「愛」について
2005年 06月 17日
クラシック音楽に造詣の深い友人がこの3部作の蘊蓄を語るのを、「ふむふむ」と聞いていたときのことです。
ふと思いついて「原題はイタリア語の『アモール』なのかしら」と言うと、友人曰く
「違う違う、あれは"La charite"(最後のeの上には右上がりのアクセント記号が付く)、ラ・シャリテなのよ」
ええっ?!
シャリテ・・・
英語のチャリティー。
「愛」とはイメージがかなり異なります。
「ロッシーニ 信仰 希望 愛」で検索したら、こんなページを見つけました。
ほほう・・・。この3部作、友人が言ったとおり、原題はフランス語なのですね。
辞書を引いてみると
(仏)charite
1.愛、愛徳(foi=信仰、esperance=希望と並ぶキリスト教の3対神徳の1つ)
2.思いやり、慈悲心
3.慈善、施し
(英)charity
1.慈善、施し、博愛、慈悲心、思いやり、寛容
2.施し物
3.慈善基金、施療院(療病院!)、養育院、慈善事業
4.キリスト教的愛
宗教曲なのだから、「愛」といっても、たとえば異性間の恋愛などといった、俗っぽい愛ではないのだということは、わかっていたつもりでした。エロスの愛ではなく、アガペの愛。
でも、題名がラブではなくて、チャリティーだと知った瞬間、脳内に流れていたあのメロディーが、がらりと違って聞こえるようになったのでした。より一層清らかで、澄んだものになったのです。
この曲の題名、「愛」より「慈愛」と訳したほうがよかったのではないかしら。。。
もともと日本語に存在しなかった概念を翻訳するのは難しい。
まあ、「愛」自体も翻訳語だそうですしね。
正確に訳せないからといって、「シャリテ」のままにするよりは、「愛」と訳すほうが何十倍もいいのは言うまでもありません。
by foggykaoru | 2005-06-17 21:01 | バベルの塔 | Trackback | Comments(4)
昔々のことですが…。聴いてみることにします。
愛がシャリテではピンと来ませんね。ラブではなくチャリティーかぁ。
調べないと分からないことがいっぱいあるのですね。
友人曰く、「ロッシーニは、ドイツ音楽に牛耳られていた日本では、長いこと無視された存在だった」とか。
実は私自身、ロッシーニの作品としては、「セビリアの理髪師」とこの「愛」ぐらいしか知らないんです。今度CDでも買ってみようかな。

音楽の何たるかをまだ知らない子供のころでしたが、
この曲の美しさに、歌いながら涙が出そうに感動しました。
急に楽譜がほしくなり(昔のはどっかへやっちゃったので)検索して
ここへたどり着き、「愛」がシャリテだと判って目からうろこです。
まさにシャリテ!ラヴではないと子供心に思ってましたが、
慈愛ときいてすっきりしました。