「児童文学論」
2006年 04月 02日

著者リリアン H. スミスがどのくらい偉い人なのかはわからないのですが、超豪華な翻訳陣(石井桃子・瀬田貞二・渡辺茂男)に惹きつけられ、ぱらぱらと中を見たらランサムの記述があるし、これで1000円は安い(定価は2600円)と考えて購入。
こういう本はそんなに売れないんじゃないか、相当古いのではないかと思ったのですが、真新しくてまっさらで一度も読まれていない様子。
確認したら、1964年第1刷。
で、この本は2005年の第49刷!
もしかして、児童文学界の永遠のベストセラーなのでしょうか?
某女子大の児童文学専攻あたりで、教科書にでも使ってるのかも。
帰宅して、ランサムに言及している箇所だけ読みました。
「シロクマ号」を例にとり、延々と引用してます。ここまで長々やるか!と、この私が思うぐらい延々と。
リリアンさんは、ひょっとして、知る人ぞ知るランサマイトなのでしょうか?
1964年というと、まだ「ランサム全集」が刊行されていなかった頃です。
ということは、ここの「シロクマ号」の引用は、神宮訳ではないはず。
確認してみました。
全集の「シロクマ号」284ページの「つまりこういうことなのね。」から「あれ、くわしくきかしてよ。」と、285ページの「これからやることは、」から「野蛮なゲール人よ。」まで。
神宮訳の「土人」が「島民」になっているといった、単語レベルの違いだけではなく、明らかに文体が違う。
私としては、ナンシーがただ「すごい」と叫ぶよりも、ナンシイに「大ウミガラスばんざい!」と言わせる神宮訳に軍配を揚げたいところですが、それでも、この引用箇所の訳文は生き生きしていて魅力があります。
これを訳したのが3人の共訳者のうちどなただったのか、わかりませんが、この人の訳であらためて読んでみたいと思わせるほど。
ランサムに関するリリアンさんの結論は、非常に読みとりにくいのですが、要するに次のようにまとめられるようです。
1)ストーリーテラーとしてランサムは天才的
2)文体がすごい
具体的には
・ヨットやキャンプ等に関する、具体的かつ詳細な記述
・生き生きした会話
・美しい自然描写
が、渾然一体となっている
こんなに誉めるなんて・・・。
やっぱりこのリリアンさん、ファンですね。
この本に関する情報はこちら
[追記]あとがきによると、ランサムの言及がある第9章を担当したのは石井桃子さんだったそうです。だから、この「シロクマ号」も石井訳のようです。
by foggykaoru | 2006-04-02 10:53 | 児童書関連 | Trackback | Comments(21)
みたいな感じですよね。「オズボーンコレクション」について学べば
セットですから(笑)やはり、それまで「子供の文学なんか」と
思っていた人々に、芸術的な価値を広く世に知らしめた功績は、
大きいのでは。


ルーマニアも、その他ヨーロッパも、、
春の気配が見られるようになってきました・・・
ルーマニアはまだ寒いようですが・・・・ (只今少し南下した
国に出張中なので・・・ :))
ルーマニア情報、リンクありがとうございます。
まだ足りないところはあるかもしれませんが、でもルーマニア初心者
にルーマニアの色々が分かるようにまとめたいと思っています。
まだ始めたばかり・こちらは情報薄いですが、隣国情報も
書いていきたいと思っていますので(ポーランドのタクシーも
ひどかった!でも絶対こちらは 正規料金しか払いませんでしたが)
是非またご活用いただけるとうれしいです :)
Btw,ルーマニア関連の、先日もラジオで話したのですが
ヒストリアン、帰国中に読破しまして、感想をUpしたいな、、と
思うのですが、読書の感想って難しいですね。。。小学生の頃の
読書感想文を思い出し、、、稚拙な文章しかかけない自分を
うらんだり・・・・・Foggyさんが羨ましいです;;;;
↓の名詞の性、私も最初のラテン語 フランス語のときは
混乱し、駄目でした。2つめのイタリア語はすんなり、
感嘆詞「美しい!」っていうのでも 性が分からないと
正しく言えなかったりしますが、なれるものですね。
逆に 複数形しかしらなくて、単数形に治して 男性か女性かと
分かったり・・・ルーマニア語はドイツ語のように中性があるため
さらに複雑です・・・

トロントにいらした頃はその図書館を利用していらしたんですか?
リンク貼ったのはココではなくてメインサイトの掲示板のほうです。
ココには旅人はあんまり来ないから(苦笑)
子どもの頃、本を読むのは好きだったけれど、読書感想文は嫌いだったんですよ。
今書けるのは、自分の必要のため(忘れないため)であって、先生のためではないからかも。
今あとがきを読んで、ランサムの訳は石井桃子さんだったんだなと確認しました。追記しておきます。

日本人も働いています。その人の作った紹介ページ↓
http://www.yukazine.com/yuka/j/osborne.html
その人のことをかつてFSHIPにもいらしたこの方がインタビューしてます↓(インデックスから探してください。ランサムサガのことも書いてますよ)
http://www.asahi-net.or.jp/~HH5Y-SZK/
オズボーンコレクションと聞くと、これだけのことをセットで思い出します。

本来のオズボーンコレクションは1910年までの本のコレクションだそうな。
ということは、「その後に刊行された優れた本」として、ランサム・サガが加えられたんですね♪
鈴木さんのHPは知っています。
たぶん、森さんのHPから飛んでいったんだと。すっかり更新が止まってますね。森さんのところもデッドリンクになっちゃってる。
ようこそいらっしゃいませ♪
>高く売りたくても値がつかない古本屋泣かせの本
熱帯雨林のユーズド価格も1200円と、決して高くないですものね。
この本を見つけた古本屋では、以前、こんな本↓も見つけました。
>http://foggykaoru.exblog.jp/m2005-06-01/#1986431
これはものすごい掘り出し物だったみたいです。
ランサムというのは、古本屋さんにとって、どんな商品なのかしら・・・?

ありがとうございます、でも、私、本(特に和書)については、あれは最後の最後の手段にしているのです。でも限定版CDなんかは助かるので、先日も1枚買いました。
この本は図書館で予約しました。
開架式のほうではなく、保存書庫にあるのでちょっと時間がかかるそう。
楽しみです♪

>でも、私、本(特に和書)については、あれは最後の最後の手段にしているのです。この本は図書館で予約しました。
この論旨、なんか変だ! リアル書店を大事にする、という目的だったら、図書館で借りちゃっちゃダメなわけで、、、図書館を活性化させる意味ではいいかもしれないけど。
スウェーデンでは、図書館で本を借りるたびにその本の著者に助成金が出るんですよね。図書館での人気は、その作家を支援することになるわけで、本が高価で、母国語人口が少ない国の制度としてよくできています。
と、また北欧ネタにしてしまってごめんなさい。
この本、今日受け取りにいってきました。意外と小さな本で持ち歩くのに良いです。
『児童文学論』は他にも坪田譲二著などいくつかあって(ランサムをほめていた)読みたかったけど、まずはこれから。わくわく。。