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医学生

ようやく本を読むゆとりができた。

南木佳士著。
実はこの人、高校の先輩でして。在学期間はかぶってないけど。
「ダイヤモンドダスト」が芥川賞を受賞したとき、同窓会報にインタビュー記事が載っていたので、親しみを感じて読んだ。その後、確かもう1冊読んだ。それぞれ印象がとても良かった・・・はず。でも何も覚えていない(涙)

で、この本。

著者が在学した当時の秋田大学医学部を舞台に、4人の医学生の青春が描かれている。

大変面白い。
国立大学に新設された医学部に入ったという、世間的には間違いなく優秀な部類に入るのだけれど、伝統校には入れなかったために、少なからず挫折感を抱いている4人。
しかも、周りは「ど」がつく田舎。テンションは低くなるばかり。
そんな中、とりあえず勉強を続けていく。

私は医者になりたいと思ったことは一度もないのだが、この小説を読んで、改めて思った。
たとえもう一度十代に戻ることができて、しかも理数系の才能を与えられたとしても、私は医者にはならないだろう。
「風邪引いた人の診察をしたら風邪がうつる。この私にそんな仕事ができるはずない」と、風邪ばかり引いていた子どもの私はいつも思っていたのだが、病気というのは風邪に限らないのである。精神的にもダメージを受けるわけで。

誤解されないように繰り返し言っておく。
この本はとても面白い。
医学部に入って、医者になろうという人の本意は人それぞれ。
「人を救いたい」という、まっとうな気持ちで学ぶ人もいれば、「なんとなく」という人もいる。
でも、前者のほうが偉いとか、後者はろくでもない奴だとかいう、単純な話ではない。そこがいい。
医者を目指す若者必読の書だと思う。


この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2010-06-12 20:51 | 普通の小説 | Trackback | Comments(2)

Commented by ケルン at 2010-06-13 23:10
かおるさん、わたしも『ダイヤモンドダスト』をずいぶん前に読んだとき、読後感はよかったと思いますが、忘れてしまいました。
他の作品も良いんですね。よんでみようかな。
Commented by foggykaoru at 2010-06-14 21:07
ケルンさん。
とりあえず、この本、お貸ししましょうかね。
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