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高階秀爾著「ゴッホの眼」(青土社)

c0025724_17231545.jpgゴッホというのは、いい人か悪い人かというと、間違いなくいい人です。とにかく真面目。伝道師になろうとしたほどですし。
でも、周囲からすると、今の言葉で言えば、かなり「うざい」奴。
相手にあまりにも多くを求めるため、結局、みんな彼に辟易して逃げてしまう(と彼は感じた)。そのことで、さらにまたいたく傷ついた。悲劇です。彼の側から言えば。

強烈な思いが濃縮されてこめられた彼の絵は、非常に濃い。魅力的だけど、こっちの心と体の調子が良くないと受け止めきれないところがある。

この本は、そんなゴッホの絵解きです。
なぜ向日葵でなくてはならなかったのか?
その向日葵は12本バージョンと、その後に描かれた14本バージョンがある。彼自身、手紙の中でこの数字に繰り返し言及している。では、12とか14の意味は?
人が座っていない椅子---「ゴーギャンの椅子」と「ゴッホの椅子」---を描いた真意は?
ゴッホが安らぎを感じられるのは、どういう場所だったか?
逆に、ゴッホを大きな不安に陥れるのは、どういう場所だったか?

面白いです。
特に、ゴッホの自殺の原因についての考察には、なるほどと唸らせられます。

面白いのですが、彼の思いの深さを知れば知るほど、引け腰になる自分を感じました。
この本のお陰で、ゴッホの絵が一層興味深くなったのは確かですが、それと同時に、「こんな蘊蓄は知らないほうが、むしろ気楽だった」という気分がするのです。

それと・・・

ゴッホは自分の想像力で画面を構成する才能はなく、あくまでも写生や模写をもとにして、そこに自分の感情を塗り込んだのだそうです。

実際にあったことしか書けない私はドキっとしました。
旅行記の形を借りて、自分の思いを書いている?
・・・・・・そうかもしれない。

「自分では普通のつもりでも、濃すぎて読みにくい旅行記を書いているのかもしれない」と思うと、ぞっとします。
いろんな意味でのめりこみすぎないように注意、注意。

この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2006-01-28 17:12 | その他のジャンルの本

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