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父への恋文

著者は藤原咲子。
新田次郎と藤原ていの娘。藤原正彦の妹。
副題は「新田次郎の娘に生まれて」

「藤原ていの娘に生まれて」ではないのです。

引き揚げ時には乳のみ子だった著者は、兄たちとは違い壮絶な体験をはっきり記憶しているわけではない。でも潜在意識にはしっかり残っていたようだ。言葉が遅かったのは(栄養不足で成長が阻害されたということもあろうが)、精神的な傷によるところが大きかったらしい。
そんな娘に対して、深い愛情を注いだ父。
気象庁職員と作家という、二足の草鞋をはいて、普通の人の二倍忙しかったのに。たいしたもんだ。

で、「お父さんが死んだら、お父さんがどうやって小説を書いたのか、書くんだよ」と言われて育ったのだそうだ。すごい宿題出されちゃったのね。

「流れる星は生きている」の書きぶりから想像できるけれど、藤原ていという人はなかなかすごい人だったようで。子供三人を連れ帰ったというバイタリティーもすごいけど、それ以前に「もって生まれたキャラ」が強い。「たまたま」作家になったのだけれど、作家になるべくしてなった人なんだろうなと思う。
そんな人が母親だと子供はけっこうきつい。
そのうえ、自分が生きているのはその母親のおかげ。
一生涯頭が上がらない。感謝してるんだけど、きつい。

野次馬な私にとっては、なかなか興味深い一家です。

この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2015-03-07 21:14 | エッセイ | Trackback | Comments(0)

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