻したのがいけなかった。カトリックは罪を認めて悔い改めれば、赦すから。
・ぶっつぶされた後、騎士たちはあっちこっちで生き延びていた。


# by foggykaoru | 2019-03-11 20:40 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(0)

クラクラ日記

無頼派として知られた坂口安吾の夫人である坂口三千代がしたためた、夫の思い出の記。

この本の存在は「ビブリア古書店シリーズ」で知った。
坂口安吾のいちばん有名な「堕落論」は未読だけれど、昔、「不連続殺人事件」がかなりのお気に入りだったので、ずっとちょっとは気になっていた。
先日、友人に「まあ、読んでみなさいよ。昭和を感じるから」みたいなことを言われて、ようやく手にとってみた。

確かに「昭和」である。
今だったら絶対にありえない。
小説書くために覚醒剤を飲み、眠れないからって睡眠剤を飲み・・・
こんなダンナとよくも連れ添ったものだ。
惚れちゃったんだね。
それじゃなきゃつきあえない。
っていうか、作者自身が相当ぶっ飛んでいる人だからこそ、惚れることもできたわけで。

興味がある方はぜひ。



# by foggykaoru | 2019-03-04 17:22 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

吉祥寺コットンフィールド

c0025724_15214854.jpg

ホームソーイング派にとっての宝箱(!)として人気を博してきた吉祥寺コットンフィールド。この3月31日をもって閉店します。

前にも書きましたが、このお店の社長は私の身内です。
手仕事が苦手な私には本当に役に立たない店(!)でしたが、カーテンを作る際には多大なる恩恵を受けました。

吉祥寺にユザワヤが進出するというニュースをきいたときには、親戚一同、心から心配したものでしたが、ファンは離れませんでした。
「へ~~ そんなにすごい店だったんだ」とびっくりするやら感心するやら。

数年前に生地メインの店舗を閉鎖して以来、手芸小物だけの営業を続けてきたのですが、ついに今回、本当の閉店となります。

ファンのみなさん、3月中に吉祥寺にお越しの際は、ちょこっと覗いてみてあげてください。



# by foggykaoru | 2019-03-03 15:44 | 告知 | Trackback | Comments(4)

週末沖縄でちょっとゆるり

下川裕治の「週末〇〇でちょっと~」シリーズ。
でもこの本は下川さんが全部書いたわけではなく、章によっては下川さんの知り合いが担当している。

私にとって沖縄は遠い場所。
以前、けっこう本気で沖縄旅を考えたのだけれど、公共の交通機関だけで観光するのは大変そうだし、距離のわりには航空券が高い、アジアに行くほうが割安じゃないかと思ってやめてしまった。
長年おつきあいのある美容師さんが沖縄出身の人で、彼女に「沖縄って車が無いと大変そう」と言ったら、否定しなかったし。

この本読んだら沖縄行きの気分が盛り上がるかなと思ったりしたのだけれど。

太平洋戦争の惨禍、米軍基地の問題が登場してきて、「ちょっとゆるり」という気分からは離れてしまう。

美容師さんに「沖縄行ったら、『ひめゆりの塔』にも行かなくちゃいけないんだろうなと思うんです」と言ったら「そう思ってくださってありがとう」的な言葉が返ってきました。
やっぱりそうなんだよね。


# by foggykaoru | 2018-12-22 22:00 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

三味線ざんまい

これも群ようこのエッセイ。

三味線に挑戦した体験談。
何やってもエッセイのネタになって、つまりメシのタネになるっていうのは羨ましい。

私はかねがね、老後の楽しみとして、声楽を習おうと思っていました。
そのためにも上咽頭炎を治したかった。
でもぜんぜん治らないんです(号泣)
前に比べたら劇的によくなっているから、治療は続けますが。

たぶん、東京に住む限り完治はしないんじゃないかと思うんです。

だから、楽器を習いたいと思ってます。

三味線って粋でかっこいいなあ。邦楽やるならお琴より三味線だな
と常々思ってました。

この本を読んで、半端無い難しさだということがよくわかりました。
群さんはピアノを習っていたから、三味線のお稽古の後、習った曲を楽譜化したり、かなり頑張ってます。
それでもワケがわかんないのだ。
西洋の楽器とは根本的に違うようで。
ボケ防止には素晴らしく良さそうです。
でも私はやめとこう。
第一、邦楽をすると、発表会は和服の世界だ。それは勘弁。

何を隠そう
私は七歳にして「一生涯、着物は着ない」と思い定めた人間なのでありまする。
七五三で憧れの振袖を着せてもらったはいいけれど、へとへとに疲れちゃって。
着せてくれた親にはホント申し訳ない。



# by foggykaoru | 2018-12-21 22:27 | エッセイ | Trackback | Comments(0)