読んで楽しむのだめカンタービレの音楽会
2010年 05月 08日
彼は「のだめ」原作本を偶然目にしてハマり、原作者である二ノ宮知子さんにファンレターを送った。物語の面白さにもいたく感動したけれど、それだけだったらファンレターは送らなかっただろうと言う。彼を唸らせたのは、楽器や演奏している絵の正確さ、そして音楽に関する記述の的確さ。
その後、茂木氏はドラマ・映画の監修及び、数多くの「のだめ音楽会」も企画することになる。
この音楽会、ぜひ行ってみたいと思うのだが、東京付近ではやっていない。話をもちかけてきたホールが全部地方だから。東京は他のイベントで十分潤っているから、かえって冒険的な試みをするところがないのだろうな。
超軽い本だし、後半ちょっと冗長な感じがするが、「のだめ」との出会いと原作者との交流のいきさつは、掛け値なしに感動的。「のだめ」ファンには一読の価値がある。
面白かったのは、次のくだり。二ノ宮さんの受賞記念パーティーで、無償のオケ演奏をしたときのこと。おしゃべりや飲み食いタバコに夢中のパーティー会場のゲストたちを前にして
われわれにとっては、暗い、煙い、ウルサイ、の環境で、誰も聴いていないところでBGMをやるのは、「誰も聴いていない人がいない」N響定期で聴衆の視線におびえながら演奏するよりも、ずっと気楽で楽しいのだ。<中略>もともと、宮廷音楽は、気まぐれな貴族のBGMだったのであり、こういう演奏のほうがずっと実態に近いといえる。
あとひとつ、著者を感動させたのは、「のだめ」に出てくるドイツ語だそうだ。
10年間ドイツで暮らした彼を唸らせた、完璧な口語ドイツ語。
これは私も同じ。
フランス語がノーミスで、しかも完璧な口語フランス語だというところに感服した。
千秋がレストランで注文する場面なんて、フランス語の会話の教材として使える。
ってか、使った人がいることを私は知っている。
ひとつだけ疑問があるのは「べーべ」である。
フランス語の「赤ちゃん」は「ベベ」。
日本人100人にその発音を聞かせたら、99人は「べべ」と認識するだろう。
「べーべ」が間違いだとは言わない。コミュニケーション上、問題はない。
でも、他が完璧であるだけに、気になるんです。
この本、現時点では熱帯雨林には在庫が無い模様。ユーズドでしか買えません。
全国的に在庫無しかどうかはわからないけれど。
by foggykaoru | 2010-05-08 09:45 | エッセイ | Trackback(1) | Comments(4)
茂木さんは、文章が上手ですね。少し前に、ドイツ語講座のテキストに、音楽の話と絡めたドイツ語のフレーズの解説を連載していたのが好きでした。でも、
>われわれにとっては、暗い、煙い、ウルサイ、の環境で、誰も聴いていないところでBGMをやるのは、「誰も聴いていない人がいない」N響定期で聴衆の視線におびえながら演奏するよりも、ずっと気楽で楽しいのだ。
そりゃそうでしょう・・・
その緊張感や恐ろしさも含めたお仕事なんですよねー。
先日、人から戴いたチケットで演奏会に駆けこんだのですが、あわてていて楽器を預けられず、持って入ってしまい、入ってみるとその席は最前列の真ん中。楽器持って最前列で、さぞイヤな客と思われていたことと思います。ごめんなさい。
作者の二ノ宮さんの、クラシック音楽・音楽家について、知らない世界なのにおろそかにしないで、勉強し、正確に書こうとする姿勢に打たれて、茂木さんの協力は始まったとあります。でも、周りの音楽会の実務メンバーもそうだし、茂木さんの行動力もすごい。いろんな人の気持ちが一緒になって、小さい渦が、だんだん竜巻のようになっていったんですね。読んでいて幸せになる本でした。
最後に書かれていた、「この作品は生まれるべくして生まれた」というところに、説得力があります。
漫画は手元にないので、TVドラマと特番パリ編を、また観なくては!!
コメント見落としててゴメン。
>小さい渦が、だんだん竜巻のようになっていった
そう。まさにそんな感じ。
すごい勢いで。
>「この作品は生まれるべくして生まれた」というところに、説得力があります。
私もそう思います。
フランス語版のだめの巻末に付いている音楽用語の解説を見ると、日本のほうがよっぽどクラシックの土壌があるんじゃないかと思ったりするんですよ。

