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エルフ語を習い日本語を思う

「指輪物語」の原作者トールキンが作ったエルフ語には「緩音変異」という現象があります。これは、たとえば単語の前に置かれたある音の影響で、語頭の音が変化するというもの。
エルフ語で「友」は「mellon」ですが、定冠詞「i」が付くと「i ○ellon」になる。(○の中が何なのかは、あえて書きません)

これを習ったとき、私は内心のけぞりました。
・・・ったく~、教授ったらぁ。。
多くの言語に習熟し、さまざまな言語学的現象に慣れ親しんでいる人でなければ、こんな複雑な言語作りませんって。

これに近いものとして、日本語には「音便」とよばれる現象があります。
たとえば、棒状のものの単位を表す「本」という語(というより接尾辞?)の前に、数字をつけると、「本」の発音が変わる。

1本=いっぽん
2本=にほん
3本=さんぼん
4本=よんほん
5本=ごほん
6本=ろっぽん
7本=ななほん
8本=はっぽん
9本=きゅうほん
10本=じゅっぽん

日本語を学ぶ外国人が腹を立てるんじゃないかと、かねがね思ってるんですが。

「hon→pon」となるところの共通点は何?
この変化は、「っ」すなわち促音便と共に起こる。
「いち」「はち」は、タ行である「ち」が「っ」になる。なんとなく納得です。
でも、「ろく」「じゅう」が「ろっ」「じゅっ」となるのは、日本語話者としても不思議な感じ。

「3」「4」を付けると、「さんbon」「よんhon」となるのも不思議。
「さん」と「よん」は、ともに「ん」で終わるのに。

「ハ行」で始まる単位を表す語(接尾辞?)としては、「匹」もあります。
これも「さんbiki」「よんhiki」
つまり、「3」のときは「h→b」という変化を起こすのに、「4」では「h」はそのまま。

「発」は「さんpatsu」「よんpatsu」? それとも「よんhatsu」?
「泊」は「さんpaku」「よんpaku」? それとも「よんhaku」?
ああ日本語って難しい。。。。

この話、次回も続きます。

エルフ語を作るとき、トールキンがヒントにしたというウェールズ語の解説はこちら

by foggykaoru | 2006-02-15 22:56 | バベルの塔 | Trackback(1) | Comments(4)

Tracked from MY QUILT GAL.. at 2006-02-20 11:12
タイトル : 「指輪物語」との出会い
 私が「指輪物語」と出会ったのは2002年2月にラジオでエンヤの"May It Be"を聴いたのがきっかけでした。  この曲が映画"The Lord of the Rings"のテーマソングであることも同時に知りました。  エンヤは昔からこの物語のファンで、(1991年のアルバム"Shepherd Moons"の中にも"Lothlorien"という曲が入っている)映画製作の話があった時にすぐ引き受けてこの曲を製作しました。  エンヤは祖父からケルトの神話や伝承物語を聴いて育ったために、妖精物...... more
Commented by ケルン at 2006-02-15 23:33
ええ、こういうのは日本語だけですか?
最近ちょっと覗いてみてるドイツ語で、ときどきそういうことがあって、面白がっています(言語学的にどういう説明になるのかは、よくわからないのですが)

3 drei (どらい) → 13 dreizehn (どらいつぇーん) → 30 dreizig (どらいつぃひ)
4 vier (ふぃあ) → 14 vierzehn (ふぃあつぇーん) → 40 vierzig (ふぃあつぃひ)
5 funf (ふんふ) → 15 funfzehn (ふんふつぇーん) → 50 funfzig (ふんふつぃひ)

ここまでは規則的、ところが、

6 sechs (ぜくす) → 16 sechzehn (ぜひつぇーん) → 60 sechzig (ぜひつぃひ)

ああ、これは、-chを「ひ」と読む、という規則なのか。

では、前置詞の前にもうひとつくっついて、副詞的になる場合は、音便?

da + hinter → dahinter ですが、
da + auf → da(r)auf

初歩的な単語しか知らないので、逆にそういうところに目が行く、という感じです。
「日本」が「にほん」なのか「にっぽん」なのかなんて、聞かれても説明できないからなあ。
Commented by fu-ga_907 at 2006-02-16 08:43
日本語も複雑な言語ですよね。
ドイツ語も面倒なんだけど、日本語のほうが難しいのかも・・・
と、最近思っています。
ケルンさんがかかれた、数詞の読み方のひらがなを見て、
次男のドイツ語を連想しました。
数字に執着があるので、数字だけは100まで覚えたようで、
しょっちゅう「ふんふうんとだらいつぃひ」などと言っています。
「r」の発音は難しいのですが、
長男は練習の末マスター。
次男は幼稚園で遊んでいるだけでマスター。
うらやましい・・・・
Commented by foggykaoru at 2006-02-16 20:24
ケルンさん。
世界中の言語にあることです。こういうことを「音便」と呼ぶのが日本語オリジナルなだけで。
ドイツ語に関しては、erを「エア」と読むのか「エール」と読むのかを、ドイツ人の先生に改めて確かめようとすると、ふだんは「エア」と発音しているくせに、ゆっくり発音すると「エール」になるのがオモシロイです。
「エア」と「エール」、同じ音として認識してるのかなあ。
Commented by foggykaoru at 2006-02-16 20:35
fu-gaさん。
言葉はそれぞれ難しいポイントが違うんだと思います。
日本語は発音が楽だけど、文字がたいへん。あと、微妙な助詞の使い分けも難しいだろうと思います。「は」と「が」なんて、日本人が文章を書くときだって、どっちがいいんだろうと悩みますもの。
小さい子供はすぐに言葉を覚えられて羨ましいですよね・・・
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