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「シャーロック・ホームズ 東洋の冒険」

題名を見ておわかりのとおり、ホームズもののパスティーシュです。
「最後の事件」と「空家の冒険」の間の空白期間を、ホームズはどこでどのように過ごしていたか、という、いわばパスティーシュの王道を行くもの。短編集です。
(その点、先日読んだものは、ある意味、異色だと言えます。)

題名のとおり、舞台は東洋です。
いくらパスティーシュとはいえ、というか、パスティーシュだからこそ、舞台設定がしっかり描かれていないと面白くないのですが、この本の著者テッド・リカーディは元コロンビア大学教授! しかも、専門はアジア・中東の歴史・言語学!

「1」を教えるには、「1」の知識を持っているだけでは足りない。その10倍、あるいは20倍の知識を持っていて、初めて「1」を上手に教えることができる、、、とよく言われます。
「ドイルだったらこう描くであろう」という、かなりいい加減でありがちなインドやネパールの描写を、著者が再現し得たのは、その地域に関する的確かつ豊富な知識の裏付けがあってこそだったのでしょう。

いろんな意味で、ホームズっぽいです。たとえば、テキトーな感じで終わる事件もある。そこがまた「いかにもホームズもの」という感じで、読んでいてにやっとさせられます。

「最後の事件」以後間もない時期のことなのだから、モリアーティ教授に関する言及がなくてはおかしいわけですが、そのあたり、期待を上回る話が出てきます。

実はこれ、真性シャーロキアンであらせられるcrann@leiraniさんが「これは面白いから」と貸してくださったのでした。leiraniさん、ありがとう! ほんとうに面白かったです♪

この本の情報はこちら

by foggykaoru | 2006-01-19 20:23 | 推理小説 | Trackback | Comments(2)

Commented by crann at 2006-01-24 11:28
かおるさん、気に入っていただけて嬉しいです!
よく出来ているパスティーシュですよね、この1冊は。
「空白の3年間」モノは他にもたくさん出ています。もうひとつ、チベットだけを舞台にした『シャーロック・ホームズの失われた冒険』というのもあります。
こちらは「ドイルだったらこう描くであろう」をもっと進化させつつ、チベット出身作者だから描ける楽しさです。
加納一朗氏の東京に来たホームズとともに、私のなかでは「東洋もの傑作」に分類されています(笑)

真性シャーロッキアンじゃないですよ~真性パスティーシュリアン(なんて言葉はない?)です・・・
Commented by foggykaoru at 2006-01-24 21:32
crann@leiraniさん。
ホームズものの魅力の1つに、「ゴシック・ロマンのほのかな香り」もあるんだなということを、この本のお陰で、再認識することができました。
他のお薦め本も読みたいです♪
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