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ボーヴォワールとサルトルに狂わされた娘時代

帯によると、「サルトルの愛人であり、ボーヴォワールの愛人だった女性が、2人の知識人との関係を赤裸々に語る、フランスで一大センセーションを巻き起こした問題の書!」なのだそうだ。
前書きによると、著者のビアンカ・ランブランは、ボーヴォワールが発表した著作の中に自分のことが書かれていて、こんなことされて黙っているわけにはいかない!と、この本を書いたのだそうな。

ランブランはボーヴォワールの教え子。若いときの写真を見ると、なかなかの美人で、学業のほうも優秀だった。
ボーヴォワールに目をつけられ、同性愛の関係を結び、その後、サルトルに引き合わせられ、天下のサルトルに魅了されて逆らえなかった彼女はサルトルのものになるが、しばらくして捨てられる。

なにしろ、この本を書くきっかけになったというボーヴォワールの本を読んでいないので、なんとも言えないのだが、ランブランがボーヴォワールの愛人になったとき、彼女は16歳の女子高生だったのだ。サルトルと関係を持ったのは17歳。
どっちに責任があるかと言えば、そりゃあボーヴォワールたちのほう。

たぶん、ボーヴォワールというのは不幸な人だったんだろうな。
小さいときから頭が良くて、グランゼコール(大学より格上の超エリート学校)に優秀な成績で入ったら、初めて自分より頭が良い男がいた。
それがサルトルだった。
弁のたつサルトルにノックアウトされちゃって、「結婚とは違う形態のカップル」となる。
でもサルトルは女たらしで、あちこちで女に手をつける。
これが彼女にとっては屈辱的。
そもそも性的には必ずしもしっくりいかないんだから、普通だったら別れるところ。
でも、それができない。
彼の知性には惚れてるから。
それに、「時代の先を行ってる理想のカップル」として有名になっちゃってるし。
「おしどり夫婦」としてCMをやっているタレントみたいなものだ。離婚したら契約がパーになっちゃう。
だから、かわいい教え子をひきあわせたりして、彼との関係を新鮮にしてみようとしたりするが、それまたやっぱり屈辱的だから、今度はあることないことをサルトルに吹きこんで、別れさせてみたりする。

以上、あくまでも私の想像(邪推ともいふ)にすぎません。


このあたり、ランブランの筆致は意外なほどあっさりしている。
いくらでもドロドロになり得る話なのに。
この人、恥を知る、まともな人なのだろう。
そして、裏切られたことを知る今でさえ、かつて愛した人をボロボロにしたくはないと思っているのだろう。

愛人関係と同じぐらい重きを置かれているのが、ドイツ占領下の暮らし。
彼女はユダヤ系だったこともあり、相当危ない目にあったし、結婚前の事情すべてを知って結婚した夫とともに、対独レジスタンスに参加した。
このへんのほうが面白いかも。


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by foggykaoru | 2009-02-17 20:35 | 伝記・評伝

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