職業別 パリ風俗
2009年 06月 21日
とても面白い。
19世紀フランス文学はスタンダールの「赤と黒」しか読んでない私が言うのだから間違いない。
たとえば
門番女は門番の妻ではなくて、あくまでも門番女。亭主はその亭主であって、門番ではない、とか。
高級娼婦にはいかにしてなるか、とか。
社交界の女王というのは、家柄がよければなれるというものではない、とか。
当時の上流階級の女性にとっては社交界が命だった。子供なんか邪魔なので、乳母が必要とされた。その乳母も自分の子供を別の乳母に預けて、、、とか。当時の子供ってかわいそう。
知っていても何の役にも立たない知識ばかり(苦笑)
あと、これはメモっておかなければと思ったのは、医者。
フランスは、革命戦争のとき、軍医の多くは反革命軍についた。(なるほどね。) そのため、軍医が不足した。
それで、衛生将校で急場をしのいだのだが、ナポレオンの時代にそういう人たちに医師の免許を与える制度ができた。
それは「免許医officier de sante(直訳すれば「健康師」?)」と呼ばれる。当然のことながら、正規の医者docteurよりも格下。
「マスター・アンド・コマンダー」の敵役であるアケロン号の船医も、その手の人だったのかしらん。。。
最後に警察関係の話があって、これがなかなか詳細なのだけれど、ちょっとついていけなかった。要するに、ジャベールがいろいろな部署に異動して、ジャン・ヴァルジャンを追いかけていく、というのはあり得ない、ということらしい。
この本に関する情報はこちら
鹿島茂さんの著作でイチオシは「馬車が買いたい」です。19世紀フランス文学をほとんど読んでない私に面白いんだから。さっきも言ったけど。その情報はこちら
by foggykaoru | 2009-06-21 22:38 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(8)

それにしても、当時の軍医・船医って麻酔もしらないレベルでしたから、術後の感染症で死なずにすむのはかなりの強運の持ち主だけだったとか?
ナポレオンの出身の砲術将校は近代的な高等数学を駆使していたのに…
乳母は気になっていました
日本の戦国大名なんかですと乳母の子供(男子)は乳のみ兄弟とされて、幼少の頃より側近として教育されていましたが、欧州を舞台にした映画では乳母は出てきても乳母の子供なんて出てきませんから
乳母の子供はよそに預けられていたんですね

>その乳母も自分の子供を別の乳母に預けて
何だか非効率的ですねぇ。しかし巷にはそれだけお乳の出る(子どもを生んだばかりの)女性がいた、ということなんでしょうね。避妊もできないし(避妊という概念さえなかったかもしれない)。
フランス文学はどちらかというと苦手な方ですが、鹿島さんの文章はけっこう好きです。
当時の医学なんて、元気な人でさえ病気になるような治療をしていたんですものね。瀉血とか。
乳母スパイラルはなかなかに興味深いものです。赤ん坊にとっては受難以外の何物でもなかったけれど。
当時、アレは子供を作るための必要悪だったのだから、避妊なんてあってはならないものだったはずですよね。
ジャベールの執念は成立しないっていうくだりなど、是非読んでみたいと思いましたが、熱帯雨林経由では高値の花ですね。図書館がちょっと遠いので、なかったら悲しいな。
実は私もそんなに読んでるわけじゃないんです(汗)
本格的な文学講義のタイプの本は手が出ないし。
ジャベールのところはきちんと読み切れなかったので、もしお読みになったら説明してくださると嬉しいです(苦笑)