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デュ・モーリア著「レイチェル」

デュ・モーリアの作品としては「レベッカ」しか知らなかった。
で、「レベッカ」自体、抄訳?か何かで読んだだけで、結末さえ覚えていない。
その程度でも、これが「レベッカ」の双子みたいな作品だということはよくわかる。

主人公はコンウォールのええとこの坊ちゃん。
育ての親である年の離れた従兄がイタリア旅行のおりに結婚し、そのまま亡くなってしまう。
その未亡人がやってきて、主人公は一目ぼれしてしまうのだが、この恋には最初から謎がつきまとっていた・・・

謎めいたムードを楽しむ小説です。
でも、そのムードに浸りきるほどではなかったのは、こちらが年をとりすぎてしまったせい? 20年ぐらい前に読んだほうがよかったかも。

それにしても、どうしてイギリスの小説には、この主人公やその従兄みたいな、女性に疎くて男性同士のつきあいのほうを好む男性がよく登場するのだろう? パブリックスクールで男子だけの寮生活を送ったせいだとか聞いたこともあるけれど。

あと、イギリスの、財産管理以外にやることのない人々の暮らしぶり。つきあいがあるのは同じ階級のご近所さん数人と法律や経理関係の専門家だけ。使用人がいるから口はきかなくちゃならないけど、原則として暇。ひま。ヒマ!

ダフネ・デュ・モーリアというのは、どう見てもフランス人の名前だなと思って検索してみました。Daphne du Maurier 本来はデュ・モーリエと読むのが正しい。いつごろイギリスに帰化した家系なのかしらん。


この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2008-11-24 21:23 | 推理小説 | Trackback | Comments(18)

Commented by meadow02 at 2008-11-24 22:09
読んだこと無いのですみませんが、嵐が丘とかのイメージに近いのかなあ。
昔話を聞くに、庄屋とはいえ小作料が上がってくるのをただ待ってるだけじゃ無かったようです。やれ、誰それの家の屋根が壊れたから修理にいくだとか、どこそこの家に子供が生まれたから祝いにいくだとかで、暇なんて無かったみたいだから、イギリスのお金持ちは何やってるんだ?と思います。暇なら研究で実験に明け暮れるのが、よっぽど健全でしょうに。
暇だから恋に走るのかなあ。恋だけで明日のご飯は食べられないのに。。。ついそう思います。
Commented by Titmouse at 2008-11-24 23:38
コーンウォールに行く前にこの人の作品(ジャマイカ・インあたり)を読むべきかなってちょっと思ったのですが、結局読みませんでした。レベッカもちゃんと読んだことはたぶんない・・・(汗)。
Commented by むっつり at 2008-11-25 00:19
そう言えば映画「マイ・フェア・レディ」でも、イギリスのお金持ちって、とにかくヒマですね
退屈しのぎに、貧しい花売り娘を淑女に仕立て上げます
そして、恋愛に疎い…?
禁欲主義が特徴ですね
Commented by ラッコ庵 at 2008-11-25 08:18
小さい時に、「りぼん」で読んでドキドキしたわたなべまさこ先生の「カメリア館」。
あとで「レベッカ」の翻案だと知りました。
あのころはこういう翻案モノ多かったですね。ネイサン「ジェニーの肖像」なんて、なんど翻案されたことか(石森、水野、あすなひろし・・・?)
このデュ・モーリアとヒッチコック「鳥」の原作者のデュ・モーリアが、同じということにはしばらく気付きませんでした。
Commented by サグレス at 2008-11-25 09:27
「レベッカ」は読んだし映画も(テレビで)見ました。暗くておっかなかった・・・。「レイチェル」は未読です。

イギリスの有産階級でも田舎地主の生活というのは、それなりに忙しそうですよね。村人のもめ事の調停をしたり、教区の活動の中心になったり、狩猟をしたり、犬や馬を育てたり。都市生活者になると本当に暇なのかも。ホームズも事件がないとコカインに手を出すほど暇ですものね!

