作者はガエル・ファイユという、ブルンジ生まれの人物。
内戦から逃れるためにフランスに移住してから書かれた自伝的小説である。
帯に「高校生が選ぶゴンクール賞受賞作」とあったので、あんまり好みではなさそうだけど、フランス語畑の人間がスルーしてはいけないのかな、、と思って読んでみたのだが・・・
ブルンジの隣国はルワンダ。
このあたりの国境と民族の入り組み方は今ひとつわからないのだけれど、とにかく、ヨーロッパの列強の都合で変に分けられてしまったのが、後々に影響しているのだろうなということだけは想像できる。
民族が異なっていても、つい昨日までは普通に接して、平和に暮らしを共有していた人々が分断され、多くが命を散らしていく。
愛する故郷を離れざるを得なかった青年の心には、深い悲しみ、空虚がしみこんでいる。
安住の地であるはずのフランスでは自分はよそものであり、帰属感は持てない。
その状況ををどうすることもできない。
救いが無いのである。
大して長くないのだけれど、再読するには気力を要する。