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三浦俊章著「ブッシュのアメリカ」(岩波新書)

旅行記を書いていていつも思うのは、書いたとたんにどんどん古くなってしまうということ。賞味期限が短いのです。文芸作品だったら、後になってもその味わいは変わりません。文学が書けたらどんなにいいだろうと思います。

この本を読んで、同じことを思ったのです。
こういうジャンルの本は賞味期限が短いな、と。
これは2003年刊。もしも出たその年に読んでいたら、もっともっと面白く読めたことでしょう。せめて去年、映画「華氏911」を観る前に読んでいればと思いました。

とはいえ、「華氏911」で描かれていたのがブッシュ政治の1つの面に過ぎなかったのだということが、これを読むとわかります。それに、「今となってはすべてが古過ぎる」というわけではありせん。いや、今だからこそ、より面白く読めた部分もあるのです。

一番驚いたのは、昔から「共和党を支持する人々=中西部の保守層」「民主党を支持する人々=東部および西部の都会を中心とした、進歩的なインテリ層」だったわけではないということ。
それはたまたま今そうなっているだけのこと。
むしろ昔は逆だったと言ってもいい。

先日の衆院選で、小泉自民党が「改革!」と叫び続けたことにより、「自民=保守的」、「民主=革新的」というイメージが崩れ去り、自民党が都会で大勝利を得たことと、奇妙に符合します。歴史というのはこうして動いていくものなのでしょう。

とにかくブッシュ政権は2008年まで続くのです。
今から読んでも、決して遅すぎはしません。

歴史本は好きで読むけれど、現代政治にはそれほど関心があるとはいえない私が、今この時期にこの本を手にとったのは、決して偶然ではないのですが、その理由はここでは述べないことにします。

ただ、指輪ファンには1つだけお知らせしたいことがあります。
この本の114~116ページの「『指輪物語』に重ねる心」という文章は必読です。年季の入った指輪愛読者でなければ、ああいう文章は書けません。

著者は朝日新聞の政治部の記者で、「海の日」の天声人語の記事を書いた人。
でも、もしかしたら、専門の政治を除くと、この人の読書傾向は、限りなく私や私の友人たちのそれに近いのかもしれません。そう思うと、なおのこと深い感慨を覚えました。


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by foggykaoru | 2005-09-29 20:43 | その他のジャンルの本

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