中国の書店にて(1): 「会」って何?
2010年 01月 14日
前回(2005年)行ったとき以来、中国の翻訳児童文学事情に変化があったかどうかを、調査(!)してみたかったのです。我ながらなんという物好きなのだろう・・・。
今日はその第一弾。
中国の書店の児童書コーナーで大きなスペースを占めているのは「格林童話」、つまりグリム童話。
もちろんアンデルセン童話も。漢字は忘れたけど。
他に「秘密花園」。わかりやすいでしょ。
「小王子」もたくさんありました。「小さい王子」=「リトル・プリンス」つまり「小公子」、、、じゃなくて、「ル・プティ・プランス」のほう。内藤濯が「星の王子さま」と訳した、あれです。

そんな中で見つけたランサマイト好みの1冊。「飛ぶ教室」です。
ケストナーの作品としては、他に「5月35日」とか「動物会議」などもあったのに、「エミールと探偵たち」が見当たらなかったのが不思議。
それにしても、この書名の最初の「会」という文字は何を意味するのでしょう?
「飛ぶ教室で会いましょう」?
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「中国の書店にて」シリーズ
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by foggykaoru | 2010-01-14 21:10 | 児童書関連 | Trackback | Comments(9)
>最初の「会」という文字
これは「~できる」という意味の言葉です。(英語のcanみたいなもの)。言葉の並び順からみて、「教室自体が飛ぶことができる」という意味になります。
「飛ぶ教室」と「飛べる教室」じゃ、日本語としたらかなりイメージ違いますよね。

「わたしは泳げますが、今は冬なので泳げない」みたいな使い分け。
ドロシーの家が竜巻で飛んじゃったのも「会」かな?
「会」と「能」の使い分けは難しいですね。状況、能力とは言い切れないと思います。
中国語の話し言葉は割合重複を嫌うので、先に「私は中国語は読めますが」で能を使い、「でも話せません」に会を使う、ということは頻繁にあります。
次に続く言葉によって使い分けるときも多いです。言葉のリズムの関係もあります。「能说会道」(よく話せ、よくしゃべれる=口が達者だ)って言いますよね。
他に、言外のニュアンスが関係してくるときもあります。
「あなた、明日来られる?」
で「能」を使えば普通の表現ですが「会」で言われたら、なんかイジワルだなーと私なら思っちゃいます(どうせ来ないでしょうけどねーというニュアンスを感じる)。
ちなみに、挙げてらっしゃる泳ぐの例でいうと、私なら前の文は「能」を使い、「冬なので」の文は「不能」でなく「不想」を使うと思います(後ろの文の主語を変えれば別ですが「私」のままならば)。
ご教授ありがとうございます。
「会」と「能」の使い分けは奥深いのですねえ。。。
ところで「飛ぶ教室」の原題を調べてみたら「Das fliegende Klassenzimmer」= 「The Flying Classroom」
別にどこにも「できる」は無いので、「飛ぶ教室」でいいのです。
中国人的には「できる」を入れたくなるんですね。不思議。

「飛ぶ教室」は「さまよえる教室」?
まるで亡霊みたい。
「漂流教室」という恐怖マンガもありましたっけ。。。
KLMのマイレージクラブは「Flying Dutchman」というのです(苦笑)


これは、江戸時代の古伊万里(陶器)に、酒樽の上に座ってワインをぐいのみしているオランダ人のデザインの酒瓶があって、その顔がなんともおかしいのです。有名な骨董美術品です。