ラッコ庵さん、
私も長らく、「レベッカ」と「鳥」の作者が同じだということに気付きませんでした。で、「鳥」の方は本を買ったのですが(実は映画を見ていないのです)、「積ん読」状態です・・・。
Commented by foggykaoru at 2008-11-25 20:47
meadow02さん。
嵐が丘ほどおどろおどろしくないですよ。
もっとムードがあるんです。
イギリスのええとこの旦那さんは、やることはあるんです。
でもやっぱり東京であくせく働いている私たちに比べるとずっと暇そうですよ。
Commented by foggykaoru at 2008-11-25 20:49
Titmouseさん。
デュ・モーリアは別に無理して読むほどのことはないと思います。
たまたまコンウォールなだけで。
Commented by foggykaoru at 2008-11-25 20:51
むっつりさん。
そう、あの禁欲主義というか、女に興味がないのがなんとも不思議。
フランス人と比べるわけじゃないけれど、ドイツ人やロシア人だって、英国紳士みたいに女性を遠ざけようとする癖はないと思うんです。
Commented by foggykaoru at 2008-11-25 20:53
ラッコ庵さん。
わたなべまさこ!
彼女の作品はそんなに好きだったわけじゃないんですが、懐かしいです。

私はこのポストのために「デュ・モーリア」で検索して、「鳥」の原作者だったことを知りました。
Commented by foggykaoru at 2008-11-25 20:54
サグレスさん。
そう、英国紳士も、お屋敷や庭の手入れとか、やることはある。
でもね、そういうことで忙しいというのは、我々の忙しさとは比べものにならないと思うんですよ。。
Commented by ケルン at 2008-11-25 23:12
 へえ、『鳥』、あの、台詞なしに映像だけで怖がらせる映画に原作があったんですか。しかも『レベッカ』と同じ作者なんですね。どっちもこわかった・・・。
 当時の有閑階級から見ると、私たちの働き方(朝から晩までかかって生活費を稼ぎ、家事も自分でやる)は、さぞ、下層階級的で、哀れに見えることでしょうね。でも、紳士たちも、うかうかしているとすぐ暇な他家で噂のネタにされるし、教養は磨かなきゃならないし、楽じゃなかっただろうと思います。女性はさらに。
Commented by サグレス at 2008-11-25 23:25
一昔前までのヨーロッパの有産階級は、もしや暇すぎて鬱や神経症になって、フロイト先生の出番ができたんでしょうか・・・?
現代日本の鬱は、働き過ぎに起因することも多いので、第一の処方は「休養」ですけど、暇が原因の鬱だったら「行動」が処方になりそうですね。

「昔のヨーロッパのメランコリーは現代とは異なり、もっと贅沢なメランコリーだ」というようなことを、服部まゆみさんが書いていましたっけ。
Commented by foggykaoru at 2008-11-26 20:50
ケルンさん。
ほんとほんと、きっと有閑階級の人々から見たら、われわれはまさにワーキングクラスでしょうね。
Commented by foggykaoru at 2008-11-26 20:54
サグレスさん。
>一昔前までのヨーロッパの有産階級は、もしや暇すぎて鬱や神経症になって、フロイト先生の出番ができたんでしょうか・・・?
私はその考えにけっこう賛成です。
「秘密の花園」のコリンのお父さんなんて、まさにそのタイプじゃないかなl。
>昔のヨーロッパのメランコリーは現代とは異なり、もっと贅沢なメランコリーだ
ふーん。
高校の世界史の先生が「ペトラルカというのは近代人なのだ。なぜなら、彼は憂鬱だったのだ。近代人でないと憂鬱にはならないのだ」と言っていたのが非常に印象的で。
ペトラルカの憂鬱が現代人の憂鬱とどのように違うのかは、ペトラルカを読んでいないのでわからないのですが(汗)
Commented by Titmouse at 2008-11-27 20:53
うん、でも「ジャマイカ・イン」は密輸業者だの難破だのがらみの話で、海洋小説系でそういうのをちょっと読んでたものだから、コーンウォールならではかな、と。(興味は結局そこか!と突っ込まないように。)ビデオを見てすまそうかとも思ったけど、手近には本もビデオもなくてあきらめました。
Commented by イグルー at 2008-11-28 22:08
「レベッカ」は中学生の時に読んで以来好きで、昔の訳では何度も読んで数年前の新訳も読んで映画も気に入っているのですが、デュ・モーリアの他の作品を読んでみようと思ったことは不思議とありませんでした。
そういえば。
面白そうなので、仕事が落ち着いたら読んでみたいです。

「レベッカ」は「ジェーン・エア」と若干近い印象を持っています。
…単なる前妻ものつながりかも…。
Commented by foggykaoru at 2008-11-29 15:46
Titmouseさん。
なるほど、そーゆー話なら読んでいっても悪くなかったかもね(笑)
Commented by foggykaoru at 2008-11-29 15:48
イグルーさん。
>「レベッカ」は「ジェーン・エア」と若干近い印象を持っています。
うんうん、確かに若干近いと思います。
デュ・モーリアは「ジェーン・エア」を読んで育ったのかもね。
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