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神宮輝夫著「児童文学の中の子ども」

こういう年に、こういう本に出会うんですねえ。古本屋で見つけたとき、しみじみとした気分に浸ってしまいました。

初版昭和49年(1974年)のNHKブックス。お値段300円。ちょこちょこ書き込みがあってお世辞にもきれいとは言えない状態です。

まえがきにはこうあります。
1969年、私はNHKの「女性手帳」という番組でお話したことをもとに、翌70年に「童話への招待」を出版した。(中略)まとめていくうちに、児童文学がはっきりと変わりつつある事実を確認し、現在の児童文学の変化の原因と意味を追求したい気持ちがわいた。
神宮先生がNHKに出演したことがあったんだー!と感動。新進気鋭の英文学者でいらしたんでしょうね。

ゲド戦記がゲド戦記という名前を与えられていなかった頃に書かれているので、「影との戦い」は「アーススィーの魔法使い」として紹介されています。当時の神宮先生、このシリーズには非常に注目しておられるようで、その後、青学の同僚だった清水真砂子氏に「翻訳してみないか」と勧めたんだなーと思うと感慨深いものがあります。

児童文学はこの本が書かれた後もさまざまな変化をとげたわけで、今この本を読むと、児童文学の歴史の中の1ページとは言わないにしても、ほんの数ページのことしか書かれていないという感じを(専門家ではない私ですら)受けます。

でも、ランサムに関する言及が多いのは単純に嬉しいものです。

でも、翻訳家であるだけではなくて、児童文学の研究者でもある神宮先生にとって、いつまでも「ランサム、ランサム」ではなかったのだろうということは推察できます。
たとえ個人的に思い入れのある作品であっても、それだけでは「○○の一つ覚え」になりかねない。立場上、新しい児童文学の潮流には敏感でなければならないわけだし。

講演会ではどういう話が聞けるのでしょうね。


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by foggykaoru | 2007-05-01 20:24 | 児童書関連

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