人気ブログランキング |

自負と偏見のイギリス文化

副題「J.オースティンの世界」。著者は新井潤美。

カテゴリーを「伝記・評伝」にしたけれど、そうとも言い切れない。
むしろ、オースティンの軽い研究書。

オースティンというのは、ヴィクトリア朝的と思われがちだが、実は違う、という論旨である。

彼女が生きたのはジョージ3世の時代。そしてこの王様、病気になって、1810からは皇太子が摂政となった。この時代を摂政時代(リージェンシー)という。1820に晴れて国王となったこのジョージ4世は、とても享楽的な人だったので、彼がトップにいた20年の間、イギリス社会はユルイ雰囲気だった。
そんな中、天性の批判精神をもっていたオースティンが小説を発表していく。もともとは当時流行していた小説のパロディーを書いて楽しんでいたのだというから、けっこう奔放、相当シニカルな人なのだ。

現代のイギリスにおいて、オースティンは根強い人気を持っている。それはこのリージェンシーの雰囲気が、ヴィクトリア朝よりもはるかに現代に近いということがある。イギリス人の共感を呼ぶのだそうだ。

彼女がしかつめらしいヴィクトリア朝的な作家だと思われるようになったのは、彼女の死後、家族が発表した評伝とか書簡集のせい。彼女の書いた文章のうち、「はしたない」と思われかねない部分は削除されてしまったのだそうだ。

この著者の本としては「不機嫌なメアリー・ポピンズ」のほうがずっと面白いけれど、これはこれで面白い。オースティンの愛読者にはお薦め。

ちなみに、オースティンにハマっている人のことを、「ジェイナイト」というのだそうです。相当濃いらしい・・・


この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2010-07-04 08:26 | 伝記・評伝

<< 19世紀のロンドンとパリの音楽事情 『ショパンとパリ』を読んでコン... >>