船上でねむり、海に出る
2005年 12月 07日

晴天に恵まれた1日目でしたが、今の時期に晴れているということは、北西の季節風が吹いているということを意味します。白波がたつ外海を一目見た船長は「こりゃだめだ」

静かな環境の中でぐっすり寝ました・・・と言いたいところなのですが、そうではないんです。周囲を山で囲まれた天然の良港に停泊していても、風のびゅうびゅういう音や、何かがぶつかる音などが聞こえてきて、実ににぎやか。船室の上の甲板からも、どしんどしんという音が響いてきて、まるで誰かが歩いているみたい。
そんな中でしたが、けっこうよく眠れました。
真夜中過ぎに目が覚めると、風はおさまっていました。その静けさに、却って驚いてしまったぐらい。
翌朝、目が覚めると、冬の朝はいつもひりひりしている喉が全然痛くありません。空気がきれいで湿り気があるおかげでしょうか。早寝したのもいいのかも。
空はどんより雲っていますが、海はおだやかになっています。海水温が高いため、水面にもやが上がっています。

新しい帆が誇らしげに風をはらむと、「ツバメ」はぐんぐん快走し始めました。かしいだ船体の上では、ただそこに張り付いていることしかできません。
ちょっとの間だけ、舵を握らせていただきました。まっすぐに保っているつもりでも、船はどんどん曲がっていっちゃうのです。進路を直そうとすると、ますます曲がっていく。。。
日常からの脱却という点では、海外旅行も同じですが、この2日間は、日常とも、旅とも違う、不思議な時間でした。
正直、「東京に帰ってすぐにいつものペースで生活できるのだろうか」と不安を覚えたぐらい。
こういうのを「ほんとうの生活」というのかな・・・

別荘を持って管理するのもそれなりに大変だろうけれど、別荘は建物。建物は陸上にある。電気屋さんもすぐに来てくれる。すぐに来てもらえなくても、待っている間に沈むということはない。
でも、船の場合は、何かがあったとき、その場で、自分の才覚で切り抜けなければならない。
「ヨットを買っても、手放してしまう人が少なくないんです」
船長のこの言葉に、深くうなずいてしまいました。
情熱が無かったら続けられないだろうと思います。
船長に、いつ頃から自分のヨットを持とうと思っていたのかと尋ねました。
「小学生の頃からです」
愚問でした。
by foggykaoru | 2005-12-07 19:38 | ほんとうの生活 | Trackback | Comments(6)
好きな人には良いのですが、私は船は大型でないとダメです。
ヨットで酔わなければ楽しそうな感じがします。あのゆれがちょっとねぇ。

冷え込みの厳しい日で雨も降ったので心配していましたが、楽しめたようで何よりです。
「なんだか」どころじゃないと思いました。
あれは好きじゃなければ絶対にできません。
私はお酒を飲むと、わりとすぐに眠くなってしまうんですが、帆走しているとき、それとかなり似た感じで、頭がぼーっとして、妙に眠かったんです。あれは船酔い一歩手前だったかも(苦笑)

そうなんです! 船で眠ったんですよ~
「旅とも日常とも違う」の意味を、後になって考えてみたんですが、「水に命を預ける」感覚なのかなと思います。
それには夜寝るときも船の上、というのが重要なポイントのような気がしてます。