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バーネット作「秘密の花園」(岩波少年文庫)

「本を読む少女たち」にとりあげられていたのがきっかけで、何十年ぶりかで再読してみました。

まず冒頭の、メアリーのインドでの生活ぶりが非常に興味深い。植民地を支配するイギリス人の姿をかいま見ている気分。メアリーの周囲の大人たちがばたばた死んでいくさまも、面白いと言うと語弊が有りますが、興味をそそります。似たようなことは、実際ときどきあったんだろうな。

そして、親の愛を知らずに育ったメアリーは、イギリスの謎めいた親戚が所有するお屋敷にやってくる。
このあたりのバーネットの書きぶりは、手練れだなあと感じさせます。
メアリーとコリンという、超わがまま娘と超わがまま息子の正面対決も、なかなかのみものです。
脇役としては、コリンの看護婦が気に入りました。

後半、メアリーやコリンがいい子になって、みんなで秘密の花園に行ってからは、ちょいと尻すぼみの感有り。
でも、「自然の中に心身を浸せば元気になる」というのは(C.W.ニコル氏もそんなことを言ってましたよね)、非常に現代的な考え方。そういう意味で、今読んでも古さを感じさせない作品です。
イギリス人の田舎好きも、この本が書かれた頃(1911年)から本格化したのかも、と思ったりします。

バーネットの生きた時代(1849~1924)には、ワーズワースを始めとするイギリスロマン主義がトレンドだったはず。その辺の影響もあるのではないでしょうか。
イギリスロマン主義というのは、確か「子どものようなまなざしで自然を見つめ、何かを発見したときの、新鮮な驚きを詩にした」とかなんとか…。違ったかな…。自信ないぞ…(汗)
検索してみたところ、ワーズワースは1770年生まれ。1850年没。名声が確立したのは1840年頃。
私の想像は、当たらずいえども遠からず?

大人になった今読むと、主人と使用人の間にある厳然たる身分の違いが、よくわかります。
数年前、この作品がミュージカル化されたとき、「メアリーはディッコンと結ばれるのではないか」という噂をネット上で見た記憶がありますが、少なくとも原作に関する限り、それは絶対にあり得ない。
メアリーのお相手はコリンです、絶対。

ディッコンといえば、彼が賛美歌を歌う場面は、記憶からすっぽり抜け落ちていました。
うーん、、、やっぱりヨーロッパは何につけてもキリスト教なんだわ、と今さらながらに痛感いたしました。


そうそう、私が昔読んだ訳では「ムア」は「荒れ野」でした。
「荒れ野」という日本語からくるイメージをは違って、とても素晴らしいところだ…というのが、子供心に意外だったので、よく覚えているんです。
どちらの訳語がより良いのかは、意見が分かれそう。

「訳者あとがき」が勉強になります。

by foggykaoru | 2005-07-02 19:01 | 児童書関連

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