被疑者を取り調べるときの言葉遣いについて
2007年 04月 16日
よかったです。
最後の台詞「Fur mich(私のため)」、そしてそれを言う彼の表情に泣きました。単に悲しいとか辛いとかいう感情を越えた、不思議なもので頭と心が満たされたような感じがしました。
私は1989年夏、つまり壁崩壊の直前に、フランスに研修を受けに行きました。そのとき、東独から派遣されてきた人たちと交流を持ちました。この映画を観た今、そのときのことを書きたいという衝動に駆られています。でも、ほんとうに書けるかどうかはわかりません。。。
で、このブログではもっと軽い「言語ネタ」を。
泣く子も黙るシュタージ(国家保安省)の取り調べの場面を観て、「へえ」と思ったことがひとつ。
取調官は被疑者に対して「Sie」、つまり、敬語的な二人称を用いるということ。日本語字幕は「眠るな! 答えろ!」というような、かなりぞんざいな言葉遣いになっているのに。
でも考えてみれば、フランス語でも「vous」、つまり、敬語的二人称を使うだろうから、驚くには当たらない。
ではイタリア語ではどうなるのか?
たぶん、イタリア語では敬語的な「Lei」は使わないのではないか。
その根拠は映画「ロード・オブ・ザ・リング」のイタリア語版では、登場人物のほとんど全員がお互いに「tu」、つまりタメ口に近いほうの二人称を使っているから。たとえ相手が王様であってもです。(イタリア語版ロード・オブ・ザ・リングに関してはぴぴーなさんのブログをご覧ください。)
もう一つの根拠は次の写真。ベネチアの水上バスの乗り場にあった注意書きです。「切符を持たずに乗船した場合、すぐに自分から申し出て切符を買わないと30ユーロの罰金を科されます」という内容。

一番上がイタリア語。これが「tu」に対する言葉遣いで書かれています。
次のフランス語は「vous」、一番下のドイツ語が「Sie」で書かれているのに。
だからイタリア人はフレンドリーなんだって? そ、そうじゃなくて・・・。
こういう場面の字幕が「答えろ!」になってしまう日本語についても、なんだか考えさせられます。純粋に言語だけの問題じゃないような気がします。いろんなことがからみあっているから、分析するのは不可能に近いかも。
この項の補足はこちら
by foggykaoru | 2007-04-16 20:40 | バベルの塔 | Trackback | Comments(2)
→以上のようなことから、Duは、敬意があるかどうかということよりも、心を許しているかどうかという違いなのではないかと、考えています。
それに、ドイツ語だと、いきなりDuということはなく、初対面だったら「Duで話しませんか?」と(特に目上や年上の人から、気をきかせて目下や年下の人に言ってあげる)という断りがあって、やっとDuの間柄になれるそうなので、やはり「距離」の問題なのではないかと思います。まあ学生なんかははじめからDuだそうですけれど。
確かに、日本語の字幕になると、取調べの言葉はがらがわるくなりますね。慇懃な冷たさ、怖さというのも言葉で表せるはずなんだけど。でも、この映画の字幕は、その他はあまり気になることはなかったです。(そりゃドイツ語がわからないからだってば!)
おっしゃるとおりです。
ドイツ語のSie、フランス語のvousは、敬意を表すものではないんです。
日本語とは基準が違うんですよね。
なんせこのポスト、ケルンさんの日記を読んだ勢いで書いちゃったもので、そのあたりのことが舌足らずなんです。
今日のポストで補足します。

