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幻獣ムベンベを追え

「アジア新聞屋台村」の高野秀行が早稲田の探検部員だったときに敢行したアフリカ探検のてんまつ。
タイトルから推察されるように、「ムベンベ」という怪獣を探しに行くのだが、「幻獣」とあるとおり、発見には至らない。

でも、これぞ探検。

まずは準備。
言葉を学ぶために、その国の人を探すことから始めるのだ。
私だったら語学学校を探しまくる以外、思いつかないのに。
でも、考えてみたらそれが基本だよねえ。

そして現地。
もちろん自然は過酷である。
猛獣はあまりいないようだが、疫病の危険がある。
でも、赤道直下というのは、意外に涼しいらしい。
ジャングルの中だと、東京の熱帯夜よりもはるかにマシっぽい。

その中でいちばん印象的なのは「土人」、もとい「原住民」との関わり。
現地はあくまでも原住民のものだから、原住民の意向に逆らうと探検はできない。
当時のコンゴの国家体制は今のものとは違うようだが、そもそも、ジャングルの奥地では「国家」なんて概念は通用しない。

なにしろ空振りに終わった試みである。
だから爽やかな達成感を味わいたい人はがっかりするかも。
でも、これぞ探検。お薦め。

この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2012-08-21 21:09 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(4)

Commented by むっつり at 2012-08-22 19:36
今、熱帯雨林に注文しました
それにしても1988年と言えば、バブルの始まった頃
夢を見るには希望が必要ですね
Commented by foggykaoru at 2012-08-22 21:02
むっつりさん。
スポンサーを募るにはバブルはよかったでしょうけれどね。

この人のバブルに背を向けた生き方に関しては、また別の本をご紹介しますね。
Commented by むっつり at 2012-08-26 08:02
一気に読めたのでmixiのレビューに感想を書きました。
壮絶ですね
ほとんど南方に置き去りにされた日本兵と同じ環境…
現地の方々の逆鱗に触れたら、なぶり殺しにされる可能性も有ったわけですから、戦場レベルです
学術的にはともかく、「隕石」を持って帰らなくて本当に良かったと思います
もし持ち帰ろうとしていたら、確実に探検隊はジャングルで行方不明になっていたでしょうから
リアル、インディ・ジョーンズ?
Commented by foggykaoru at 2012-08-29 09:08
むっつりさん。
>置き去りにされた日本兵
自ら好んでそうなったわけで、そこがすごい・・・というか、おバカなところでして、それが魅力。
隊員たちのその後もとても興味深いです。
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