ディダコイ
2011年 04月 27日
作者はルーマー・ゴッデン(=岩波書店刊の『人形の家』の作者ルーマ・ゴッデン)。
翻訳者は猪熊葉子。
このラインナップなら絶対に間違いないと思って読んでみた。
舞台はイギリス南部の田舎。
大きな町として、名前だけだがライが登場する。
主人公キジーはディダコイの少女。
(ディダコイとはジプシーと白人のハーフのことなのだそうだ。)
ジプシーであるおばあさんに育てられるが、その後、運命が急変する。
白人の中で生きなければならない彼女の葛藤や苦しみ。
彼女にとって、白人に同化するということは、ジプシーとしてのアイデンティティを捨てることなのだから。
周囲の大人たち、子どもたち。
ジプシーをさげすむ人もいれば、理解しようとする人もいる。
いじめもある。
ネタバレしたくないから、これ以上は書きません。
名作です。とにかく読んでみて。
あとがきによると、ゴッデンは1907年生まれ。
幼少時をインドで過ごし、学校教育を受けるために英国に送り返され、大きなカルチャー・ショックを受けたのだそうだ。
『ツバメ号とアマゾン号』が書かれたのが1929年。
ゴッデンの学校生活はそれよりもかなり早い。
ということは、イギリスの大人の多くが大おばさんだった時代。
「異文化理解」など、一般人の念頭にはなかった時代である。
そんな中で苦悩して育ったゴッデンだからこそ、この作品が書けたのだろう。
とにかく読んでみて。
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by foggykaoru | 2011-04-27 19:47 | 児童書関連 | Trackback | Comments(6)
インドで幼少期を過ごした出自はたしかにゴッデンの本に独特の陰影を与えているようですね。「ジプシーもの」ではほかに大人向けの長編小説 "Gypsy, Gypsy" が良かった記憶があります。
手もとには "A Storyteller's Life" と題された評伝もあるので、いずれ読んでみましょう。とにかく比類のない生涯を送った人のようなのです。
ご存知ですか! さすが、守備範囲が広いですねえ。
こういう物語は、子ども向けだということもあるので、作家の力量がないと現実感のないご都合主義に陥りがちですが、これは絶妙のバランスだと思いました。
ご紹介の本、どちらも原書なんですね。英語で読むほど元気ありません。うーん残念。
れっきとした児童書ですから。
だからお買いになったとうかがって焦ったんです。
でも中身はいいですよ。
私は図書館で借りて読んだのですが、(今他に読むものがないということもあるけれど)もう3回ぐらい読み返してます。

