石井美樹子著「王妃エレアノール---ふたつの国の王妃となった女」(平凡社)
2005年 01月 29日

日本人研究者によるエレアノール関連本といったらこれで決まり。研究書と小説の中間のような本です。私はこの手の本が大好き。エレアノール個人のことだけでなく、周辺事項も丹念に書かれているので、本格的に西洋史が好きな人にお薦め。
たとえば、もしもフランスがパリ中心ではなく、南仏圏中心の国になっていたら、どんなふうになっていただろう?などという妄想に浸れます。少なくとも私は浸りました(^^;
もっと気楽に読める本がいいという人には、カニグスバーグ著「誇り高き王妃」(岩波書店)がお薦め。先に石井さんの本を読んでしまっていると食い足りないので、両方読むつもりならこちらを先に。
ちなみに、この作品の著者は「クローディアの秘密」などで広く知られるアメリカの児童文学作家。なので、ジャンルとしては児童文学に入れられてしまうのでしょうけれど、この作品を子供が読んで面白いと思うかどうかは、大いに疑問です。
併録されている「ジョコンダ夫人の肖像」もとても面白いけれど、これも子供には難しいのではないかしら。美術好き&イタリア好き&ルネッサンス好きには自信を持ってお薦めします。
映画としては、古いけれど、「冬のライオン」(1970年)がお薦めです。晩年のエレアノールをキャサリン・ヘップバーンが演じています。夫ヘンリー2世役はピーター・オトゥール。
私はこの映画を、高校生のときテレビで観ました。子供の目にはライバルのフランス王フィリップ(尊厳!)がやたらかっこよかったのですが、これはティモシー・ダルトン。後に007になりました。
この映画を大変面白く観た私は、このあたりのことを世界史の授業で習うのを心待ちにしました。
でも、授業では一瞬のうちに通り過ぎてしまったのでした。(T_T)
学校というのは、そんなものなのでしょう。。
by foggykaoru | 2005-01-29 07:59 | 過去に読んだお薦め本 | Trackback