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艦船の名前について

先日、横浜での帆船模型展で「ラ・ジャルウズ」という名前のフランス船の模型を見ました。
La Jalouse...
変な名前だなあと思いました。

というのは、jalouseとは「嫉妬深い(英語のjealous)」という意味の形容詞「jaloux」の女性形に定冠詞(の女性形)「la」を付したものだから。
フランス語では、形容詞に定冠詞を付けて、「~な男」「~な女」「~な人々」という意味で使うことがあります。
「レ・ミゼラブル les Miserables(=みじめな人々)」という例はあまりにも有名。
こういうのは英語でもあるかな。
ただ、英語の場合は複数形を使った「~な人々」という用法だけだったかも?(←記憶が非常にあいまい)
英語には形容詞や冠詞の性変化が無いのだから、当たり前といえばそれまで。

で、la Jalouseというのは「嫉妬深い女」という意味。



トラファルガー海戦のコーナーがあったことも前のポストに書きましたが、ここには、海戦の様子を描いた絵の模写が展示されていて、船それぞれに英国側か敵(仏+スペイン)側かという区別に加え、艦船の名称が記されていました。

それをつくづく見て、へえええと思った私。

このサイトネルソン提督記念館というコーナーに「艦と海戦」というサブカテゴリーがあって、そこにネルソンが戦った有名な海戦に参加(っていうのも変な言い方ですが)した艦船のリストが載っています。マニアだにゃ~。
トラファルガーの海戦はここ

で、私を「へえええ」と思わせたフランス船とは
(le) Formidable
(le) Redoutable
(l') Indomptable
(le) Fougueux

これ、みんな形容詞なんです。

上から順に
恐ろしい(現在は転じて「素晴らしい」)
恐るべき
馴らすことができない(馬で言えば飛陰ですね)
血気にはやった
ぬあんとも迫力ある単語たち。

ナイル海戦のリストを見ると(おおカサビアンカ!お懐かしゅう!とのはさておいて)
(l')Heureux = 幸福な
なんてのがある。
いったいどういうつもりなんでしょうかね。戦艦にこんな名前をつけるなんて。
名詞ならまだわかる気がするけれど、これはあくまでも形容詞。ハッピネスでなくて、ハッピーなんです。
(le) Genereux = 寛大な
これはまあいいか。でもあんまり強くなさそう。


で、英国の艦船の名前には、あんまり形容詞は無いんじゃないか、、、と予想したのですが、ありました。いくつも。

セント・ビンセント沖の海戦には
Excellent

ナイルの海戦には
Audacious(大胆不敵な)
Zealous(熱意のある)

コペンハーゲンの海戦には(アマゾン号がいた!ということはさておいて)
Ardent(熱烈な)



なんとなく、英国の艦船の名前は正統派のような感じがします。
それに比べてフランスはようわからん・・・
ナイルの海戦はほんわかやってたけれど、トラファルガーのときは名前だけでも怖そうにした、ということなのでしょうか?


※このサイト、映画「マスター&コマンダー」公開のころに見つけたのですが、ほんとうに労作だと思います。
でも、せっかくカタカナで発音表記しているのに、間違いだらけなのがとても残念。
それと、ネルソン巡礼地の「St. Paul's Cathedral」を「聖パウロ大聖堂」と訳してあるのもちょっと、、ね。
直してさしあげたいのですが、それはあまりにもでしゃばりというものでしょう。

by foggykaoru | 2009-05-09 12:40 | バベルの塔 | Trackback | Comments(9)

Commented by むっつり at 2009-05-09 20:38 x
木製の戦列艦って本来、寿命が短いですから
数が多すぎて、名前がいい加減なったのでしょうね
ヴィクトリー号のように百年近く練習船として使われたのは例外中の例外ですから
Commented by ケルン at 2009-05-10 01:32 x
へえええ、おもしろーい。

>(l') Indomptable

フランス語の発音は「らんどむたーぶる」? (語感が良いのかわるいのか・・・)

英国の船の名前、形容詞もあってもおかしくないような気はしますけど、全然知りません。
『マスター&コマンダー』の「サプライズ号」というのは、なかなか良いなあ、と思ってました。
あとどんな名前がありましたっけ? 
Commented by ゆきみ at 2009-05-10 01:54 x
興味深いですね。
船には女性の名前をつけるものだと思い込んでいました。なんでそう思ったのかしら。

遅ればせながら「テメレア戦記」にはまったのですが、この「テメレア」という名前も、フランス艦の「ル(?)・テメレール」をイギリスがぶん捕って「テメレア」として使っていたので、そこからついた名前なんですよね。
ル・テメレールといえば、ブルゴーニュ家第四代当主あだ名でもありますvv
Commented by foggykaoru at 2009-05-10 21:14
むっつりさん。
うーん、、だったら英国の艦船にも変な名前があってよさそうなものです。
フランス人の船に対する感性に問題アリ? 
だから英国に負けた?(笑)
Commented by foggykaoru at 2009-05-10 21:20
ケルンさん。
l'Indomptableはランドンターブルです。
-omptという綴りのときは、pを発音しないのが原則だから。

私はネルソン提督のサイトに載ってること以外は知らないから。。
英国じゃないけれど、最近のアメリカの戦艦にInvincibleっていうのがあったような。
そのあたりも考え合わせると、英語国の場合のほうが、形容詞の選択が正統的な気がするんです。
Commented by foggykaoru at 2009-05-10 21:22
ゆきみさん。
私も船は女性かと思っていたんだけれど、bateauもbatimentも男性名詞だから。。
vaisselleは女性だけど。
フランス人は船を男女どちらと考えてるんでしょうねえ。

ネルソン提督のサイトを見ていても、「もしかしてこれってもともとフランスの船だった?」と思わせる名前の艦船がちらほら。
真偽のほどはわかりませんが。
Commented by foggykaoru at 2009-05-10 21:44
ゆきみさん。
間違えました。
今「ん?」と思って辞書を引いたら、
vaisselleはお皿。おなじみの単語じゃん(滝汗)
船はvaisseauでした。男性名詞。
だからフランス人にとって船はたいてい男性なのかも。。。
Commented by ゆきみ at 2009-05-12 21:31 x
そうなんですよね。船っていう単語は男性名詞なの。
英語では船を「she」に置き換えると聞いたのですが。
ラテン語ではどちらなのでしょう。(すみません。自分で調べる時間がなくて。)
Commented by foggykaoru at 2009-05-13 22:01
ゆきみさん。
そう、英語で船は女性扱いです。
だから女性が船に乗ると、船が怒る、、、とかなんとか。
ラテン語はきっと男性ですよ。と、調べもせずに断定する。
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