ロビンソン・クルーソーを探して
2010年 07月 19日
学生時代からバックパックを背負って世界中を探検してきた著者は、さらに探検を究めるために、イギリスの王室地理学協会の会員になることを思い立つ。でも、紹介者がいるわけじゃなし、どうしたらいいだろう? そこでこの協会が編纂した「世界探検史」という本の日本語版の出版を思い立つ。その本に載っていた「ロビンソン・クルーソーにはモデルがいた」というコラムに心惹かれ、その人物アレクサンダー・セルカークの足跡をたどることを決心する。
1994年、晴れて地理学協会の会員になった著者が最初に目指したのはセルカークの故郷、スコットランド。
そしてセルカークが孤独な4年間を過ごした、太平洋の孤島へ。
現在のロビンソン・クルーソー島は無人島ではないが、一歩集落を出れば、人っ子1人いない、まさに大自然の真っ只中。道なき道を悪戦苦闘してたどる。
単行本刊行の時点では、セルカークが島のどこで暮らしていたのかは確定できなかった。「このあたり」という目星をつけただけで。
それが2001年になって大きく進展する。ついに住居跡を発見。
(テレビ番組になったのだそうだ。)
ものすごい探究心とエネルギーだ。
誰に頼まれたわけでもないのに、どうしてここまでやる?と言いたくなってしまうのだけれど、やり始めたらたまらなく楽しいのだろうということは、想像できる。
何かを探し求める旅というのは、普通の旅とは一味も二味も違うから。
旅行記の傑作。河口慧海の「チベット旅行記」を思い起こさせる。旅行記と呼ぶべきではないのかもしれないけれど、それは慧海の本も同じこと。
なのに、熱帯雨林によると、もうユーズドでないと入手できない(怒)
著者の公式HPはこちら
ブログもあります。その後、住居跡がほんとうにセルカークのものだということが証明されたことが書かれています。もちろん写真もあり。「海賊は宝島のどこに宝を隠したのか」なんて記事もあります。
by foggykaoru | 2010-07-19 21:09 | 西洋史関連 | Trackback(1) | Comments(10)

「高橋大輔」の冒険ドキュメント作品『ロビンソン・クルーソーを探して』を読みました。 [ロビンソン・クルーソーを探して] 先日読んだ「椎名誠」の島を巡る旅行記『風のかなたのひみつ島』に続き、島ネタの作品です。 -----story------------- あの『ロビンソン・クルーソー漂流記』には実在のモデルがいた! 三百年前に遡るその足跡を追う旅が始まった。 スコットランドから南太平洋の島まで、足と文献と想像力を駆使して憧れの「ロビンソン」の実像にどこまで迫ることができるのか? そして「ロビンソン...... more

限られた資源をリスク分散しながら投資(穀物を分散して栽培)したりバランスシートを書いたり…産業革命前後の英国人気質を的確に表していますから
一人ぼっちでも投資し経営出来たから生き残れたんですね

私もご多分にもれず、子供の頃「ロビンソン・クルーソー(と「宝島」(^^♪)を飽きずに読み返したクチなので、とても興味があります。
この発見のニュース自体は聞いた覚えがありますが本になっているんですね。結局王立地理学会員になれたんでしょうか?
川口師の「チベット旅行記」は中学生の時に読んだきりですが、読み返してみたいと思いました。
高橋さんの探検は、物語の舞台を探しまわる探検なのですよね。
だからランサマイト的に、とても近しいものを感じます(^^;
>結局王立地理学会員になれたんでしょうか?
なってます。それからロビンソン・プロジェクトを開始したようです。


文科系人間としては、小説の舞台を探し求めて探検する気持はヒジョーによくわかります。
でも、干潟のぬるぬるしたものを探し求める気持はよくわからない(爆)
でも、スメアゴルを探し求める気持はよくわかります(爆・爆)