人気ブログランキング |

南條竹則著「ドリトル先生の英国」

著者は子供の頃、ドリトル先生シリーズにとことんハマった人。大学で英文学を専攻し、英国及び英文学に関するしかるべき知識を蓄えた後に、ドリトル先生を再び手に取り、この本を著した。

1958年生まれだというから、ランサム・サガを読んでいても不思議ではない。ドリトル先生に夢中で他の本を読まなかったのか、それとも、ランサムは読んでみたけれど気に入らなかったのか。そのあたりが個人的に非常に気になるのだが、それはそれとして、ドリトル先生シリーズを2、3冊ぐらいしか読んでいない私でも、この本はけっこう楽しめた。好著といえると思う。

井伏鱒二訳に出てくる謎の食べ物を解明するあたり、ランサム・サガに出てくる飲食物(たとえばペミカンとかジンジャー・ビアとか)がどういうものなのかを調べようとするランサマイトとまったく同じ。私の周囲には、「『ツバメ号とアマゾン号』の英国」という本を書ける人が何人もいるのではないかと思う。ただ、ランサムを知ってる人が少ないから、出版してくれる会社が無いのである(号泣)

個人的に面白かったのは、最後の章「ドリトル先生と聖書の世界」。シリーズの後半、「月へ行く」以降のドリトル先生には、「老い」と「絶望」がしのびよってきて、宗教的になっていくのだそうだ。ドリトル先生にさほど夢中になれずに大人になった人間としては、そんな話を聞くと、かえってそのあたりの作品に興味をそそられてしまった。


この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2006-09-19 21:57 | 児童書関連

<< 「ダンシング・クイーン」の仏語訳 アドリア海の帆船(2) >>