有明をわたる翼[2013/12/22追記]
2013年 12月 21日
しかも生物系の学会が後援しているという、実に珍しい演劇です。
諫早湾の干拓事業が自然に及ぼす悪影響を憂いた研究者が、自らプロデュースしたもの・・・というと、教訓臭くて説教調なのではないかと、腰が引ける人もいることでしょう。かく言う私も、友人がスタッフに加わっているから観に行ったので、正直「どんなもんなんだろう」と思ってました。
が、
面白かった。
音楽の生演奏がついて、ちょっぴりミュージカルテイストのエンターテインメント。
問題点をわかりやすく提起しつつ、最後まで飽きさせない舞台でした。
脚本は3人で書いたのだとか。
まず訴訟に関わった弁護士が書いた原案に、生物学者が専門的な裏付けを加え、演出家がさらにアイディアを出したのだとか。
ほんとにその3人だけ?
だとしたら、その中に相当な本読みがいるに違いない。
公演は明日まで。場所は東京の阿佐ヶ谷です。
興味のある方は「有明をわたる翼」で検索してみてください。
[2013/12/22]
諫早湾を「殺した」堤防ですが、「2013年12月20日までに水門を開放するべし」という判決が出ました。
でも最終期限を過ぎた現時点でも閉鎖されたままだそうです。
by foggykaoru | 2013-12-21 23:10 | 観もの・聞きもの | Trackback | Comments(9)

ご明察です。海洋冒険小説を読んでいなかったら、またファンタジーを読んでいなかったら、ああいう脚本にはならなかったことでしょう。
楽しんでいただけて、何よりです!
ファンタジー(特にドリトル先生と神話・伝承的なもの)と海洋冒険ものが咀嚼された結果ですよね。
あと、彼女の描く絵の変化も、文学を読みこんだ人なら思いつくかもしれない話だけれど、専門書ばかり読んでいる人が自力で思いつくのは容易ではない。(思いついたらそれこそ天才) あのあたりは筋書的には必須ではないけれど、ああいう話があるからこそ、作品に深みが出る。
訴訟を演劇にすると、リアルな住民たちの立場の違いとか、とてもよくわかります。でも、それだけだとひたすら真面目で教科書みたいになってしまう。
ファンタジー要素を入れるのは冒険だったのではないかと思うんです。演出と役者の力量がないと、失笑ものになってしまう。そのあたりが見事だったと思います。

干潟は海の命のゆりかごであり、川から来る物質の浄化槽であり、水の調整場所であり、鳥も含めた生き物の巨大食料庫。
私が知ってるのではこんな所です。干潟は生態系の多方面で重要だけど、存在することで経済効果が出せるか?というのには、否となると判断する人が多いと思います。

生態系は無論のこと、数十年単位で見なければ、結果の分からないものは、統計的な結論を出すのは難しいので、ずっと議論が続いて手遅れになりかねないのでしょうね。


"ファンタジー要素を入れるのは冒険だったのではないかと思うんです。演出と役者の力量がないと、失笑ものになってしまう。そのあたりが見事だったと思います。"
「劇にするからには楽しいものにしなくては」という製作陣の意気込みが伝わる舞台でしたよね。

干潟は存在するだけで経済効果が生み出せるのか?
答えはYesです。
干潟が存在することで、漁業が成立するようになりますので。
干潟を失って漁業が崩壊の危機に見舞われるまで、なかなか分からなかったわけですが…。