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紳士の国のインテリジェンス(追記あり)

「インテリジェンス」とは「知性」ではなく「情報」のこと。機密情報。つまりスパイ。実在した英国のスパイの話。

紹介されているのは
フランシス・ウォルシンガム、クリストファー・マーロー、ダニエル・デフォー、ロバート・ベーデン=パウエル、ポール・デュークス、サマセット・モーム、グレアム・グリーン、イアン・フレミング、ジョージ・ブレイク、ガイ・バージェス、ドナルド・マクリーン、キム・フィルビー、アンソニー・ブラント、ジョン・ケアンクロス

ウォルシンガムは名前だけはおなじみだった。
英国諜報部の生みの親で、メアリー・スチュアートをかつごうとしたバビントン(アリソン・アトリーの「時の旅人」の世界!)など、エリザベスに対する陰謀を未然に防いだのだそうだ。しかも身銭を切って。

マーロー以降、しばらくはあまり面白くない。
「へー、この人もスパイだったのね」だけ。
なにしろスパイの実績というのははっきり記録に残らないので、なんとも歯切れが悪いのである。

面白くなってくるのはグリーンあたりから。
彼の名前もよく知っていたけれど、何を書いたのか知らなかった。「第三の男」の著者だったのね。
彼は短期間しか活動していなくて、しかも大物ではなかったから、足を洗ってから作家稼業にその経験をたくさん書いているらしい。

イアン・フレミングはなかなか優秀なスパイだったのだとか。
ジェームス・ボンドのモデルの有力な候補とされる人物も紹介されている。ユーゴスラビア生まれの人。写真も載っている。イケメンとは言えないけれど、とても精力的な感じはする。

ブレイク以降は20世紀に活躍したスパイ。で、みんな英国の裏切り者。
そのほとんどがとても家柄の良い、優秀な人たちで、しかもケンブリッジ大学(のトリニティーカレッジ)出身者だというのが興味深い。
20世紀前半において、正義に見えたのは共産主義だったから、インテリがかぶれてしまったわけである。日本でも同じだし。
スパイがもっとも活躍したのが第二次世界大戦前から終わるまでだったということもよくわかる。

あと、、、、やっぱりパブリックスクール出身者にはホモ・セクシュアルが多いのね。


この本に関する情報はこちら

[2/12追記]
「アナザー・カントリー」という映画のモデルはガイ・バージェスです。
詳細はこのサイトこのページをご覧ください。

by foggykaoru | 2009-02-11 18:25 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(16)

Commented by ふるき at 2009-02-11 21:58
 友人の弁護士から、「蛇頭」と「インターポール」と「公安」と「県警」が絡んだ日本国内でのスパイの話を聞きました。スパイは命懸です。
Commented by ケルン at 2009-02-11 23:28
へえ、グレアム・グリーンもサマセット・モームもスパイだったのね。(常識なんでしょうか)
映画『アナザー・カントリー』は、1920年代のどこかのパブリック・スクールの話で、ひたすらルパート・エヴェレット演じる主人公のホモセクシュアリティばかり話題になっていましたが、彼はその後スパイになった、という設定でした。同室の親友(ホモセクシュアルではない)は、つい数年前に起きたロシア革命の影響で、レーニンに心酔していましたね。(若いコリン・ファースがかっこよかったです~~)
Commented by むっつり at 2009-02-12 00:07
なんだか、漫画のパタリロを思い出しました
英国人スパイは同性愛者と言うのは常識なんでしょうか?
Commented by ラッコ庵 at 2009-02-12 19:26
アメリカ人の友人の義父はイギリス人。
「彼はコミュニストだったから、ソ連が崩壊した時はvery sad」
と友人が言っていました。
公然とコミュニストと言えるのがイギリスだなあ。
Commented by foggykaoru at 2009-02-12 21:24
ふるきさん。
逢坂剛あたりの小説読んでも、公安というのはいろいろ怖そうです。
Commented by foggykaoru at 2009-02-12 21:26
ケルンさん。
>(常識なんでしょうか)
ねえ、どうなんでしょうねえ。
その映画の言及もどこかにあった気がするのですが、見つかりません。
検索したら見つけたので、追記しますね。
Commented by foggykaoru at 2009-02-12 21:27
むっつりさん。
パタリロはわからない。。。
>英国人スパイは同性愛者と言うのは常識なんでしょうか?
イアン・フレミングはそれが悔しくて、ああいう女好きなヒーローを創造したのかしら?
Commented by foggykaoru at 2009-02-12 21:30
ラッコ庵さん。
>公然とコミュニストと言えるのがイギリスだなあ。
ほんと。アメリカでは言えないんでしょうね。

それにしても、共産党の活動歴があるのに、スパイに雇うというのが、イギリスのなんとも不思議なところです。
「家柄が良ければ大丈夫」という思い込みが強いのかなあ。
Commented by Titmouse at 2009-02-12 22:28
スパイ・・・コミュニスト・・・レーニン・・・
ロシアにいた頃のランサムのことを思い浮かべました。
Commented by むっつり at 2009-02-12 23:48
パタリロはボーイズラブの少女漫画のはしり
MI6の少佐と架空の国の少年国王のからみを描いたギャグ漫画です
アニメ化もされて、それなりの人気を博しました
Commented by とーこ at 2009-02-13 12:55
面白い本のご紹介をありがとうございました。
英スパイ組織の草創期については、むかしハヤカワ文庫NVから出ていたノンフィクション「暗号名イントレピッド」を読んだことがあって、興味があったので、これも探してみようと思います。

ごぞんじかもしれませんが、英国ドラマ系のサイトで話題になっていたBBCドラマ「ケンブリッジ・スパイ(複数)」というのがあって、バージェス、フィルビー、ブラント、マクレーンと出てくるんですよ。私これがずっと見たくて…でも原語DVDを買うしないみたいなんですけど、詳細はbritannia.cool.ne.jp/cinema/title/cambridge_spy00.html
アドレス掲載ができないので、最初の部分を削っています。
やっぱり渋すぎかしらん?俳優さん的にはいい人そろってると思うんだけれども。
Commented by ケルン at 2009-02-13 18:59
追記を拝見しました。

映画ではガイ・ベネットという名前でした。実在のモデルがいたんですね!!
あの映画では、支配権力への報復心からスパイになっていったという話だったような。
Commented by foggykaoru at 2009-02-13 20:15
Titmouseさん。
ランサムの自伝、図書館で借りたんだけど、なぜか読めなくて。
自分の読書力に対して疑念が湧いた日でした(汗)
Commented by foggykaoru at 2009-02-13 20:16
むっつりさん。
ほーーー タイトルだけは知っていたんだけど、そーゆー内容だったんですか。。。
Commented by foggykaoru at 2009-02-13 20:18
とーこさん。
うーん、、この本、すごく面白いというわけではないです。
もっと詳しい本を読んだほうが面白いんじゃないかなあ、、、というのが正直な感想。
Commented by foggykaoru at 2009-02-13 20:19
ケルンさん。
この人、とても優秀だったらしいです。
一流の学者にもなれるぐらい。でもちょっとつまずいちゃったらしい。
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