いとうせいこう著。
この人、昔、テレビでお目にかかった記憶があるけれど、もともとは編集者で今や作家なんですね。
タイトルどおり、「国境なき医師団」のルポ。
取材したのはハイチ、ギリシャ、フィリピン、ウガンダの四か国。
「国境なき医師団」の宿舎に泊めてもらって。そういうのいいな、面白そうだな。
印象に残っているのは以下2点。
まず、ものすごくきちんとした組織なのだな、ということ。(当たり前だ)
必要とされるところにすぐさま飛んでいって医療行為をするのがその活動なのだけれど、なんとなく、身を粉にして、寝食を忘れて、困っている人々を救う、、、というイメージがあったんですよね。ありませんか?
でも、そんなブラックな勤務ではない。
ちゃんと休暇があって、心身をリフレッシュしてから次の赴任地に飛ぶのです。
赴任地でも勤務ばブラックではない。(もしかしたら、日本の大学病院のほうがきつかったり?)
考えてみれば、そうでなければ、みんな疲弊してしまって、活動は頓挫してしまうものね。(第一、フランス中心の組織なんだから、ちゃんと休むにきまってる)
もうひとつ、はっきり覚えていること。
それはハイチの状況の劣悪さ。
実は、この本を読んだのはハイチが取り上げられていたという点が大きいのです。
で、結果、ハイチ以外の3か国に関して何が書いてあったか全く覚えていない(汗)
というのは
まだまだコロナ禍の真っただ中、ハイチ人(在日ハイチ大使館員)と話をする機会がありまして。
「お国ではコロナの感染状況はどうなっているのですか」
と尋ねたら、
「驚くべきことですが、まったく蔓延していないのです」
ええっ?
「不思議でしょう? なぜそうなのかは神のみぞ知る」
へええそーなんですかー
と流したけれど、そんなはずはないってば。
外交官は本国政府の意向に逆らった発言はできない。
だからきっと、コロナの実態を把握することができないほど、医療状況が劣悪なんだろうなと思ったものです。
この本を読んでその予想が当たっていたことがよくわかりました。
ほんとに大変な国なんよ。