都市はいかにつくられたか
2009年 07月 19日
ヨーロッパの25都市の整備の歴史。
ひとつの都市に割かれているページはそんなに多くないため、駆け足の印象がある。でも、だからこそ読んでみる気にもなったわけである。
全般的に印象が薄いのだが、ツボは以下。ほとんどがパリ。
パリの建物の原材料の石は、パリの地下から掘り出してきたもの。
だから、パリの地下には(オペラ座の地下にとどまらず)大きな空洞がぽっかりあいている。(地震がない国はうらやましい。。。)
その地下空洞に、処理に困った人骨を詰め込んだのがカタコンベ。
だからパリのカタコンベはローマ時代とはなんら関係ない。
一般に公開されているのは、巨大な地下空洞のごくごくごくごく一部なのだそうだ。
パリの下水道の管は巨大。なにしろジャン・ヴァルジャンが走って逃げられたんだから。
それは清掃・点検を労働者が立ったままできるようにしたから。(さすが、人権宣言の国!)
大きい管に取り替えなければならない都市が少なくない中、パリの下水道は今もゆとりいっぱい。(フランスってたまーにこういうヒット作がある)
パリの地下鉄と鉄道ターミナル。
ロンドンの地下鉄は鉄道ターミナルをつなぐ形で作られたが、その結果、ロンドンの人口が流出した。みんな郊外に引っ越してしまったのだ。
その二の舞をさけようと、鉄道ターミナルは分断したまま、つまり、ターミナルからターミナルへ移動するとき、絶対に地下鉄を乗り換えなければならないようにしたのである。つまりわざと不便にした。(そうだったのか!! パリの地下鉄自体はあんなに使い勝手がいいのに、どうして鉄道駅の連絡があんなに悪いのかと思ってた)
第一、昔だったら、ある都市からパリを素通りして別の都市へ抜ける、なんてことはありえなかった。パリですから。泊まらないでどうする。(その気持ちはわかる)
ミュンヘンでは下水処理の一環として、鯉を養殖している。下水処理のごく一部だけだけど。
糞尿を食べて育った鯉は、クリスマス料理の食材として使われる。
もちろん、市場に出す前に、しばらくの間、きれいな水の中で過ごさせるのだけれど。
フィレンツェのアルノ河畔には、今は貴金属店が並んでいるけれど、昔は肉屋が軒を連ねていた。
でも、肉のかすを川に捨てるのは、外国人に対してみっともない、とメディチ家が考えて、退去させられた。(退去させられた肉屋はどこに行った?)
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by foggykaoru | 2009-07-19 07:25 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(6)

水道の整備に熱心だったローマの末裔を自称していた国々だけにインフラ整備には特色がありますね
ロンドンの人口流出…霧の街と言えば聞こえが良いですが大気汚染が最初に問題になった街ですから、それが最大の原因でないかとおもいます
もちろん、それを加速する形で鉄道網が整備されたのでしょうが…
ホームズにしても郊外志向が強い(老後は養蜂業?)ですね
ローマ帝国は土木の国。
ロンドンのことも書いてありました。そうスモッグのことも。
とすると、パリがロンドンみたいになることを心配したのは杞憂だったのかな?
ヨーロッパ人の中でも特にイギリス人は田舎好きという印象が強いです。印象だけなのかしら。それともほんとうにそうなのかな。

「私のお父さん」というオペラ・アリアの歌詞に、「この恋を許してもらえないなら、アルノ川に身を投げてしまうわ」(だったと思う)があって、19世紀には川は身投げできるくらいキレイになっていたのか?と思って調べてしまいました(笑)
ストーリーは13世紀中世なんだそうで、まさに肉屋さん通りだった時代でした!身投げするにも勇気がいります。
演出が現代風なときもあるので、ストーリーの時代設定は初演頃(1918年)だと思っていましたが、かおるさんのおかげで目からウロコでした!
それ、ジャンニ・スキッキのあれですか? あの歌しか知らないけど。
私が驚いたのは、メディチ家の時代にすでに「外国人の目」を気にする、つまり国際的な街になっていた、ということなんですけど、、、臓物がポイポイ捨てられている川に身投げするのはいやだなあ(笑)
あれです(笑)
>メディチ家の時代にすでに「外国人の目」を気にする
そうなのですよね、それはすごい。
しかし、きたない川の汚さはアラゴルンの衣装どころではなく(どういう例え…)、豚や牛ならまだしも、暗殺された死体(爆)もあり、下水道でもあったはずですよね。
すさまじいものがありますよね・・・