「魔のヴァイオリン」
2006年 04月 30日
まず、人間の肉声に近いことが羨ましい。
それと、弦楽器というのは、1つの音を、両の手で丹精して作り出すという感じが素敵。
この本は実用書ではないけれど、実際にヴァイオリンを弾いたり、買ったりする人には、十分に実用書として読めると思います。
面白かったのは以下の点。かっこ内が私の感想。
・「チェリーニ」という名前の、弾いた人が不幸になる「呪いのヴァイオリン」の話。
(ゴシックロマンの香り。これをテーマに小説を書いた人がいても不思議ではない。)
・今、名器とされているヴァイオリンは、作られた当初はそれほど人気があったわけではない。当時は小さな部屋で演奏されるのが中心だったから、大音量が出ることは必要なかった。ストラディヴァリやグアルネリは、職人として、個人的に、豊かな音量を出す楽器を作ることを追求しただけのこと。その後、大きなホールで演奏されるようになって、これらが名器として人気を博すようになった。
(えてしてそんなもの。どの分野でも、最初から「売れ筋」を狙うと、寿命が短くなる。)
・これらの名器はクレモナを中心とするイタリアで作られた。しかし、原材料であるバルサム唐檜が1750年に全滅したこともあり、その後はイタリアはヴァイオリン名器生産の中心地ではなくなった。
(あ~あ、自然は大切にしなくちゃ。)
・ヴァイオリンの耐久年数は200年。うまくすれば300年。
(ということは、ストラディヴァリの音色を楽しめるのも、あとほんのわずか?)
・いかに名器でも、まず上手な人が弾きこまないと、いい音が出るようにならない。その後も、適度に弾いてやらないと、ダメになる。
(だと思ってた。大金持ちのコレクターが鍵をかけてしまっておくのはいけない。)
・現在は、音楽全体のテンポとピッチが上がっている。特にピッチを挙げるためには、弦を強く張らねばならず、ヴァイオリンが受けるダメージが大きい。
(老体に鞭打って頑張ってる名器が可哀想・・・)
あと、「ストラディヴァリ」なのか「ストラディヴァリウス」なのか、よくわかっていなかったのですが、作った職人はイタリア人の「ストラディヴァーリ」で、当時はラテン語で署名するのが流行っていたから、「ストラディヴァリウス」というレッテルが貼ってある、ということだそうです。
この本に関する情報はこちら
by foggykaoru | 2006-04-30 09:45 | 西洋史関連 | Trackback(1) | Comments(6)

kappaよりも私のほうがホームズファンなんですけど(笑) kappaの希望で、ベーカー街221番地のBシャーロック・ホームズ博物館へ。 9時30分開館、なのに扉はしまったままです。 他に日本人の親子づれが一組、アメリカ?の中年夫婦が一組。 寒い寒いなかを待って、待つあいだにそれぞれベーカー街221Bのドアをのっくする「なんちゃって」写真を撮影しました(笑) 35分すぎ、一台の車で全員がご出勤です。 このブログの一番最初に出した写真のかわいいメイドさんの彼女も健在、もうひとりのメガ...... more
>いかに名器でも、まず上手な人が弾きこまないと、いい音が出るように>ならない。その後も、適度に弾いてやらないと、ダメになる。
これなんですけどね、私も、ヴァイオリンは弾かなければ・・・と聞いていたので、かねがね不思議に思っているのは、300年間、誰も弾かなかった・・が売り文句のストラディヴァリウス・・・デュランティ。ほ~んと大丈夫なものなのかって。素人考えですが(^^);
まずは、この本を先に読みましょうか。うん。

いつも、頭のどこかで疑問に思っていたことが、解決してすっきりしました。ありがとう!
ねえ! 楽器は、弾いてこそ楽器ですよねえ!
>300年間、誰も弾かなかった・・が売り文句のストラディヴァリウス・・・デュランティ。
300年・・・?!
そもそもヴァイオリンの寿命が300年なんだし。
人間が使う道具は、すべてそれなりに使い込まないと上手く作用しないようですね。
包丁だって、パソコンだって。バイオリンもですが、二胡ももちろん、ピアノだってほっぽっておいたらダメですもの。楽器博物館にいくと、楽器が「ぼくをひいて~~~」と囁いてくるような気分です。ガラスケースに閉じ込められて、本来の用途に使われないと成仏?(笑)できないのでは?と思ってしまいます。
ホームズミュージアムにおいてあるバイオリンの中には、ちゃんと「ストラディヴァリウス」とラベルがはってありました(笑)
そのストラディヴァリウスで、マスター&コマンダー最後に二人が合奏する曲を弾いてきた私です(笑)
ストラディバリウスつながりでトラバさせてくださいませ。