空白の五マイル
2013年 11月 16日
今年、彼の『アグルーカの行方』が高野さんの『ソマリランド』とともに講談社ノンフィクション賞を受賞したというので、まずはデビュー作のこちらから読むことにした。
チベットの奥地にあるツアンボー峡谷は、長年、冒険野郎たちの心をそそってきたが、その険しさから、いまだに踏破した人は出ていない。まだ「空白の五マイル」が残っている。その五マイルを踏破するぞ!と思い定めた角幡さんの奮闘記である。
すごい。これぞ探検、冒険。
いくつ命があっても足りないとはこのことだ。
しかも元新聞記者。読ませる文章である。
単行本は2010年刊行。
いくつもの賞を受賞しているが、これだけハードでまっとうな探検記なら当然のこと。
「まっとう」というのは、高野さんの探検はまっとうではない、ということが、この本を読んでつくづくわかってしまったのである。
ハードはハードなんだけどね。たとえば『アヘン王国』とか『西南シルクロード』とか。でも、まっとうではない。だから高野さんは長いこと日の目を見なかったんだな。
私は高野さんの本のほうがタイプです。
というのは、高野さんの探索の対象が「人間」だから。
厳しい大自然も悪くないけれど、私は自然そのものよりも、自然と人間との関わりのほうに興味があるのです。
若いときに何かを読んで、「そこに行きたい」と思う気持ちはとてもよくわかります。
子供時代に本を読んだことがきっかけで、「死ぬまでに絶対に行こう」と思いさだめた土地が、(飛行機には乗るけれど)電車を乗り継いで行けるところでほんとうによかった(苦笑)
この本に関する情報はこちら
by foggykaoru | 2013-11-16 19:09 | ルポ・ノンフィクション | Trackback | Comments(6)

冷静に考えたらアウトローです
でも読ませるのは、求めているのは秘境でもなければ珍獣でもなければ。世界の人ですからよね
強欲な海賊にさえ人間を見出す人と言うだけで大物
私なら逃げ出す事だけしか考えられません
まあ、作家というのは一種のアウトローかも・・・
アウトローを日本語に訳すと「無法者」ですね。あ、これはどうでもいいランサムネタでした(苦笑)
>逃げ出す
いいえいいえ、ふつうだったら逃げ出すどころか、はなから行きませんてば。

高野さんいわく、「探検部員は文章を書く訓練を積んでいる」のだそうで。

行くつもりはなくても可能性はあるかも?