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K.M.ブリッグズ著「魔女とふたりのケイト」(岩波書店)

「王妃エレアノール」の著者・石井美樹子氏が翻訳した児童書。図書館で手にとってみたところ、見開きにイングランド北部からスコットランドに及ぶ地域の地図が描かれ、なんと、「←コニストン」という文字が! 迷わず借りたことは言うまでもありません(笑)

「ケイト・クラッカーナッツ」という妖精伝説が下敷きになっているのだそうです。
時は清教徒革命前夜。冒頭から誰それがカトリックだとか、王党派だとかといった、とうてい子ども向きとは思えない話題がぽんぽん出てくるので、てっきり「伝説の魔女、その真実はこうだった!」という話になるのかと思ったのですが、大はずれでした。正真正銘、思い切り魔女なのです。「ほんとうは害のない人なのに、薬草の知識を豊富に持ち合わせていたために、周囲に魔女扱いされた」というような話ではないのです。自分自身が魔女であると自覚している魔女なのです。これにはがっくりしました。

考えてみれば、児童書なのですから、題名に「魔女」とあれば、魔女が出てくるわけで。もし出てこなければ、読んだ子どもが怒ることでしょう。
だから、がっくりきた私がいけないのです。

でも、ちょっとだけ文句を言わせてください。
こうも歴史背景をきっちり書かれると、読んでいる側は、ファンタジーモードから現実モードに切り替わってしまうのです。ファンタジーなら徹頭徹尾ファンタジーにしてくれたほうが、ずっと受け止めやすい。子どもなら、小難しい歴史をいちいち頭に入れようとせずに、魔女のところだけを楽しめるのかもしれませんが、年寄りの私にはそういう芸当はできませんでした。

「バッテリー3」の項で、「私は児童書は海外のもののほうが好き」と書きましたが、この本はダメでした。「バッテリー」のほうが好きです。

また、翻訳者としての石井美樹子氏にも、ちょっぴり失望しました。

「フェアが開かれる」には我慢できません。どうして「市」じゃいけないの?
それに、「セブン・ウィッスラーズ」って何ですか? すぐ後に、「成仏できない魂を、最後の審判の日まで追いかける妖犬よ」という台詞が続くから、わざわざ日本語に訳す必要は無いと判断したのでしょうか。「ああこれが瀬田貞二氏だったら!」と思ってしまいました。第一、「成仏」というのも問題ではありませんか? 

あれこれ文句をつけてしまいましたが、これはあくまでも私の個人的感想にすぎません。ほんものの魔女が好きな人や、英国史に興味がある人は、ぜひお試しを。

この本に関する詳しい情報はこちら

by foggykaoru | 2005-04-26 20:38 | 児童書関連

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