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G・ネラン著「おバカさんの自叙伝半分」

私は学生時代、東京日仏学院に通っていた。
毎学期配布される講座概要のパンフには、「和文仏訳(担当:ネラン)」と書いてあった。でも、私が受講していたのは、同じ和文仏訳でも、アヌイという先生の授業のほうで、ネラン先生の授業はついに1度もとることはなかった。
社会人になって間もない頃、同僚が、「神父さんがやってる面白い店があるよ」と連れていってくれたのが、新宿歌舞伎町の「エポペ」。そこのマスターが、そのネラン先生だった。
こんなユニークな人だったのか、知っていたら授業をとっていたのに・・・と思ったけれど、後の祭り。

この本はそのネラン神父の自伝。
「自叙伝半分」という題名のとおり、半分は自伝ではないけれど。

そもそも聖職者というのは、俗人にとって謎の存在である。どうしてそういう道を選んだのかという話だけでも、十分に面白い。それに加えて、フランス人が書いた本であるからして、フランスに興味があれば、さらに面白く読める。

キリスト教や神学に関する章は、門外漢にはちょっとばかり退屈かも。

いくら日本贔屓とはいえ、日本人とは根本的に違うなあと思わされた箇所もある。それは、「どの宗教を信じようと、最終的にめざすところは同じだとよく言われるが、それは違う」という言葉。著者によると、それぞれの宗教を深めれば深めるほど、隔たりはむしろ大きくなるのだとか。
その考え方でいくと、「ナルニア国ものがたり」の「さいごの戦い」における、異教の神を純粋に信仰する外国の青年の運命は、まったく違うものになってしまう。私はあのくだりが好きなのに。

この本は著者が直接日本語で書いたもの。ときおり不器用な表現が見受けられるが、全体的には非常に達者な文章である。たたみかけるような調子は、読んでいて気持ちがいい。頭脳明晰な人だということが伝わってくる。

ネラン神父が開いたスナック「エポペ」のHPはこちら

この本に関する情報はこちら

by foggykaoru | 2006-09-29 21:05 | 伝記・評伝

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