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デパートを発明した夫婦

パリのデパート「ボン・マルシェ」の創業者ブシコー夫妻の業績が書かれている。
著者はフランス近代の文学・風俗の第一人者である鹿島茂。
軽くさらさら読める。

「デパート」はフランス語で「grand magasin」、つまり「大きな店」という。(なぜ英語で「department store」と言うのだろう?)
だが、ブシコー夫妻は単に大きな店を作ったのではない。
彼らは「新たな文化の創造」という偉業をなしとげた。
それは「消費意欲を喚起する」ということ。
それまで、人間は「必要だから買う」だけであって、買い物の喜びなんてなかったのだ。(マリー・アントワネットとかは例外)

そのためには
「観た目、夢のある店をつくる」
「アッパーミドルの生活に対する憧れを喚起する」
「宣伝する」
「とにかく店に来させる、そのためには見るだけの客も歓迎する」
「バーゲンセールをする」
「カフェをつくる」
「社員の福利厚生に心を配り、優秀な社員を育てる」
「収益を社員に還元して労働意欲を高める」
など、現代の常識をすべて思いつき、実現していった。

とは言え、どんな思いつきだって、時代の潮流に乗らなければ成功しない。
19世紀末から20世紀初頭、世界に先駆けて現代に向かってまい進するフランスが生んだ、まさに「時代の申し子」だったのだ。

彼らのまいた種は大きく花開いていく。
たとえば「ボン・マルシェ」で教育された社員が作ったのが「プランタン」なのだそうで。

で、先詰まり感のある昨今、企業のトップに必要なのは、金勘定、つまり目先の収益追求よりも「新たな文化の創造」をする能力なのだろうなあと思った。

「ボン・マルシェ」には1度行ったことがあるけれど、あまりよく覚えていない。
エッフェルによる設計なのだそうだ。そこからして新しい。
次の機会に再訪してちゃんと見てみよう。

この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2012-02-07 19:11 | 伝記・評伝

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