フィンランド語は猫の言葉
2009年 01月 29日
「外国語の水曜日」で黒田氏が「一番好きな留学記」と絶賛しているのにつられて購入。
絶賛するだけのことはあります。知的に面白い上に元気が出ます。だまされたと思って読んでみてください。
数十年前の話だから、今とは事情が違ってきているところもあるけれど、そんなことは問題になりません。
稲垣さんは私よりもちょっと年上。
だけど、一度別の大学を出てから芸大に入りなおし、卒論を書くためにフィンランドに留学し、その後また留学。というわけで、彼女が留学していた時期は私の大学時代とかなり重なります。
あの時代にフィンランドに留学しようなんて思いつくこと自体がすごい、、、と思ったけれど、いやいや別にすごくはないかも、と思いなおしました。
というのは、私は大学受験のとき、一瞬だけスウェーデン語を専攻してもいいかなと思った人間なのです。(理由はリンドグレーンね。) もしも専攻したら、絶対に留学したいと思ったことでしょう。だったら稲垣さんがフィンランド留学したくなっても不思議はない。
でも結局、私はスウェーデン語を選ばなかった。当時、スウェーデン語をやるなら東海大学の北欧文学科しかなくて、東海大学は通学しにくかった。それになによりも、もうちょっとメジャーな言語のほうが、飯のタネになるだろうという貧乏臭い考えが先に立ったわけで。常識の枠内から出られない小市民なんですよ私って。
・・・そこのところが稲垣さんとの根本的な違い。
そして、「人生は一度しかないんだから、好きなことを思い切りやってこい」と言ったお父上も、我が父とは違う。うー。。。なにしろ我が家には先立つものが。
というわけで、うらやましさも少なからず感じたけれど、この本全編に漂う爽快なユーモアとほとばしる若いエネルギーの前には、そんなケチな感情は吹き飛ばされてしまいました。
「フィンランド語のしくみ」を読んで、やけに母音が多くて聞きやすそうな言語だと思ったのですが、実際、「フィンランド語は母音の比率が非常に高く、ともするとデタラメな日本語に聞こえる」のだとか。そういえば「フィンランド語のしくみ」の付属CDをまだ聞いてなかったと気づいて、改めて聞いてみたところ、ほんとうに母音ばかりで、しかもその響きが妙にあっけらかんとしていて、とても楽しかったです。うーん、ロシア語よりフィンランド語始めるべきだったかしら(苦笑)
この本は「猫の言葉社」というところから出ています。
あとがきによると、絶版状態だったのが、黒田さんのおかげで復刊リクエストが増え、それじゃ、ということで、稲垣さん自らが復刊したのだとか。
そしてこのあとがきに、彼女の出身校が明らかにされていました。四谷のJG。いやーひじょーに納得してしまいましたよ。あそこの卒業生は元気印な人がとっても多いですもん。
この本に関する情報はこちら
by foggykaoru | 2009-01-29 21:32 | バベルの塔 | Trackback | Comments(14)
とても好きな本だし、この著者には敬服いたします。
著者が、私のとてもお世話になった人に以前贈ったのを譲り受けたので、
私の手元にあるのはサイン本です。。
フィンランドには行ったことがなく、言葉もわからないのですが、
フィンランド関係の本はデンマークやスウェーデンよりも手元にあり、
あと4冊好きな本があります。
ということは、結構昔から言葉に興味があったんだな、私。
フィンランド語は確かに母音の多いイメージです。
それに対して、ロシア語自体は知らないのですが、スラブ語系は全般に子音の嵐。
たしかにフィンランド語の方が日本人向けかもしれません。
おお、サイン本とは! 今やすごい貴重品ですよ。
うんうん、スラブ語は子音が多いというイメージ、確かにあります。
でも、もしかしたら、それはイメージにすぎないかも。
子音が3つ続くのは、英語にはざらにありますよね。
strikeのstrとか。
たぶんそのあたりが上限なんじゃないかと。
ポーランド語とか、文字を見るとやたら子音が多そうですが、あれは子音を連ねることによってひとつの音を表しているということもあるらしいです。(かなり、、いや、非常に曖昧)
読み終わっても飛行機に乗ったらだめだよな……