「インカに眠る氷の少女」
2008年 06月 03日
インカ帝国の人々は、神へのいけにえを捧げた。
ここまでは他の地域の人々も同じだが、いけにえを捧げた場所がさすがインカ。アンデスの山々の頂なのである。
そしてそのいけにえは、高地という特殊な環境下において、ミイラとなった・・・
そのミイラを発見し、研究するのが「高地考古学」という分野の研究者たち。
この本の著者であるヨハン・ラインハルト氏もそのひとり。
「インカの完全な姿のミイラを発見したい」
この夢を追い求めて、ラインハルトさん頑張る頑張る。
身1つで数百メートルの山に登るだけでも大変なのに、登山家は何十キロもの荷物とともに数千メートル級の山に登るのである。それだけでも驚異の世界なのに、高地考古学者ときたら、発掘や発見物の保存に必要な機材を運び上げ、5000~6000メートル級の山々で延々と作業を行うのである。発掘のために山に登っても、メンバーの4分の1くらいは高地に適応できずにダウンしてしまうのだそうな。
そんなキツイ研究をわざわざ好き好んでやるなんて、物好きとしか言いようがない。いろんな人がいるもんだなあ。世界は広い。
でも、そういう人々のお陰で、我々凡人は数百年前の少女の生きているような姿を目の当たりにすることができるのだ。
高地考古学者のみなさん、ご苦労様です。
そして、どうもありがとうございます。
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by foggykaoru | 2008-06-03 21:05 | 西洋以外の歴史 | Trackback | Comments(6)


でも、将来の生活に必要なものが供えられていた…
泉に沈められた少女達と同じく、人間世界から神々への使者という位置づけだったのでしょうね
独特の宗教観は他人事でしたら魅惑的な世界です

「はるかなる黄金帝国」と「まぼろしの都のインカたち」の二部作です。