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物語 フランス革命

中公新書の「物語 ○○の歴史」はわりと気にしてチェックしているのだが、いつまでたっても「物語 フランスの歴史」が出ないなあと思っていたら、これが出ていた。
考えてみたら、今さら「フランスの歴史」も書きにくいかもね。
ちなみに「物語 イギリスの歴史」も出ないなあと思っていたら、「物語 大英博物館」が出ていた。なるほど。今さら「イギリスの歴史」も書きにくいかもね。これもいずれ読んでみよう。

著者は安達正勝という人。
この人が書いた本としては、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌの本を読んだことがある。非常に読みやすくて一気に読んだ記憶があるが、この本も同様に、とても読みやすい。そんなに深くはないけれど、そこそこオモシロイ。高校の世界史よりもうちょっと深いことを知りたいという人にぴったり。

以下は備忘録。

ルイ16世は公式寵妃を持たなかった稀有なフランス国王。
だいたいが、王妃というのは家柄がいいだけで、特に美人だったり華やかだったりするわけではない。
だから、公式寵妃というのは、宮廷に華やぎを与えてくれるし、たとえ公式寵妃が乱費したり、ねたまれたり、スキャンダルを起こしたりしても、王室には傷がつかないという意味で、とても便利な存在だった。
美しく華やかなマリー・アントワネットは公式寵妃のいない宮廷において、しっかりその穴を埋めたわけだが、スキャンダルも一身に背負うことになってしまった。

ギロチンについて。
そもそも斬首は格の高い死刑だった。八つ裂きの刑とか車裂きの刑のほうが、ずっと残酷だった。
だから、身分を問わずにギロチン送りにするというのは、平等精神に基づく。
そしてギロチンは人を苦しめずに死刑に処すという、きわめて人道的な意図で開発された。
その刃を斜めにしたほうが首がすっぱり切れるということを発見?したのはほかならぬルイ16世。彼は頭脳明晰だったのだ。
貴族は斬首されるとき、それなりに品位のある態度を保つけれど、「そのへんの与太者の兄ちゃん」はそういうわけにはいかないので、ギロチンはとても便利だった。
しかし、ギロチンによってあまりにも死刑を執り行うことが楽になってしまったため、あんな皆殺し状態になってしまった。

ロベスピエールは死刑廃止論者だった。

絵で有名なマラーの暗殺。
彼はジャコバン派の中でもちょいと異色な存在で、どちらかというと扱いにくい男。それを革命精神に燃えた少女シャルロットが殺してしまったため、むしろジャコバン派を利することになってしまった。

「人権宣言」を生んだフランス革命。そこにはロラン夫人をはじめとする女性の活躍が大きかったけれど、命を張った女性たちには男性と同じ権利は与えられなかった。
「人権」= le droit de l'homme
hommeは「人間」という意味もあるけれど、実質的には「男性」をさしていたのだ。。。


この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2009-08-23 21:53 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(2)

Commented by むっつり at 2009-08-23 23:08
ギロチンにしろ車裂きにしろ、死刑は当時の最大の娯楽でしたから
たしか貴族の処刑は公開されないいう特権があったはずでしたが、革命で無茶苦茶(?)に…
現在の死刑囚は貴族待遇ですね(?)
Commented by foggykaoru at 2009-08-24 21:16
むっつりさん。
>現在の死刑囚は貴族待遇
そうですね。
そもそも、現在の私たちの生活自体、かなりの面で貴族待遇に近いのかも。。
食事とか。
とりあえず、飢えていないというだけでも、昔の庶民とは大違い。
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