無法者よさらば

c0025724_1420559.jpgアーサー・ランサム作『Coot club』。
全集では『オオバンクラブの無法者』だったのが、今回刊行された岩波少年文庫版では『オオバンクラブ物語』となりました。

この新訳版には、すでに刊行された3作品(ツバメ号とアマゾン号、ツバメの谷、長い冬休み)以上に大きな意義があります。

なにしろ翻訳者が違う。
全集は岩田欣三訳。
今回の少年文庫は神宮輝夫訳。

子どもの頃、「ノーフォークもの」に今ひとつのれなかった私です。
大人になって読み直してみたとき、その原因の1つは翻訳なのではないかと思いいたりました。ぶっちゃけ、岩田氏の文体が気に食わなかったのです。

文庫版を読んでみて、自分が正しかったことがわかりました。
今回の神宮訳は、あえて岩田訳との違いを強く打ち出そうとしたのか、変えなくてもいいところを無理に変えすぎている、つまり、岩田訳が好きでなかった私ですら、岩田訳のほうがよかったと感じる表現がかなりある。
(その詳細を知りたい方は「ネタバレ」をクリックしてください。)
それでも、全般的に、神宮訳のほうが私は好きです。
この作品の主人公はトムだったんだなと、強く感じました。何を今さら・・・(苦笑)






時々登場する「クート」ですが、訳注があったほうがいい。
もしも私がいまだにARCの会員でなかったら、「新たな謎」のリストに載ったことでしょう。
(なにしろ私は斜め読み・飛ばし読みなので、文中に書いてある情報を100パーセント読んでない。訳注として番号がふってあれば、読んで「へえええええ」と思うはず)

タイトルだけでなく、作品中からも「無法者」が完全に消えてしまいました。
「愚連隊」とともに。ハラバルーって・・・
数十年前の子どもたちは、本を読むことによって、日本語を覚えた。
今の子どもたちはカタカナ英語を覚えるのですね。
ほんとうに日本語は滅んじゃうんじゃないでしょうか。心配です。

「デサンドグローリ」という表記について。
従来どおり「死と栄光」に「デス・アンド・グローリ」というふりがなでいいのでは。
数年前、映画「ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔」のラスト近くで「死と栄光」という台詞に出会ったとき、非常に嬉しかったものです。
しかも「death and glory」とはっきりと聞こえた。
でも、「デサンドグローリ」で覚えたら、そういう喜びを永遠に味わえなくなるわけですなんてことはどうでもいいんです。単なる全集読者のたわごとです。忘れてください。。

「あなたはよく働き、成功するでしょう」とか「提督の軽はずみ」が変わったのも残念。
旧訳と新訳、どちらが原文に近いのかはチェックしてないので、そっち方面のツッコミはしないでください。
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by foggykaoru | 2011-11-06 20:51 | 児童書関連 | Trackback(1) | Comments(2)

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Tracked from Sea Songs at 2011-11-06 22:35
タイトル : 『オオバンクラブ物語』
『オオバンクラブ物語』 アーサー・ランサム、神宮輝夫訳 岩波少年文庫 『オオバン... more
Commented by KIKI at 2011-11-13 18:01 x
そんなに英語をそのまま使うんだったら章の終わりの訳注にスペル入れたらいいのにって思いました。
そうそう、ちょっと古めの普段使わない日本語って本で覚えていったものです。あれがいいのにね。
Commented by foggykaoru at 2011-11-13 22:16
KIKIさん。
>そんなに英語をそのまま使うんだったら章の終わりの訳注にスペル入れたらいいのに
でしょ、でしょ?

本で日本語覚えなかったら、どこで覚えるんだろうと思いません?

私は「堪能する」という日本語を、岩田訳の「オオバンクラブ」で覚えました。
最後のページです。「マーごレッタ号にはすっかり堪能してしまい・・・」という文があって。

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