セントールとミノタウロス
2008年 07月 01日
前回のポストへのコメントの中に、「セントールよりもケンタウロスのほうがぴんとくる」という声がありました。
そうなんだ。
私はケンタウロスという名前以前にセントールで覚えてしまったので、谷あらしがケンタウロスだと言われると、ぴんときません。セントールのほうに爽やかな力強さを感じます。
今回の映画で王子とともに戦ったナルニア人(←私はこれを「ナルニアじん」じゃなくて「ナルニアびと」と呼びたい)の中で、セントールと並んで大活躍したのはミノタウロスでした。特にミラースの城での弁慶ばりの活躍には目頭が熱くなりました。。。
で。
ミノタウロス?
原作に出てきましたっけ?
英語ではMinotaur。
ミノトールもミノタウロスも、ナルニアで目にした記憶は無いのですが。
私が初めて「ミノトール」という名を知ったのは、ナルニアを通じてではありません。もっとかなり後になって、ピカソの絵の題名から知りました。(フランス語では「Minotaure」)
映画翻訳者は「Minotaur」をどう訳すか、悩んだのではないでしょうか。
瀬田訳のセントールという英語の名称を採用するなら、それに対応させて、英語のミノトールにするのが常識的な選択。
でも、一般日本人に耳なじみがあるのは、ミノトールよりもミノタウロス。
・・・しょうがないなー。
まいっか。
ということだったのではないかと思うのですが。
ちなみに、今回の字幕翻訳は松浦美奈さんでした。
なっちじゃなくてよかった。
なっちの場合、原作や先人の訳にあたらずに第一印象だけで台詞を訳しがちだから、リーピチープあたりが被害を被っていた可能性大。
by foggykaoru | 2008-07-01 21:03 | 児童書関連 | Trackback | Comments(15)

ケンタウルスはちゃんと星座になっていますし。南のほうの星座なので、日本からはあまりメジャーじゃないですけど、太陽系に一番近い恒星(たしか4.2光年)のαケンタウリや全天でいちばん大きな球状星団(星が球状にかたまってる不思議な星のかたまり)ωケンタウリなどがある、りっぱな星座です。南十字にも近いし。
ミノタウロスは星座にこそなっていませんが、神話の世界では有名ですよね。クレタ島でしたっけ??ということでこれらの名前は、神話から入った人はすんなり受け付けられるかもしれませんね。

原作では、ミノタウロスは「カスピアン」には出てきていません。むしろ、「ライオンと魔女」の白い魔女側に、牛頭人身の化け物が(ポーリン・ベインズの挿絵では)出てきていました。
でも、映画の「いいもん」のミノタウロス、見てみたいな。
私はナルニアとギリシャ神話(岩波少年文庫版のと、星座に関する複数の本)にほぼ同時期に触れていたので、「セントール」「ケンタウロス」は、最初は別物として認識し、その後同じものであることが分かりました。「フォーン」と「パン」も同様です。
同じものを違う名で呼ぶということ自体は、ギリシャ神話の神々がローマ神話で別名になっているため、あまり違和感なく受け入れていたように思います。

実はミノタウロスに違和感を感じていたうちの一人です。
あのぅ、ギリシア・ローマ神話を読んだのがあまりに昔で覚えていないのですが、ミノタウロスって種族の名前ですか???
えぇと、何とかいう女王が神の怒りに触れて…で生んでしまった半人半牛。私はミノタウロスといえば、これ一頭だと思っていました。

あるいは勝利の女神「ニケ」より「ナイキ」
自国語読みが定着しているという事は、それだけその国の血肉になっていると言う事ですから
英米人にとってギリシャ・ローマ神話って重要な文化です
日本には原音主義とイギリスから流入した文化が混入していますね
さらに…当然と言えば当然ですがギリシャ神話とローマ神話ではほぼ同じ(ローマ神話がコピーなんですけれど)ですが、同じ神でも呼び方が違います
ゼウスにユピテル
さらに、その妻「ヘラ」に「ジュノー」
これが家庭の守護神で六月のジューンの由来だというのは有名
面白いですけれど…ややこしい
>フォーンとパン
去年「パンズ・ラビリンス」を観て、これが同一だということを初めてしっかり認識しました。
それまでも全く知らなかったわけじゃないけど、なんとなくぼんやりしてました。
岩波少年文庫のブルフィンチの「ギリシャ・ローマ神話」のおかげで、
ジュピター=ゼウス
あたりはしっかり頭に入っているんですが、それ以外は言われてみて「そうそう!」ぐらいの記憶です。。。
ややこしいなあ。

それは少々、いや、かなり不思議かも・・・。ミノタウロスは種族ではなくて、個人(?)名、ですよね、そういえば。

わたしも、ゆきみさんと同じく、ミノタウロスは一人だけとうイメージです。

で、ミノタウルス。
『ミラース、テルマール人を倒すために昔の敵も共に戦うために手を取り合ったのだ!』と森の中で言ってました。
確かにね、ギリシャ神話からしたらミノタウルスは迷路の奥に幽閉され人身御供を食らっていた王様の息子、だったからそれからしたら一人、のはずですけどそのあたりはトールキン教授と違って、あっちからもこっちからも、いろいろ取り入れちゃったルイス先生。ミノタウルスという生き物、ということで解釈したのやも知れません。ましてやWETAだもん。
メイキングみていると、すっごく、ミノタウルスに力はいっていましたからね、2作目でも搭乗させたかったんじゃないかな...?
パンとフォーン。
ケンタウルスとセントール。
同じものだということを後々しりました。
塩野七生さんが、日本語に外国の固有名詞を当てるときの苦労を書いてましたね...。いろいろな呼び名を知ることは良いことだと思うけど、翻訳サイドからしたら、実に悩ましい限りでしょうね!

おっしゃるとおり、指輪じゃなくてナルニアだから、その程度の改変は気楽にできたんでしょうね。
実際、私たちも目くじら立ててないし(苦笑)
メイキングでもミノタウルスに力入っていたんですね。
まあ、あれはオーソドックスなかぶりものだから、登場させやすいですよね。