オペラの運命
2010年 09月 05日
「ピアニストになりたい」を書いた岡田暁生の本。この人の本をもっと読みたいと思って検索したら「西洋音楽史--クラシックの黄昏」というのもあったのですが、思い起こしてみたらこの本は読んであった。正月に実家で。面白くて持って帰りたかった本です。
で、この本。
オペラなんて、生で観たことがあるのは、友人にチケットを買わされた「蝶々夫人」ぐらいなので、読んでわかるのか?と思わないでもなかったが、杞憂でした。
とても面白い。この人の本は間違いない。
オペラという、豪華絢爛な金食い虫が発展したのはカトリック文化圏。
王侯貴族が自分の力を誇示するために催したのだそうな。
そして、19世紀にオペラのさらなる隆盛を見たのはフランス。
革命で絶対王政は崩れ去ったのだけれど、7月王政で実権を得たブルジョワたちが、王様の真似をした、、ということらしい。
ここで「グランド・オペラ」という、一大スペクタクルが生まれた。
そして映画がその地位を奪う。
19世紀だったオペラを書いていたであろう音楽家は、現在、映画音楽を作っている。
・・・なるほどね。指輪映画のハワード・ショアの音楽なんて、まさにオペラだものね。
またもや7月王政。
高校ではたいして教えてもらえないけれど、文化的にはキーポイントなのですね。
「のだめ」以来の「なぜコンセルヴァトワール? なぜパリ?」という疑問が晴れてきた。
コンセルヴァトワールの前進はオペラに必要な人材を育成するためにルイ14世が作った。
そして、革命。王政復古するが、ブルジョワにとって邪魔な国王は排除され、都合の良い国王が据えられたのが7月王政。フランスには成金文化が花開き、ヨーロッパ各地から優秀な音楽家がやってきた。その後、フランスの得意分野はむしろ美術のほうにシフトした。でもコンセルヴァトワールは残った。
フランス以前に市民革命を経験し、いちはやくブルジョワが力を得たはずのイギリスに、そういう文化があまり育たなかったのは、清教徒気質のせいなのでしょう。すごい月並みな結論だ。
あと、モーツアルトってすごかったらしいです。同時代の人々には追いつけないほど、先を行っていた。
「のだめ」の番外編でオペラをやっている(というか、コミックスの連載はつい最近終わってしまったのですが)けれど、それがモーツアルトの「魔笛」。
きっと作者の二ノ宮さんは、いろんなことを調べたうえで、この演目を選んだのでしょう。
市民オペラでも上演可能で、コミカルだけど、シンプルすぎない、、、とかね。
ユーロ馬鹿安の今日この頃、冬のパリに行ってオペラでも観ようかと、半分本気で考えてます。
この本に関する情報はこちら
by foggykaoru | 2010-09-05 10:45 | 西洋史関連 | Trackback | Comments(6)

ワインとオペラは欧州(英国人は本を読んだ知識では自分たちをヨーロッパとは見なしていないみたいですね)の華ですね

大昔にウィーンでオペレッタを観たことがあります。
でも、オペラとオペレッタは違うんですよね。。。
久しぶりにウィーンにも行きたいなあ。
もしかしたら、ホテル情報とか教えていただくかもです。
そのときはよろしく♪

私がオペレッタを観たのもそこです。
チャルダッシュの女王。
本来、シュタッツオーパーはオペラを上演する場所だと思うのですが、真夏に、観光客相手にオペレッタをやっていたんです。